ホルモン強化月間の3週目の今回は、女性にとっても多い、男性にはナイショにしておきたい悩みについてレポートします。
それは人には言いにくい下半身の悩みのひとつ“尿モレ(尿失禁)。
尿モレなんていうと高齢者に多い症状と思っている人がいるかもしれませんが、軽い尿モレなら、20~30代で経験する人もいます。妊娠中や産後に尿モレを起こすようになった人が多いようです。成人女性の3人に1人は尿モレを実感しているといいます。ですから、「自分だけかも……、恥ずかしい」なんて思う必要はないのです!
せきやくしゃみをしたとき、スポーツ中や重たい物を持ったときなどに、尿がちょこっと漏れてしまう……。このような症状は「腹圧性尿失禁」といって、おなかに力がはいったときに起こります。
では、なぜ尿モレが起こるのか。まずは原因からチェックしましょう。
尿もれの原因でいちばん多いのが、「骨盤底筋群(こつばんていきんぐん)※」のゆるみ。もともと女性の体は男性と比べて、尿がモレやすい構造になっています。さらに、出産や加齢による筋力低下などで骨盤底筋群がゆるんでしまうと、一層尿がモレやすくなってしまうのです。
※骨盤底筋群:膀胱、尿道、子宮、直腸などを骨盤の底から支えている座ぶとんのような筋肉や繊維組織群のこと。尿道・腟・肛門を締める役割もあります。
●出産 ●肥満 ●加齢 ●運動不足、筋力不足 ●極端なダイエット ●喫煙の影響 ●病気の治療(子宮摘出など)の影響 など
1.妊娠中や産後
出産後、尿モレが回復する人がほとんどですが、難産などで骨盤底へのダメージが大きかった人は、年齢ととともに尿モレがひどくなる可能性も。妊娠・出産でゆるんだ骨盤底筋群を、産後しっかり元に戻しておくことが大切ですね。
2.更年期以降(40代半ばごろ〜)
一般に、30代後半ぐらいから女性ホルモン(エストロゲン)の分泌量が低下。エストロゲンは粘膜の潤いやコラーゲン合成とも関係しています。更年期以降は、加齢の影響に加えてエストロゲンが急激に不足していくことから、尿道粘膜や骨盤底筋は萎縮し、ゆるみやすくなります。
恥ずかしいと尿モレを放っておくと、年齢とともにその症状は徐々に加速します。ですから、「アレっ!?」、「あっ!?」と実感したら、できるだけ早くケアをすることが大事です。また、今症状が出ていない人も「私は大丈夫!」と甘く見ていると後悔するかもしれません。3人に1人は尿モレを感じているのですから、即ケア&予防が大事です。ケア法は難しくないので、今日からでも実践してみてください!
軽い尿モレなら、肛門と膣を「締める、ゆるめる」を繰り返すだけの骨盤底筋トレーニングを続けることで十分改善できます。大切なのは、正しい方法を覚えて、ずっと継続していくこと。
「さあ、やるぞ!」と、気合いを入れすぎると続かなくなってしまうので、「何かをしながら行う、気づいたらその都度行う」くらいの軽い気持ちで続けるのがオススメ。毎晩お風呂で行うとか、毎日のスキンケアと同じように習慣にしちゃうとラクですよ。
骨盤底筋郡を鍛えるといってもどの部分を動かせばいいかわからないはず。まずはこの方法で動かす部分を確認してみましょう。
立ってだと力の具合がわからない場合もあるので、座って行うといいでしょう。浴室のイスや湯船に腰掛けて、キュッと肛門と腟を締めて5秒キープ。その後、ゆっくりとゆるめます。10回で1セット。
★point
腟と肛門の間の部分がキュッ、キュッと動けば効いています。最初のうちは、動いているか軽く触れて確かめながら行うとコツがつかめます。
背もたれのあるイスに座り、脚を少し開きます。おしりを少し前にずらし、上体を背もたれにつけてリラックス。この姿勢で肛門まわりをギュッと引き締め10秒継続後、脱力します。10回で1セット。
出典:長野茂(フィットネス研究所代表、日常ながら運動推進協会、ダンベル健康体操指導協会、アロマフィットネス協会各代表)
こちらの記事でもトレーニング法を紹介しているのでチェックしてみてください。
自分がやりやすい方法をひとつ選んで、1日1セット行うだけでも、骨盤底筋郡は鍛えられます。キュッと締めている感覚がつかめるようになれば、筋肉が使われてきている証拠なのです!
猫背、肥満など、腹圧がかかる姿勢・体形を長年続けてきた人は、骨盤低筋群がゆるみやすく尿モレリスクが高くなります。また、エストロゲンが不足する更年期以降は、それまでやせていた人も太りやすくなり、お腹に脂肪がつきやすくもなるので、腹筋をつけたり、適正体重をキープすることを心がけましょう。
腹式呼吸するだけでも骨盤底は動きます。背筋を伸ばしてとお腹から息を吸って吐くことを意識するだけでも、尿モレ予防には効果的なのです。
文/フリーライター・エディター 及川夕子
【プロフィール】
女性誌、健康・美容雑誌、新聞などを中心に、取材・執筆、広告コピー作成などを手掛ける。近年は、メノポーズカウンセラー、健康食品コーディネーター、オーガニックアドバイザーの資格を生かし、医療方面の取材・執筆も多数。女性ホルモンや女性特有の病気、不妊治療などのテーマを軸に執筆活動を続けている。
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