椎名 由紀
いよいよ、最終段階の立って行う腹式呼吸のレッスンに入っていきます。腹式呼吸は立って行うよりも座って行ったほうが、上半身の力を抜くことができやすいのです。ですが、立った形でも腹式呼吸ができるようになると、無意識にある体の力みや無駄な力がぬけ、ストレスを溜め込まない体にと変わってきます。まずは、今回は立って行う腹式呼吸をマスターする前の準備レッスンです。全身を気持ちよく伸ばして、体の力みを取って、体も心もほぐしてきます。『ZEN呼吸法』で今話題を集める呼吸アドバイザー椎名由紀さんがやさしく解説します!
「腹式呼吸は、心も体もゆるんだ状態で行い、ストレスなどを解消してくれる呼吸法です。ですが、現代に生きる私たちの体はカチカチに凝り固まっています。頭で体をゆるめなくては、と思っても、上手にゆるめることができなくなっているのです。このゆるまない状態で腹式呼吸を行おうとしてもうまくいきません。腹式呼吸をやっていると思っても、体が固まった状態だと、胸式呼吸になり、逆にストレスを増長させてしまうこともあるのです。呼吸法は心にも体にも大事ですが、単に呼吸だけすればいいわけではないのです。いい呼吸ができる準備を行うことも必要です」(椎名さん)
「3回目では、仰向けになった状態で体をゆるめるコツをご紹介しました。今回は立った状態で体をゆるめる方法をレッスンしましょう。
そこで、ご紹介したいのが『天地ストレッチ』です。ゆっくりと呼吸をしながら、体の余分な力を抜いて上下に伸びます。詳しくは下図に合わせて行ってみましょう。このストレッチは横隔膜の周りを伸ばすために必要なレッスンですが、首や肩、背中、腰などのコリにも効果的です。年齢とともに体は縮みがちになり、姿勢も老けて見えがちになります。気づいたらこの天地ストレッチで伸ばしてゆるめてあげるといいでしょう」(椎名さん)
両足を肩幅に開いて、全身の余分な力みを抜きます。両手を前で組んで、息を吐きながらゆっくりと手のひらを上にして天井を押し上げるようにして全身を伸ばします。このとき、かかとは上げず、足裏は床をしっかり押して、上半身と下半身で引っ張り合うようなイメージで伸びます。
息を吸って一旦腕を少しゆるめます。ふたたび息を吐きながら、ゆっくりと上体を右側に倒していきます。深く曲げるのではなく、斜め上に伸びる感覚で。無理しない位置で、左脇腹が気持ちよく伸びるところでキープし、左足は床を押すような気持ちで。余裕があれば首を少しひねって天井に視線を向けます。逆側も同様に行います。
息を吸って、再び息を吐きながら、結んでいた手をほどいて、手のひらを下にして手を下ろします。このとき指先が遠くへ引っ張られるように大きく動かしながら伸ばしていきます。
この記事の監修
椎名 由紀
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