夏の間は、湿気と汗で肌がベタつくからと、ゴシゴシ一生懸命に洗顔をし、スキンケアは軽く済ませてしまう方が多い様子。それが、自分でも気付かないうちに、肌内部の乾燥を助長しているのです。そして秋になり、気温や湿度や急に下がってくると、肌内部の乾燥が表面にも現れ、一気にエイジングしたように感覚に。
そんなとき、これからオススメする洗顔方法に変えると、肌の乾燥はすぐに治まります。その洗顔メソッドを教えてくださったのは、からだエイジング監修ドクターのひとり、聖マリアンナ医科大学大学院で再生医療を研究している井上肇先生。ヒトの幹細胞からつくる培養皮膚の研究等がメインですが、薬剤師としてメディカルコスメの処方も手がけていらっしゃいます。そんな井上先生によると、洗顔とは肌の再生につながるといいます。
「角層の汚れをある程度洗い流すと、新陳代謝が活発になってきますから、肌の再生につながります(洗顔とは異なりますが、ピーリング等はその典型)。ただ、多くの方が、ゴシゴシ洗いすぎ! 洗顔料をキメ細かく泡立てれば、軽くなでるだけで汚れは落ちます」(井上先生)
界面活性剤によって汚れを落とすときの基本原理は、泡で汚れを包み込んで取り除くということです。キメ細かく泡立てると、小さな泡が無数に集まり、泡の面積も大きくなります。だから、こすって落とすわけではなく、汚れを素早く包み込んでラクに落としてくれるわけ。洗顔時にベストな泡の量は、手のひらにこんもりレモン1個分ほど。そして、手のひらを逆さにしても、タレ落ちない泡が理想。レモン1個分の泡の表面積は、井上先生の推測によると、テニスコート4分の1ほど。それほど大きい面積なのです。
「乾燥がひどいようでしたら、1回分の洗顔料を2回に分けて洗うことをオススメします。2分の1の洗顔料をよく泡立て、洗う時間もいつもの半分でササッと軽く。しっかりすすいでから、残り半分の洗顔料でもう1度同じように洗います。すると、肌のうるおいが守られ、キメも整ってくるので、肌の感触がなめらかになりますよ」(井上先生)
どんな肌質であっても、洗顔の基本は“こすらない”ということ。日本人は強くこするように洗うので、肌の状態をマイナスにしてしまうといいます。マイナス状態から化粧品で保湿してプラス状態にするのは、とても大変。それよりも、やさしい洗顔で肌をゼロにリセットし、そこから保湿ケアをすると、肌はラクにプラス状態になります。
肌のエイジングケアに保湿は欠かせませんが、じつは洗顔から保湿は始まっていると、考えてほしいのです。
取材・文/美容ジャーナリスト 藤田麻弥
【プロフィール】
女性誌や会員誌、Webにて、美容と健康に関する記事を執筆。化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンスのある情報を伝えるため、日本抗加齢医学会や日本香粧品学会を始め、多くの学会やセミナーを聴講。自身もアンチエイジングに関するセミナーの企画・コーディネートを務める。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研パブリッシング)がある。
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