30歳代~40歳代の女性で、肝斑に悩む人は多いようです。肝斑とは、頬骨の高い部分や額、口の周りなどにできる、境界線があいまいな色素斑。左右対称にできるといわれていますが、一般のシミのようにスポット的にできるタイプもあり。出産後に発症しやすかったり、閉経後には薄くなることが多いため、女性ホルモンが関与しているのではないか、といわれています。
また、肝斑にレーザー治療は禁忌だといわれていますよね。レーザーを当てると、肝斑が余計ひどくなるからだとか。それって本当? と思い、美容ジャーナリストたちからの信頼も厚い、アヴェニュー六本木クリニックの副院長 当山拓也先生に取材してきました。
「まず、シミと肝斑がどこにできるのか説明しましょう。一般的にシミと呼ばれている老人性色素斑は、表皮の上の方にメラニンが密集しているため、スポット状になって見えるのです。肝斑は表皮のいちばん下にある基底層に、メラニンがまばらに広がっている状態。
まばらなメラニンに、強い出力のレーザーで当ててしまうと、1個1個のメラニンだけでなく、正常な皮膚まで熱を持ち、広い範囲で炎症を起こして、色素沈着になってしまうのです」(当山先生)
だから、肝斑が濃くなったり、広がったように見えてしまうんですね! この炎症性色素沈着が治れば、肝斑も薄くなるそうですが、治るまでに半年から1年はかかるとか……。
「ですから当院では、メラニンに反応するQスイッチヤグレーザーを、炎症が起きない出力設定で照射しています。弱い出力なので、ゆっくりゆっくりメラニンが熱を吸収し、ゆっくりゆっくり破壊されていきます。ダウンタイム(施術後の腫れや色素沈着から回復するまでの時間)がなく、顔全体の透明感もアップ。その代わり、回数を重ねて、ゆっくり治療していくことになります」(当山先生)
アヴェニュー六本木クリニック(表参道クリニックも同様に)では、このレーザー治療を『レーザーブライトニング』と名付け、1ヵ月限定フリーパス 52.500円(最短施術は中4日空ける。最大6回/月)での治療メニューを実施。がんばれば通える価格設定もうれしいですね。レーザーブライトンングは、メラニンが真皮に落ち込んでいるADM(後天性真皮メラノサイトーシス)の改善も期待できるそう。
では、早速私も体験することに(右の画像はクリニックからお借りしました)。ダブル洗顔をし、素肌のままで照射されること5分近く。あっという間です。輪ゴムで弾かれたような痛みはありますが、余裕で耐えられる程度。その後、10分程クールダウンをし、スキンケアをして終了。私の場合、赤みや火照りなども出ず、見た目には何のダメージもなし。
これを書いているのは、施術から2日後ですが、全体的に透明感が出てきたようです。さらに、毛穴が目立たなくなるという効果も。これは、皮脂の酸化で黒ずんでいた毛穴周りのメラニンも、薄くなってきたから。複合的に透明感をアゲる治療なのだと実感しました。
「肝斑が気になる方は、洗顔のチカラ加減にも気をつけてほしいですね。ゴシゴシ洗顔をすることで、頬骨の出っ張りが擦れやすくなり、その刺激で肝斑が目立つこともありますから。また、メガネのフレームが、日常的に頬骨の高い部分に当たるだけでも、肝斑を濃くする可能性も。頬骨に当たらないようなフレームを選ぶようにしてください」(当山先生)
ホルモンだけでなく、日常のささいな事が、肝斑を悪化させている場合があるのですね。 肌には摩擦刺激を与えてはいけない、というエイジングケアの基本、どうかお忘れなきように!
取材・文/美容ジャーナリスト 藤田麻弥
【プロフィール】
女性誌や会員誌、Webにて、美容と健康に関する記事を執筆。化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンスのある情報を伝えるため、日本抗加齢医学会や日本香粧品学会を始め、多くの学会やセミナーを聴講。自身もアンチエイジングに関するセミナーの企画・コーディネートを務める。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研パブリッシング)がある。
【最近のハマリもの!】
肌や目が乾きやすいこの季節。デスクに加湿器を置くが無理なので、濡らして軽く絞ったハンドタオルを、空のマグカップの上に被せるという応急措置を。これだけでも、肌や目の乾きがずいぶんラクになるのです。
よくある質問