聖マリアンナ医科大学 特任教授
井上 肇(いのうえ はじめ)
「なんだか最近、肌のくすみが気になるからビタミンCを2~3倍摂るようにしているの」とか「昨日徹夜だっらから今日はビタミンB群たっぷり補ってます!」という人、少なくないのでは?
サプリメントを摂取するタイミング、また表示されている摂取量を自分の体調に合わせてアレンジしている人は意外と多いようです。はたして、こういった摂り方は大丈夫なのでしょうか?
サプリメント特集の最終週の4回目は、「効率がいい摂取」について考えてみましょう。
サプリメントで、摂取している人が多いビタミンCとビタミンB群。ビタミンBコンプレックスという言い方をしているところもあります。美肌やお疲れに欠かせないビタミンなので、積極的に摂っている人も多いよう。でも、実はこのふたつのビタミン、水溶性ビタミンなので体に吸収されない分は尿として排出されてしまいます。不要な分は尿として排出されるから安全という人もいますが、でも、過剰に飲んで出てしまっては無駄ともいえるわけです。
また、ビタミンCは美肌対策で飲んでいる人も多いのですが、ビタミンC単体では、美肌効果はイマイチ上がりません。肌の弾力などに関係するコラーゲンを作るためには、このビタミンCといっしょにタンパク質も摂らなくては合成されないのです。ビタミンCもBも補酵素と言われるものなので、一緒に組み合わせるものがないと正しい働きをしてくれないわけです。
ビタミンには、水に溶ける性質の水溶性ビタミンと、脂に溶ける性質の脂溶性ビタミンの2種類があります。ビタミンCやビタミンB群は水溶性ビタミンに該当します。
脂溶性ビタミンは体内に蓄えられるので、過剰摂取はむしろ好ましくありません。それに対してビタミンCやビタミンB群の水溶性ビタミンは、容易に尿から排泄されてしまうので、朝一度に大量に服用しても、夕方にはなくなってしまいます。
正しいビタミン摂取が、「みかけビタミン不足」の解消につながります。ビタミンCやビタミンB群を摂取するタイミングはとても重要です。
ビタミンCやビタミンB群を摂取するベストなタイミングは、朝と夕方の1日2回、または朝昼晩の3食に合わせることです。必要量の水溶性ビタミンが適宜摂取されれば、余剰なビタミンが体外に排出される事なく効率的に補給することになるので、1日を通してビタミンCやビタミンB群が不足することはありません。
なおビタミンCは、就寝中には吸収率が良くなることから、就寝前に摂取するのも有効です。
【美肌を狙うなら】
弾力がある肌を作りたい、傷を治したいというときには、ビタミンCの力は重要です。でも、いっしょにコラーゲンのもととなるタンパク質を摂取しないと意味がありません。
肉や魚、大豆製品などのタンパク質をしっかりと摂取していっしょにビタミンCが含まれる食費やサプリメントを摂取しましょう。
【紫外線対策なら】
ビタミンCは日焼け対策にも効果を発揮します。
できれば、日焼けしてしまったあとよりも、今日は紫外線を浴びるかも、というときに、しっかりと摂取しておくといいでしょう。
【風邪対策なら】
ちょっと風邪気味かも、というときにはビタミンCは有効です。
こういったときには、体がエネルギーとして欲しているので、いつもよりも少し多めに摂取してもいいでしょう。
【疲労回復】
お疲れ対策に配合されているのがビタミンB群。ビタミンB群も水溶性なので、摂り過ぎると尿で出てしまうので、必要以上に多く摂るのはもったいないことに。疲労回復の場合は、疲れたなと思ってから飲むのではなく、「今日は仕事が忙しいかも」「徹夜になりそうな気配」というときに、あらかじめ摂取しておくのがいいでしょう。
ですが、サプリメントは薬ではないので、食事でタンパク質や炭水化物などをしっかりと補って、休息することも大事です。
この記事の監修
聖マリアンナ医科大学 特任教授
日本臨床薬理学会 認定薬剤師/日本臨床薬理学会 指導薬剤師
井上 肇(いのうえ はじめ)
星薬科大学薬学部卒、同大学院薬学研究科修了。聖マリアンナ医科大学・形成外科学教室内幹細胞再生医学(アンファー寄附)講座 特任教授及び講座代表。幹細胞を用いた再生医療研究、毛髪再生研究、食育からの生活習慣病の予防医学的研究、アンチエイジング研究を展開している。
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