急に立ち上がったとき、フラフラする。お風呂で長湯後に立ち上がったら頭がクラクラしたり、一瞬目の前が真っ暗になる。そんな身近な不調のひとつ「立ちくらみ」。
一時的なものとはいえ、できれば経験したくないですよね。転倒して怪我をするケースもあるので、注意が必要です。
そこで今回は、一般的な立ちくらみの原因や対処法、予防策について紹介します。
立ちくらみは、「脳貧血」とも呼ばれますが、血液に何らかの異常のある貧血とは別のもの。その名の通り、急に立ち上がったときによく起こる、低血圧の症状のひとつ。つまり原因は、【血圧の低下】。
起き上がる、立ち上がるなどの日常の動作で頭部の位置が急に上に移動したとき、フラついたり、気が遠くなったり、めまいを起こす、というのが立ちくらみの主な症状。電車の中や学校の朝礼などで長時間立っていて発生するケースも多々。ひどい場合には、失神してしまう場合も。
人が急に立ち上がるとき、血液は下半身に集中します。通常なら【自律神経】が血圧の変動をうまくコントロールし、下半身の血管を縮めて血液を押し上げ、上半身の血液を保つように働きます。しかし、この自律神経が十分に機能していないと、急に立ち上がったときに血圧が下がり、脳に送られる血液量が一時的に少ない状態になり、立ちくらみが起こるといわれています。高齢者や子ども、若い女性に多くみられるのも特徴のひとつ。
では、この立ちくらみが起きたとき、どのような対処をすれば良いのでしょうか?
健康な人でも、疲れているときや栄養状態が悪いときなどに起こることがあるとされる、立ちくらみ。急に立ちくらみが起きたら、めまいの症状が出たときと同様、まずは安静を心掛けるのが基本。転倒しないように注意しながらその場でしばらく休みましょう。
受診先は、内科または神経内科、女性なら婦人科が適しているとされます。
病院では、鉄欠乏性貧血など、血液の異常で貧血になっていないかなど、他の要因も調査。座っているときと立っているときの血圧を測定することで、起立性低血圧を確認します。
起立性低血圧と判明したらその原因を調べ、多くの場合は生活習慣の改善やサプリメントを補うなどの対処で様子をみます。症状によっては薬が処方されます。
思わぬときに起こるのが立ちくらみですが、每日の生活の中で予防することはできないのでしょうか?
立ち上がるときや起き上がるとき、座るときは、ゆっくりとした動作を心掛けましょう。低血圧になっている朝は特に、寝ている状態から急に立ち上がらないように。入浴時、湯船から上がるときも意識してゆっくり動くのがベター。また、長時間立ったままでいないようにすることも立ちくらみを防ぐひとつの手です。
ストレスや疲れ、季節の変わり目などで自律神経のバランスが乱れると、血圧の調整がうまくできなくなり、立ちくらみが起きやすいといわれます。規則正しい生活やバランスのとれた食事を心掛ける、ストレスや疲れをためない、アルコールを控える、普段から低血圧の人は水分を多めに摂るなど、基本的なことができているかどうか確認してみると◎。
適度な運動で下半身を鍛える、弾性ストッキングを履くなどして血流のサポートをしてあげることも大切。屈伸運動、かかとの上げ下げなども効果的。
高齢者の立ちくらみは、やはりからだのさまざまな機能が低下することとも深く関係しているよう。近くにお年寄りがいる場合などは、電車の席を譲るなどの配慮も忘れないようにしたいもの。また、立ちくらみだと思ったものが失神である場合などは、思わぬ病気が隠れている可能性もあるようです。気になる場合は、必ず専門医を受診しましょう。
(文・大津礼保奈)
参考文献
立ちくらみ(起立性低血圧)とは(エーザイ)
http://www.eisai.jp/diseases-and-symptoms/detail/pbaid_3_nodeid_149_faqid_239_detail.html
めまい(タケダ健康サイト)
http://takeda-kenko.jp/navi/navi.php?key=memai_me
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