守口 徹(もりぐち とおる)
油といえば、「ダイエットの敵」、「太るもと!」、「健康に悪い」という認識を持っている人が多いはずです。でも最近、油への意識が大きく変わってきました。ココナッツオイルのブームなどから“体にいい油”が注目。体にいい油は体の代謝や血液循環にとても重要な働きがあるのです。ただ、どんな油でもOKというわけではありません。“からだにいい油”を摂ることが大事です。そこで今月は、キレイと元気の源になる正しい油の知識を麻布大学教授の守口徹先生にレクチャーしていただくことに。女性だけでなく、メタボ検診で悪かった男性も必見です!
まずは、油の基本の「き」です。
油=脂質というと、体に脂肪を貯める悪いもの、という認識を持ちがちです。ですが、脂質は、たんぱく質や炭水化物と並んで重要な三大栄養素のひとつです。私たちが生きていく上で欠かせない栄養素なのです。
油の体へ主な働きは……
①臓器や体を動かすための効率の良い貯蔵型エネルギー源
②肌から神経組織まで,細胞膜のもとになる
③ホルモンやサイトカイン(※)などの生理活性物質のもとになる
④体温を保つ,臓器を保護する
⑤ビタミンA,D,Eなどの脂溶性ビタミンを供給する
などがあります。
※サイトカイン= 細胞から放出されて、さまざなな細胞間情報伝達分子となる微量生理活性タンパク質
生きていく上で、さまざまな働きをする油ですが、不足すると体にはこんなダメージが起こります。下にあげたものはあくまでも一例です。
・肌が乾燥しやすくなり、シワが発生しやすくなる
・肌表面の脂質バランスが崩れて、ニキビや肌荒れが起こりやすくなる
・髪にツヤがなくなる
・頭皮バランスが崩れて、乾燥や逆にベタつきが起きてしまう
・ホルモンバランスが崩れて、生理不順など体調が悪化
・冷えやすくなる
と体のさまざまな部分に悪影響を与えてしまうのです。
油=悪者という認識をまずは捨て去ることが大事です。
でも、どんな油でも体にいいわけではありません。いい油と悪い油をきちんと見極めることが肝心です。
次回は、「積極的に摂るべき油」と「控えるべき油」とは何かをご紹介しましょう。
この記事の監修
守口 徹(もりぐち とおる)
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