山田 朱織(やまだ しゅおり)
第一回目では、快適な眠りのためには、首を休めてあげることができる枕環境が大事というお話をしました。今回は、より深い眠りを維持できるようにするために。寝相に注目します。今週もオリジナル枕開発などで今までになかった着眼点で睡眠姿勢を研究・指導されている16号整形外科院長の山田朱織先生から、「え!? それって間違っていたの?」という睡眠のコツを教えてもらいました。
昔から“寝相が悪い”=体に悪い、行儀が悪いと思われてきました。
よく「私はお行儀よく、寝返りは打ちません」とか「寝たときと同じ姿勢のまま朝起きます」という人がいますが、これは決してよいことではありません。
快適な睡眠を得るために、大切なのは、いかに快適に“寝返りを打てる”かということ。人間は背骨がある脊椎動物です。背骨の中にある神経を休めていられるのは、体を横にした睡眠時なのですが、首だけでなく、体全体もじっとしていることがこの神経を休めていることにはならないのです。首も体も枕や布団の上で抵抗なく、自由に寝返りを充分打てることが、神経を休め、深い睡眠に繋がっているのです。ですから、じっと同じ姿勢で寝るという人は睡眠の体勢としてはつらい可能性があるという自覚を持った方がいいかもしれません。
また、朝起きて疲れが取れていないという人も自由に寝返りが打てていない可能性があるので、睡眠環境を見直す必要があるのです。
自由に寝返りを打てる環境作りというと、マットレスや敷きふとんを硬めにすることを連想する人も多いでしょう。でも、それだけではありません。いくつかのポイントをまとめてみました。
敷く物は、硬い方がいいと思っている人がいますが、一概にそうとも言い切れません。
腰は一番沈み込むので、その部分が“くの字”に沈み込まず、敷物の上で違和感なくコロコロと寝返りが打てるものを選ぶことが大事です。
寒い季節は、防寒でフリースや起毛した素材のシーツやパジャマを着ている人が多くいるようです。でも実は、あまりオススメできません。というのもフリースや起毛した素材は、摩擦が大きく、布団の中で体を自由に動かすことができません。できれば、シルクやサテンなど表面がツルツルした素材のシーツやパジャマを。布団の中で泳ぐように動ける素材が深い睡眠には重要です。
毛布が必須のこの時期。どうやって使っていますか? 多くの人は、肌と布団の間に重ねて寝ているはず。でも、毛布が布団の中にあると体にまとわりつき、寝返りを邪魔してしまいます。寝返りを考えると、布団の上、一番トップに毛布を重ねるのがいいでしょう。このほうが実は保温効果も高いことがわかっています。肌に触れる面はまとわりつきにくい羽毛ふとんなどにしましょう。
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山田 朱織(やまだ しゅおり)
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