板橋 里麻(いたばし りま)
美味しくランチを食べてお腹いっぱいになった午後は、ついパソコンの前でウトウト……そんな経験、多かれ少なかれ誰にでもあると思います。
食事した後は、体のエネルギーが消化器系に集中するため、眠くなったり、頭の回転が遅くなったりするのはむしろ当たり前のこと。
ただ、仕事に支障を来たすほど眠くなるのは、改善の余地あり。食事の内容や食べ方を見直したほうがいいかもしれません。
なぜ、そんなに急激に眠くなってしまうのでしょうか? 管理栄養士の板橋里麻さんによると「糖質」が大きく関係しているそう。ご存知のように糖質を摂ると、血液中の糖(血糖)が上昇します。そして、血糖値が上がると交感神経が活発化することに。交感神経をわかりやすくいうなら、戦闘モードの神経といったところ。食後に血糖値が上がり切ると、今度は血糖値が下がり、副交感神経が活発化します。副交感神経はリラックスモードの神経。この副交感神経が優位になると、緊張感がなくなり眠くなってしまうというわけです。
多少の眠気は仕方ないとしても、血糖値の上昇が急激過ぎるとその反動で血糖値が低くなり過ぎてしまい、堪え難いほどの眠気が襲って来ることに。それだけでなく、イライラや気分の落ち込みを感じることもあるそうです。できれば、そんな状態は避けたいもの。そのためには「血糖値は緩やかに上げて、緩やかに下げる」がポイントだそうです。
では、具体的にどのような点に注意すればいいのか、整理してみましょう。
ご飯は白米より玄米、雑穀米、分づき米を、パンは食パンなどの白いパンよりライ麦パンや全粒粉パンを、麺類ならうどんやそうめんより蕎麦がおすすめ。真っ白のものは避けると覚えておくといいようです。
野菜、海藻、きのこなどの食物繊維が多い食べ物は、血糖値の急激な上昇を抑えるうえ、カサがあるので少しの量でお腹がいっぱいになり、食べ過ぎを防ぎます。
食べる順番をちょっと気にするだけでも、血糖値の急激な上昇を防げます。まず野菜を食べて、次に肉や魚などの主菜、最後に主食であるご飯やパン・麺の順番でいただきましょう。
食べる量が多くなれば、それだけ血糖値の上昇につながります。まずはご飯や麺などの炭水化物の量を減らすことから意識して、全体の量は腹八分目を心掛けましょう。
以上を意識することで、食後の眠気防止が期待できます。お腹がペコペコ、でも時間がないから丼物やうどん・ラーメンを大急ぎでかき込む……これでは、血糖値が急激にアップダウンして眠気に襲われ、食後は効率ダウン。注意しましょう!
「お腹も満たしつつ食後の仕事もペースアップしたい」そんなときにおすすめなのは、野菜をたっぷり含むおかずスープ。野菜やきのこが血糖値の上昇を緩やかにし、眠気を起きにくくしてくれます。
さらに、あさりや豆乳のビタミンB12は、神経や脳を正常に働かせ、大豆に含まれるレシチンが脳を活性化。また、チーズに含まれるカルシウムも神経伝達物質として欠かせませんし、ツナに含まれるDHA、EPAが脳の働きを良くします。
おすすめの食材づくしのスープではありますが、美味しいからと食べ過ぎてしまっては本末転倒。腹八分に済ませることを忘れずに!
【材料】
*作りやすい量4~5皿分
【作り方】
1、あさりは塩抜きしておき(★)、たまねぎは粗みじん切り、かぼちゃは2cm程度の角切りにする。れんこんは半月切りにして、酢水(分量外)につけておく。しめじは石づきを取って、小房に分ける。ブロッコリーは小房に切り分けて、固めに茹でておく。
2、鍋にバターを熱し、たまねぎ、れんこんを加えて炒める。たまねぎが透き通ってきたらあさり、ツナ缶(汁ごと)、かぼちゃ、しめじ、水を加え、蓋をして煮る。
3、あさりの口が開き、かぼちゃに火が通ってきたら、豆乳、粉チーズを加え、塩・こしょうで味を調える。雑穀入りのパンを添えて、いただく。
★あさりの砂抜き
水400ccに塩小さじ2程度を加えた塩水に1時間程度おいておく。
(文・川原好恵)
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