守口 徹(もりぐち とおる)
第一回目のお話で、油が体に重要な働きを持っていることがわかってきました。でも、油というと、肉の脂身や揚げ物というイメージが拭えず、やっぱり摂りすぎると太ってしまうイメージがあります。実は油には、体にいい働きをする油と悪い働きをする油があるのです。今回はその見極め方をいい油について研究している守口徹先生に教えていただきましょう。
油の摂取は大事ですが、どんな油でも摂ればいいというわけではありません。
体によい働きをする油と逆に脂肪を溜め込んで肥満や脂質異常の要因になる悪い油があります。
油は大きく分けると、室温で固体のものと液体のものがあります。
固体の油は、「飽和脂肪酸」と呼ばれ、液体の油は「不飽和脂肪酸」と呼ばれます。
固体の油の代表は、肉の脂身のラードやバター、お菓子などに含まれています。
液体の油はそれ以外の液状のものです。
このふたつを比べた場合、固まる油よりも液体の油のほうが体にいいと言われていますが、ここに落とし穴があります。
液体の油=不飽和脂肪酸には次のような種類があり、そのバランスが健康に大きな影響を与えます。
体内で作ることができる油を「一価不飽和脂肪酸」=オメガ9系
体で作ることができない油を「多価不飽和脂肪酸」(必須脂肪酸とも言います)=オメガ3系・オメガ6系
なんだか難しい言葉が並ぶので、オメガ9・オメガ6・オメガ3という名前で覚えてみましょう。
このオメガ9、オメガ6、オメガ3の中にも、体にいい働きをするものと悪い働きをするものがあります。
現代人は、「オメガ6」の油を多く系と呼ばれる油を多く摂っています。オメガ6系の油はほとんどの植物油、大豆油やサラダ油、コーン油、サフラワー油、月見草オイル、ひまわり油などに含まれています。また、スナック菓子や菓子パンなどにもショートニングという名前で含まれています。適量摂るにはいいのですが、見えない量も含めて色々な所に入っているのでどうしても摂り過ぎになります。
逆に、現代人が不足しているのが「オメガ3」と呼ばれる油です。
脳にいい働きがあることがわかっている油です。亜麻仁油、シソ油、グリーンナッツオイルなどの油か、いわし、あじ、さば、カツオ、マグロ、サケなどのお魚に多く含まれています。
オメガ6とオメガ3は、お互いを引っ張り合う拮抗関係にあります。オメガ6を多く摂っているとオメガ3を少量摂っても負けてしまうのです。理想的なのは、オメガ6を減らして、オメガ3を増やすことが肝心なのです。 このバランスが崩れてオメガ6優位になるとアレルギー、生活習慣病、うつなどの気分障害の原因になると言われています。
大豆油、サラダ油、コーン油、サフラワー油、月見草オイル、ひまわり油など
特に、揚げ物、菓子パン、クッキーなどのお菓子に含まれる油が多くならないように要注意。外食もこの油を多く使っているので無意識に食べていることが多い。
亜麻仁油、シソ油、グリーンナッツオイルなどに油か、いわし、あじ、さば、カツオ、マグロ、サケなど
魚に多く含まれ、もともと日本人は多く摂っていた油。弱点は酸化しやすいので、加熱にあまり向かない点。多くの人が不足しているので積極的に摂るべき。
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守口 徹(もりぐち とおる)
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