椎名 由紀
前回までで、自分の呼吸のタイプを確認できましたか? きっと、呼吸が早かったり、胸で呼吸していたりと、緊張型の呼吸を繰り返している人が多かったはずです。でも、緊張型の呼吸はストレスを溜め込むので心にも体にもよくありません。今回は、理想的な呼吸のファーストステップの“腹式呼吸のイメージ”を『ZEN呼吸法』で人気の呼吸アドバイザー椎名由紀さんが丁寧に指南します!
「前回、胸でする“胸式呼吸”とお腹で呼吸する“腹式呼吸”の違いをお話しました。
現代人は、緊張やストレスなどから、常に胸で浅く速く呼吸をするクセがついている人がほとんど。この呼吸がさらに、緊張状態を増長させてしまうことに。リラックスしたいときは、腹式呼吸ができるようになるのが理想的です。
ですが、ほとんどの人は腹式呼吸ができません。"お腹を膨らませる呼吸でしょ、私はできますよ"という方の呼吸を何度か見せていただきましたが、残念ながら胸や肩も大きく動いてしまっています。赤ちゃんのときは腹式呼吸を誰もがしていたのに、そのあと、多くの人はお腹を使って呼吸することをやめ、緊張型の胸式呼吸に変わってしまったのです」(椎名さん)
「腹式呼吸を始める前に、まず体を緩める方法を覚えましょう。腹式呼吸ができない人は、緊張でカチカチになっています。この状態で腹式呼吸をしてもうまくはできません。まずは、体の緊張を取って、緩めることからスタートします。
この呼吸法は“ハケの呼吸”と呼ばれ、大きなハケで全身にドロリとした温かな栄養エキス(お薬バター)を塗られているイメージを連想します。なんだかとてもユニークな呼吸法ですが、江戸時代から伝わるZEN呼吸法の代表的なメソッドです。ハケでなぞられた部分が不思議と温まり、夜寝る前に行うと、体の緊張が解けて深く眠れるという効果もあります」(椎名さん)
① 仰向けになり、両足を腰幅に開く。枕の代わりに丸めたバスタオルを頭の下に敷く。腰の隙間に手のひらを入れ、背中でグッと手をつぶすように姿勢を決める。
② はさんだ手を腰から出して、リラックス。背中をべったり床につけるイメージで背面に体重を預け、全身の力を抜く。
③ 息を吐きながら、温めたトロリとしたいい香りのバターを特大のハケでなぞるように塗られているような感じをイメージします。ハケは頭の先から足に。次に足元から頭に向かって。これを2~3分繰り返します。
「ハケの呼吸」で全身が緩んだから、そのまま両手をおへそで三角形を作るように軽く置いて、腹式呼吸をやってみましょう。このとき、きちんとできなくても大丈夫です。鼻から吸った息をゆっくりとお腹に貯めます。このとき、手でお腹が膨らむのを実感しましょう。さらに、ゆっくりと鼻から息を吐きます。このとき、お腹が徐々に凹んでいく感じをつかんでください」(椎名さん)
お腹に手を添えて、ゆっくりと鼻から息を吐きます。このとき、お腹が徐々にしぼんでいく感じをつかみます。吐いた後は必ず吸いますから自然と入ってくる空気を受け取ります。このとき、手でお腹が膨らむのを実感。最初から沢山吐いて沢山吸おうと思わないのがポイントです。少しずつから始めます。
さぁ、いかがでしたか? 力が入ってしまって、うまくできないときには、ハケの呼吸に戻って、体を緩めることだけで十分です。焦ると胸式呼吸になってしまうので、焦らず行うのがポイントです。
次回は、オフィスで「深い呼吸ができる座り方」についてお伝えします! お楽しみに!
この記事の監修
椎名 由紀
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