Dクリニック大阪メンズ 院長 /Dクリニック大阪ウィメンズ 院長
鈴木 雄一郎(すずき ゆういちろう)
くしゃみをした時、重い物を持ち上げた時、乗り遅れまいと走り出した時……「実は尿もれしてまった」という経験、40代以降の方は意外に多いかも。人気タレントが尿もれシートのCMに起用されるなどもあり、尿もれは更年期の女性にとって身近な症状との認識も広がったかと思います。
とはいえ、更年期の尿もれは「みんな同じ」と片付けていいのでしょうか? そもそも、男性と女性では尿もれの原因が違うのかどうか? 今の症状を正しく判断するために、尿もれの基礎知識について、泌尿器専門医の鈴木雄一郎先生にお聞きしました。
主な尿もれの種類はこの4つ、それぞれの原因と症状をおさらいしましょう。
加齢や出産を経て、女性の骨盤底を支えている骨盤底筋群の筋力が低下したことが原因で、尿禁制が保てなくなった状態。くしゃみや重いものを持ち上げるなど、急激な腹圧がかかることで失禁してしまいます。
急に強い尿意を感じたり、尿意を感じてから排尿までに間に合わず漏れてしまったりする症状で、「過活動膀胱」が主な原因。これは、男性の前立腺肥大症でも見られることがある症状です。
排尿機能が正常であるにも関わらず、認知症や身体運動機能の低下が原因で、尿失禁してしまう症状。うまく歩けず、トイレに間に合わないなどがその代表例です。
尿意をもよおしても、いざトイレに行くと尿が出ない、ところが意識しないうちに尿が少しずつ出てしまうという症状。この症状は男性に多く、背後には疾病が隠れていることがあるので要注意です。
「女性の更年期はさまざまな症状が見られますが、尿失禁もその一症状。更年期になると、かならず尿失禁になるというわけではありませんが、ある程度の年齢になってくると、やはり発症頻度も上がってくるかと思われます」と鈴木先生。ちなみに40~50代では、3人に1人が尿もれの症状があるといわれています。
腹圧性尿失禁や切迫性尿失禁などは身近な症状かと思いますが、これらは残念ながら時間が解決するというものではありません。日常生活で気にならないのであれば問題ありませんが、もし、気になるようであれば量や頻度に関係なく泌尿器専門科の受診を。
「尿失禁は、質性病変(例えば癌など)によって症状が引き起こされる可能性もあります。深刻なことに至らなくても、早めに受診することでその可能性を否定することも大事」(鈴木先生)
腹圧性尿失禁の場合は、自分でできる改善策として骨盤底筋体操があります(体操の方法は、こちらを参考に)。ただ、トレーニング的なものなので、最低2〜3ヵ月は継続することが必要。コツコツとおこなうことが大切です。
切迫性尿失禁の場合は原因にもよりますが、内服薬にて症状を軽減できる可能性もあるので、早めに受診して医師に相談してみると良いでしょう。
尿もれという、更年期など加齢によるものと軽視しがちですが、「男性の場合は尿道が長く前立腺もあるため、女性以上に注意したほうが良い」と鈴木先生。
「男性の前立腺は加齢に伴い徐々に増大していき、一部は癌化します。前立腺の増大が進行すると徐々に排尿困難になり、排尿後も膀胱内に尿が残る(残尿)ように。残尿が増えてくると、尿意がある場合はトイレに何度も駆け込む(頻尿)ことで対処できるのですが、膀胱内が尿で満たされても尿意を感じなくなると、溢流性尿失禁状態になります」。
溢流性尿失禁状態の状態が長く続くと、膀胱内の尿が腎臓に逆流することに。(腎後性腎不全)前立腺肥大症だけではなく、前立腺癌でも排尿障害や溢流性尿失禁は起こりうるので「最近、トイレが近いな」と思ったら、早めに相談するのが何よりもの安全策です。
「尿失禁は、今すぐ生命維持に直結するわけではありませんが、泌尿器系の病気を患うと生活の質を下げてしまうことになります」(鈴木先生)。少しでも症状が気になるようなら、遠慮なく泌尿器科を受診し相談するのが一番ですね。
(文・川原好恵)
この記事の監修
Dクリニック大阪メンズ 院長 /Dクリニック大阪ウィメンズ 院長
日本泌尿器科学会専門医
鈴木 雄一郎(すずき ゆういちろう)
2002年3月 日本大学医学部卒業
2002年4月 東京都立府中病院他 勤務
2006年4月 東京大学 医学部 形成外科入局
埼玉医科大学 形成外科
2007年4月 日本大学医学部他 勤務
2010年4月 日本大学医学部付属練馬光が丘病院他 勤務
2016年5月 Dクリニック東京 勤務
2021年1月 Dクリニック大阪 メンズ、Dクリニック大阪ウィメンズの院長就任
2024年4月 Dクリニック新宿 院長就任
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