中川 登紀子(なかがわ ときこ)
ふと気づくと、増えている白髪。不思議なもので、白髪があると顔全体が老けて見えると感じることはありませんか? 白髪=加齢による現象ということもあるのですが、それだけでなく、視覚による“色”の印象が大きく関わっているのです。そんな色の効果を髪色や肌色、メイクなどで研究している中川登紀子さんに4回にわたってお話を伺うことに! 第一回目は、白髪が与える色の視覚効果について教えていただきました!
ある調査によると白髪がある人とない人では、顔の印象が平均で3歳は老けてみえるといいます。白髪が映えることが老化現象であるという先入観もありますが、原因は“色”による印象もあるのです。
日本人の肌色は、オークル系の人が多いですが、髪の色で肌の色の見え方は変わります。
下のふたつの写真を見てください。
中心の肌色は左右まったく同じ色ですが、左の黒系の髪色と右のブリーチした明るい髪色と比べると、右の明るい髪色のほうが中心の肌色が少し濃く、くすんでみえませんか? 白髪も同じ現象が起きます。黒髪に比べて、髪色が明るい白髪のほうが、肌のくすみやシミやシワなど顔の影になっている部分が視覚に目立ってしまうのです。
特に、肌は年齢とともに肌のキメや弾力の低下、肌に厚みが出ることなどで、もとの肌色よりも少しずつくすみやすくなります。そこに白髪が加わると、さらに肌色のトーンが下がった印象に見えてしまうことがあるのです。
平家物語や源平盛衰記にも出てくる越前の武将の斎藤実盛という人を知っていますか? 当時70歳と伝えれる実盛ですが、源平合戦で他の若い武将に負けぬように、白髪の頭を墨で染めて、黒々とした頭で戦ったと伝えられています。強さが必要な戦の世界では、老いは不利にみえると感じていたのでしょうか。
でも、男性は女性に比べて、もともと肌弾力もキメも低いので、白髪になったときに顔全体のくすみが強く出る傾向があります。
もちろん、白髪が男としてのシブみになることもあります。責任を追う立場になった場合や少し印象を重厚にしたい場合には白髪も味になるかもしれませんが、多くの場合は実年齢よりも少し老けた印象に。30~40代の場合は、上手に白髪染めを活用するほうがいいかもしれません。
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中川 登紀子(なかがわ ときこ)
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