聖マリアンナ医科大学 特任教授
井上 肇(いのうえ はじめ)
毎日、きちんとスキンケアしているのに、イマイチ肌がキレイにならない。こんな悩み持っていませんか? 化粧品でのスキンケアは必須ですが、美肌を作るための“栄養”が不足すると、どんなにいい化粧品を使っても美肌効果は実感できなくなってしまうのです。そこで、今月は仕事や育児、家事などで忙しい人でも簡単にケアできる美肌栄養学をお伝えしましょう! 第一回目は、コラーゲンの嘘・ホントです。
コラーゲン鍋やすっぽん料理、フカヒレ料理など、巷に溢れるコラーゲン料理。女子会などで人気です。食べると肌がプルプルして、翌朝はもちもちの肌に、なんてクチコミをよく耳にします。
でも、残念ながら、巷で人気のコラーゲン料理を食べても、それが直接美肌に結びつくわけではありません。コラーゲンはグリシン、プロリン、ヒドロシキプロリンなどのアミノ酸がつながってできています。これらは食べると胃の中で小さく分解されます。
体の中には、肌と同じようにコラーゲンでできている部分はたくさんあります。皮膚がコラーゲン全体の40%で、骨や軟骨は20%、他に血管や内臓などにもコラーゲンは存在します。食べて吸収されたコラーゲンは、体の中で不足しているコラーゲンに使われるので、みなさんが期待する顔の皮膚に必ず使われるとは言い切れません。もしかしたら、血管や臓器の再生に使われるかもしれないし、皮膚に使われたとしても顔ではなく足の裏に使われてしまう可能性もあるのです。
そんなことから「コラーゲンを食べても美肌には意味がない」という意見が一時多く出ました。確かに、直接肌に届くわけではありませんが、一部は美肌にも作用する可能性もあります。食べなければゼロ、食べれば可能性は高まります。意味がないという答えはそれはそれで嘘ともいえるのです。
コラーゲンのためにはコラーゲンを摂らなくてはいけないと思っている人がいますが、胃でアミノ酸に分解されてしまうので、コラーゲンでなく、動物性タンパク質で摂っても同じです。たまに豪華なコラーゲン料理を食べるよりも、毎日、良質の動物性タンパク質を摂ったほうが、美肌への活用は期待が高まるはずです。
意外と知られていないのが、このとき、必須なのがビタミンCです。ビタミンCは体内でタンパク質の代謝や弾力のあるコラーゲンに変えるためには欠かせないビタミンなのです。
こんな工夫なら今日からできるはずです!
■肉や魚を食べるときは野菜も一緒に摂る
■ビタミンCが豊富なトマトをソースにして使う
■肉や魚を食べるときに、レモンを絞ってかける
こんな形にすぐにできることでタンパク質×ビタミンCを加えてみましょう。
この記事の監修
聖マリアンナ医科大学 特任教授
日本臨床薬理学会 認定薬剤師/日本臨床薬理学会 指導薬剤師
井上 肇(いのうえ はじめ)
星薬科大学薬学部卒、同大学院薬学研究科修了。聖マリアンナ医科大学・形成外科学教室内幹細胞再生医学(アンファー寄附)講座 特任教授及び講座代表。幹細胞を用いた再生医療研究、毛髪再生研究、食育からの生活習慣病の予防医学的研究、アンチエイジング研究を展開している。
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