肌の炎症を引き起こしたり、シミやシワ、くすみ、たるみといった肌老化の進行を加速させたりと、美容界でも急速に関心が高まっている大気汚染の問題。なかでも近年深刻化しているPM2.5は、今や紫外線に並ぶ美肌の大敵として、化粧品メーカーの間でも日進月歩の研究対策が進んでいます。
PM2.5は、人の毛穴の約20分の1以下(=2.5マイクロメートル)という、極めて小さな粒子状の汚染物質。これが肌に付着すると、表皮の下や毛穴の奥まで入り込み、有害物質とフリーラジカルを発生させて、肌のバリア機能や肌内部のタンパク質にダメージを与えます。
季節はずれの乾燥や肌荒れ、あるいは肌老化のサインに悩まされている人は、気づかないうちに大気汚染物質に侵されている可能性大。特に汚染が深刻な都市部では、今や誰もがその影響にさらされているといっても過言ではないのです。
肌老化の原因は、その8割が外的な要因によるものであるということが、最近の研究でわかっています。つまり、「肌は守れば守るほど、老化を遅らせることができる」というわけです。考え方次第で、だいぶ気持ちも前向きになりますよね。PM2.5を始めとする汚染物質に関しては、何よりも洗顔が大切。毛穴に入り込んだ物質は、一日の終わりに必ず取り除く習慣をつけましょう。
ここで気をつけたいのは、むやみにゴシゴシと洗いすぎて肌を傷つけたり、逆に、不十分なすすぎで汚れを残したままにしないようにすること。時短ケア派の人、洗顔に自信がない人は、超音波ブラシなど低刺激の洗顔ツールを使用するのも有効な手立てです。
都市を生き抜く現代女性のために開発されたスキンケアラインが、多くのブランドから次々と登場しています。その多くに特徴的なのは、紫外線はもちろん、PM2.5、黄砂、排気ガス、たばこの煙など、あらゆる外的刺激をはねのけ、汚染微細粒子を肌に付着させない最新技術を採用しているという点。アイテム的には、敏感肌でも使える優しいクリームから高機能なデトックス美容液まで、さまざまなニーズを満たすバリエーションが広がってきているので、自分の肌質やライフスタイルに合ったものを選び、揃えておきましょう。
また最近では、PCやスマホ、蛍光灯などから放たれるブルーライト対応も注目されています。ブルーライトとは、「第3の紫外線」とも呼ばれる可視光線で、その波長特性から肌の奥まで届き、肌老化に関わるといわれています。寝る前にスマホの光を浴びすぎると眠れなくなるといいますが、これもブルーライトの仕業。頭が興奮状態となり、寝つきが悪くなると、結果的に肌トラブルを招いてしまうことから、室内にいる時も油断は大敵です。ブルーライト対応コスメは、UVやBB、CCクリーム、コンシーラーといったベースメイクを中心に取り揃ってきています。紫外線防御も兼ねた光対策として、朝のスキンケア習慣に取り入れたいですね。
洗顔後は、抗酸化力のあるビタミンCなどを配合したスキンケアがおすすめ。ビタミンCは肌老化の原因となる酸化を防ぐ効果があるほか、美白効果も期待できます。サプリやドリンク、最近ではビタミンC点滴など体の内側からも積極的に摂取して、どんな環境ストレスにも負けない肌づくりを目指しましょう。
(文・合六美和)
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