アンファー研究所で行っている頭髪研究の一つ、白髪。白髪は、メラニン合成能の欠落が原因なのは明確ですが、その症状を引き起こす機序やトリガーはまだまだ解明されていない部分が多いのが現状です。私たちは毛幹内へのメラニン色素の転移(トランスロケーション)の失調によって発生する一つの加齢現象であると考え、髪のメラニン色素を産生しているメラノサイト(色素細胞)の機能性にフォーカスして研究を行っています。
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アンファー研究所で行っている頭髪研究の一つ、白髪。白髪は、メラニン合成能の欠落が原因なのは明確ですが、その症状を引き起こす機序やトリガーはまだまだ解明されていない部分が多いのが現状です。私たちは毛幹内へのメラニン色素の転移(トランスロケーション)の失調によって発生する一つの加齢現象であると考え、髪のメラニン色素を産生しているメラノサイト(色素細胞)の機能性にフォーカスして研究を行っています。
私たちはメラノサイトに機能することが予想される3種の機能性ペプチドについて、増殖能、代謝活性、ならびにメラニン産生量や遺伝子発現を解析しました。
その方法とは、
1. ヒト正常色素細胞(クラボウバイオメディカル)を常法に従って96well plateに播種して、3日間培養後に3種の機能性ペプチド「オリゴペプチド-74」、 「アセチルヘキサペプチド-1」および「オリゴペプチド-41」を種々の濃度条件で添加しました。
2. 24時間後にDOPA染色・チロシナーゼ免疫染色・WTS-8を用いた細胞増殖能を各々の吸光光度法で同時測定しました。
3. チロシナーゼやメラニン合成量も遺伝子発現により定量しました。
4. 標記成分を含有するトリートメントを塗布後1週間・2週間・1ヶ月でヒト毛髪からRNA抽出し、白髪と黒髪の各種、色素細胞関連遺伝子の動態をPCRで比較検討しました。
1. 機能性ペプチドの添加によるin vitroでの細胞毒性は認められませんでした。
2. 3種の機能性ペプチドのメラノサイトへの効果を、CELL-ELISAによるタンパクレベルでの解析および遺伝子発現解析から、代謝経路の活性化(具体的には、DOPA代謝活性を惹起)で確認できました。
3. 黒髪および白髪の遺伝子発現解析から、メラノソームの輸送に関連するRab36 遺伝子の挙動を追跡できました。
今回の3種の機能性ペプチドは、色素細胞に対する毒性を認めず、ある一定の濃度でチロシナーゼ活性およびDOPA代謝活性の亢進を認めました。今回は機能性ペプチドによる色素細胞への影響を確認することができました。この研究は今後も聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学(アンファー寄付)講座にて継続し、今後はメラノサイトの前駆細胞であるメラノブラストへの影響の解析をしたいと考えています。
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