昼夜の寒暖差が激しい春先は、まだまだ冷えが気になる季節。冷えというと、つい女性のお悩みというイメージをもたれがちですが、実は男性にとっても放っておくとコワイ存在。
一般的に、「男性は女性よりも筋肉量が多いために冷えにくい」といわれてきましたが、男性特有の生活習慣が、冷えによる不調を招いているともいわれています。男性のからだを冷やす要因から、冷えがもたらす意外な不調、そして男性でも習慣にしやすい“温め術”まで、知っているようで知らない“男の冷え”についてお伝えします。
ここ数年、増えているという男性の冷え。その要因は、ライフスタイルと深く関係があるといわれています。
女性の場合、美肌やプロポーションを維持するためにバランスの良い食事を心掛ける人が多いもの。それに対し男性は、野菜嫌いのお肉好きだったり、お酒のあてにお菓子や揚げ物を多く取りすぎてしまったりと、栄養バランスを崩してしまいがち。栄養バランスが偏ると代謝力が低下してしまうため、冷えを招きやすくなってしまうのです。
とは言え、いくら栄養バランスが整っていても、食べ過ぎはダメ。食べ過ぎると血液が胃腸に集中し、熱産生量の多い筋肉やほかの器官への血液供給が減ってしまうため、冷えにつながってしまいます。
毎日夜遅くまで残業したり、土日を返上して仕事をしたり……という人も冷えの可能性大。ON・OFFのメリハリのない生活を長く続けてしまうと、自律神経が乱れ、血行不良となり、冷えが起こりやすくなります。
歓送迎会が増えるこの時期は、普段規則正しい生活をしている人でもリズムが乱れがちになるので、意識的に立て直すケアを取り入れたいもの。
また、「長時間パソコンに向かう」「1日中立ちっぱなし」など、同じ姿勢を長く取り続ける生活をしている人も要注意。血液が足に溜まって冷えを引き起こしやすくなります。
責任のあるポジションに就いたり、引っ越しや異動で環境が変わったり、寒暖差の大きい春先特有の気候だったりと、からだではなくメンタルにダメージを与えるストレスも、冷えを招く要因。このメカニズムも②と同じく、自律神経の乱れから。末梢血管が収縮し、手足の冷えにつながるのです。
“冷えは万病のもと”といわれるように、単に手足が冷たくなるだけではありません。血流不足による肩こり、腰痛、目の下のクマは想定内かもしれませんが、頭痛や不眠、イライラ、集中力の欠如、 食欲不振といった“思わぬ症状”も現れやすくなるので、ビジネスマンこそ“放ったらかし”は厳禁。
仕事のパフォーマンスを上げるためにも、冷えにくいからだを維持することが大切です。
また、体の冷えは粘膜血流障害を起こし、アレルギーに対する抵抗力を低下させてしまうともいわれるため、くしゃみや鼻水、涙といったアレルギー反応が引き起こされるケースもあるそう。
他にも、血液の巡りが悪くなることで内臓の働きが低下し、老廃物がうまく排出されなくなり、皮膚細胞の再生・回復にも影響が出ることも。
これらの不調は、一見冷えとは結びつかないからこそ、すぐに適切に対処するのが難しいもの。からだを冷やしてはいけないのは女性も男性も同じ。健やかなからだでデキる男を目指すなら、日ごろからからだをいかに冷やさないかを少しでも意識しておくことが大切なのです。
あらゆる不調の引き金になる冷え。これを予防するには、生活習慣の見直しが不可欠です。比較的トライしやすく効果的なのが下記の4つ。どれも簡単なので、できるところからぜひ取り入れてみましょう。
人間の血液は、からだを1周するのにおよそ1分かかるといわれます。血行が促進される入浴は、その“回転率”をアップさせる最適な手段。「ふだんはシャワーで済ませがち」という人も、数分でも湯船につかるよう意識してみるだけで、効率よくポカポカBODYを目指すことができます。 また、入浴でからだを温めておくことで、入眠がスムーズになったりOFFモードにリセットすることができるため、仕事のパフォーマンスも向上しやすくなります。
丼物やラーメンなどの単品料理ばかり食べていると、栄養バランスが偏りがち。サラダや小鉢、スープなどで、ビタミンやミネラル、酵素などが豊富な食材をプラスしましょう。冷たい食べ物や飲み物は極力控え、ショウガなどのスパイスや、カボチャやニンジンなどの根菜類など、身体を温める効果のある食材を意識的に取り入れる工夫を。
長時間座りっぱなしだったり、1日中立ちっぱなしという時は、休憩時間にストレッチを。伸びをしたり、足首の曲げ伸ばしをしたり、かかとの上げ下げをしたりして、筋肉のハリをほぐし、滞った血流を全身に巡らせましょう。
昼夜も土日もない生活は、睡眠不足に陥り集中力や判断力が低下しやすくなるため、頑張っているつもりでも、仕事のパフォーマンスが下がっていたりしませんか?
早寝早起きを心掛け、夜や休日はしっかり休むように生活リズムを改善していくことで、自律神経のバランスが整い、冷えにくいからだを目指せるようになります。
疲れがとれない、仕事に集中できない、肌が荒れやすくなった。こうした一見無関係に見える不調の数々は、すべて冷えが原因だった……ということは大いにあります。ONタイムとOFFタイムの時間の使い方や、日々の食べ物などを少し工夫するだけで改善することができるので、冷えにくい健やかなからだづくりを意識すれば、仕事もプライベートも、もっともっと充実するはずですよ。
運動不足は体の新陳代謝が滞り、血流が低下して冷え性の原因になります。日頃から適度な運動を行い、冷え性の予防に務めましょう。
・ウオーキング
冷え性の改善であれば、1日8000歩を目安にウオーキングすることをお勧めします。わざわざスポーツウェアに着替えなくても、エレベーターを使わずに階段を使う、バス1区間分を歩くなど、日常生活の工夫でカバーできます。
・下半身を鍛える
下半身には筋肉が集中しているので、筋トレをするならスクワットなどで下半身を動かすと、効率的に冷え性の改善に役立ちます。急にハードな筋トレをすると体を傷めてしまう可能性があるので、適度な負荷にとどめましょう。
生活習慣が乱れたまま不規則な生活を続けていると、血流が滞り、冷え性の原因になります。適度な睡眠やバランスの取れた食事、ストレスを溜めないことなど、生活習慣の改善をすることで冷え性が予防されます。
(文・坂井七緒美)
<参考文献>
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