男子ホルモンを増やすために、何かしている習慣はありますか? そもそもどのように増やしたらいいのか分からない、これが本音ではないでしょうか。ニンニクがいいのか、亜鉛がいいのか。牡蠣もいいと聞くけれど……。
そんな男性陣が悩んでいる反面、女性はせっせとプラセンタの注射にサプリ、大豆イソフラボンのサプリ、豆乳、ピルと、女性ホルモンのために良いことを習慣化しています。
今回はなんとかしたい男性のために、病院や自宅でできる、男性ホルモン増加の方法をお話しします。
男性ホルモンとは男性だけが持っているホルモンです。と、言うのは間違いで、女性も実はごく少量持っています。男性には女性よりも約10~20倍の男性ホルモンが存在します。この男性ホルモンは20代をピークに減少していきますが、面白いことに個人差があり、80代の方が20代の方と同程度の男性ホルモンを有していることもあります。このホルモンは精力以外にも自律神経のバランスを保つこと、筋力の増強をはかることに使用されています。また、にきびのもと、脱毛のもとにもなります。
男性ホルモンは生殖器に働きかけるのみならず、体を筋肉質にし、皮脂の分泌を促進し、体毛の発育を促す働きなどもあります。女性ホルモンも生殖関係のみならず、体に丸みを持たせ、脂肪がつきやすいようにし、骨の密度を保つなどの働きなどがあります。これら二種類のホルモンは、まったく違うように見えて、実は同じ原料からできているため化学的な構造、形はよく似ています。男性ホルモンの一種が酵素によって変身し、女性ホルモンに変わるのです。
男性ホルモンといえども大本の原料はコレステロールという脂質です。それを男性ホルモンにまで変身させるためには、多くのタンパク質酵素というエッセンスが必要です。もうすでにお分かりのとおり、脂質にしてもタンパク質にしても食事を取らないことには始まりませんね。良質なタンパク質は何に含まれるのか、その中でもどの成分(アミノ酸)に注目すればよいのか、そして更なる滋養強壮に効果的な食材は何なのか、以下に具体例をあげていきます。
男性ホルモン増強食と聞いて、思い浮かぶ食品はどんなものですか?
ニンニク、ヤマイモ、カキ、すっぽん、うなぎ……??? いわゆる精力剤と呼ばれている食品はいろいろありますが、その中でも男性ホルモンにはコレ!という食材を、まずはピックアップしてみましょう。
タンパク質を多く含む食事は、テストステロン・レベルを上げ、筋量増強効果も期待できるので、男性ホルモン強化という面ではまさに理想的です。ただ、必須アミノ酸の中でもリジンは植物性食品にはほとんど含まれないので、動物性タンパク質の摂取が不可欠です。
ニンニクはタンパク質と一緒に食べると、テストステロン増強作用が発揮されます。外食するなら、ガーリックステーキ、おろしニンニクやタマネギのスライスを加えた生姜焼き 、アボガドバーガーなどが◎。
今回、私が注目したのは、〝タマネギ〟です。これまでの研究で、タマネギに含まれる含硫アミノ酸がテストステロンを上げることがわかっています。
なお、タマネギはカットすることによって成分が変化するので、熱処理をしてから調理すると便利(電子レンジで約2分間)。食べる量の目安は、成人男性で1日1/2個程度です。
手軽に摂取できることを考え、最近ブームのあらかじめ熱処理したタマネギで作る『タマネギ氷』を使ったメニューを実際に作って味わってみました!
①皮をむき、芯はくりぬいておいたタマネギ(4〜5個=1kg分)を耐熱容器やポリ袋に入れて、電子レンジで加熱します(600W・20分・袋の口は閉じない)。
②加熱後のタマネギをタマネギから出た汁ごとミキサーに入れ、水2
00mlを加え撹拌。ピューレ状になったものを料理に使用します。
③タッパーや製氷皿に入れて凍らせておくと保存可能。
基本的には毎日の料理や飲み物に加えるだけ。スープや飲み物、炒め物、煮物などいろいろな料理と組み合わせましょう。
メニュー名 | タマネギの摂取量 | 評価 | 感想 |
---|---|---|---|
油揚げと小松菜のみそ汁 | 1人1/4個 | ★★★☆☆ | ドロッとした食感 |
クラムチャウダー | 1人1/4個 | ★★★★☆ | まろやか |
和風ドレッシング | 1人1/8個 | ★★★★☆ | ポン酢とゴマ油とタマネギ氷を混ぜるだけ |
スパゲティミートソース | 1人1/4個 | ★★★★☆ | やさしい味に |
カレイの煮付け | 1人1/8個 | ★★★★★ | ほどよい甘さ |
卵焼き | 1人1/6個 | ★★★★★ | 仕上がりふんわり |
野菜炒め | 1人1/4個 | ★★★☆☆ | 少し水っぽい仕上がり |
鮭の混ぜご飯 | 1人1/4個 | ★★★★☆ | タンパク質も摂れる理想メニュー |
納豆+たまねぎ氷(解凍済) | 1人1/6個 | ★★★★★ | 忙しいときにオススメ |
メイン料理と汁物にタマネギ氷を使えば、1日約1/2個はらくらくクリア!
タマネギを入れるとほんのり甘みが出るので、みそ汁やカレー、シチュー、鍋料理などには違和感なく、いくらでも使えます。煮魚やドレッシングとの相性も抜群。私が最も感動したのは卵焼きで、ふんわりと美味しく仕上がりました。
ほかにタマネギは、血液サラサラ効果もあり、血栓・高血圧・動脈硬化の予防に◎。美容にもいいので、女性も積極的に食べたいですね。
基本的には加齢が一番の原因です。
男性ホルモンのピークは20代で、それからどんどん減少していきます。ただし減り方には個人差があり、ぐんぐん減る方と緩やかに減る方がいます。たとえ40歳と若くても、男性更年期のように男性ホルモンが減少してしまうこともあり、これにはストレスや睡眠不足なども関与します。
ストレスは加齢を早めます。
神経質な方、まじめな方、ストレスがたまりやすい方は男性ホルモンが減りやすく、男性不妊の原因にもなります。ストレスは体を錆びさせ、また、精子の奇形にもつながります。理由は酸化ストレスの要因となるフリーラジカルです。このフリーラジカルを増やしてしまうタバコも要注意です。このような方はビタミンCやビタミンEなどを積極的に使用し、体の錆びを防ぎましょう。
睡眠時間の減少、食事バランスの悪さ、運動不足は年齢の重ね方にあらわれます。もっと簡単に言えば、若々しく健康的に年をとるためには、運動・食事・休養の3点セットはおろそかにできないということです。
もちろん食事以外にも男性ホルモンの味方になるものはたくさんあります。忙しい皆さんはサプリや医薬品などの方がてっとり早いかもしれませんね。今日から少しずつ取り入れ、習慣化していきましょう。
男性ホルモンの代表格、テストステロンはほとんどが精巣で作られますが、脳からの命令がないとこの男性ホルモンが精巣で作られません。どんなときに脳は精巣への男性ホルモン製造の指示を出すかというと、成長期はもちろんですが、それ以外にも緊張する場面や、死の危険があるとき、性的な興奮があるときに脳が指令を出します。男性ホルモンの大切な役割は子孫の繁殖です。自身の身が危ないとき、こぞって脳は指令を出します。具体的には脳の視床下部から下垂体に命令が行き、下垂体から刺激ホルモンが出て、血流に乗って精巣まで伝達がなされます。
亜鉛の摂取量とテストステロンの実験が有名です。亜鉛の摂取量を制限した食事をした結果、被験者の男性はすべてテストステロンの血中濃度が減少し、そしてほとんどがそれに伴い精子の絶対数も減少しました。この結果から、亜鉛の不足は男性ホルモンに何らかの影響がある可能性が示唆されます。ただ、亜鉛を取りすぎると鉄や銅などのほかの必須微量金属が吸収されずに体調不良を起こします。亜鉛そのものに過剰症は起こりにくいのですが、サプリなどで意識的に採っている方は接収量を守りましょう。
もしも男性力の低下が、男性更年期によって起こっているとしたら、病院の治療で改善することができます。男性更年期は早い方だと40代から症状があらわれます。早朝の勃起がない、性欲がないだけでなく、鬱っぽくなってきた、睡眠がどうもおかしい、などといった症状があらわれます。
このような症状がある方にお知らせしたいのは男性更年期の治療を行っている病院があることです。病院では『男性ホルモン補充療法』という筋肉注射を行います。筋肉注射はやや痛いのですが、直接ホルモンを補充できる点、医師による診断と医療用医薬品を使用できる点から大変安心して施術を受けることができますのでおすすめです。
大抵の病院は予約制で、かつ自由診療ですので、あらかじめ電話などで予約を入れましょう。診察では問診のみではなく血液検査をし、男性ホルモンの量をはかり、低下が認められると筋肉注射を行います。ただし一日目は診察のみで、次回以降から実際のホルモン補充療法が始まる病院もありますので、期間に余裕をもって出かけましょう。
自由診療という保険のきかない診療ですので、治療費は病院によって異なります。治療費のおおよその目安は、3~5万円ほどです。カードでの支払いが可能な病院も多いので事前に尋ねてみましょう。
ただし、前立腺肥大や前立腺がんがある方は、ホルモン補充療法ができない場合があります。こちらは事前に必ず医師と相談しましょう。
十分な睡眠は体の成長ホルモンを分泌させ、痛んだ身体のメンテナンスをしてくれます。成長ホルモンは子供だけに分泌されるものではなく、大人も夜間に分泌されているのです。精神的、肉体的な健康が、正常な男性ホルモンの分泌、精子の製造につながります。このホルモンは眠れば必ず分泌されるのではなく、夜間の決まった時間、10時から2時の間によく分泌されるといわれています。睡眠時間の短い方はこの時間帯を意識して休まれるといいでしょう。
現在注目されているのがDHEAというサプリメントです。日本では医師の管理のもと使用することができます。もしくは個人輸入という形で入手、使用できます。DHEAとは男性ホルモンの元となる原料です。人間の身体中にある原料と同じものですので、比較的安心して使用できますが、いかんせんホルモンの原料ですから安易に販売はされていません。アンチエイジングの外来を設けているクリニックでたずねてみるのが良いでしょう。また。このDHEAは女性ホルモンの原料でもありますので、女性でも使用できます。近年、自然薯(ジネンジョ)という山芋の一種にもこの成分が含有されていることがわかり注目を集めています。
漢方薬では高麗人参や動物の生殖器が含まれているものを使用します。
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、海馬補腎丸(かいばほじんがん)などが代表的です。前者は全て植物性の生薬で構成され、病院の処方箋で買うことができ、後者は漢方専門薬局で買うことができます。とりわけ後者の漢方薬には、高麗人参などの植物のみならず、東洋医学の世界では有名な精力剤、タツノオトシゴやオットセイの生殖器なども含まれています。
これらを使用すると身体の疲れやだるさも解消されますので、男性ホルモンが気になる方だけでなく、身体をメンテナンスしたい、今より丈夫にしたいという皆さんに使用することができます。ビタミン剤がわりに常用されている方もいますね。
また、漢方薬のいい部分は不妊治療にも使用できる点です。上記二つの漢方薬は男性不妊の方によく用いられ、精子の絶対数増加や運動率の改善が報告されています。
いかがでしたか? 男性ホルモンの減少は食事から病院での治療、生活習慣の見直しで改善できます。気になっているかたは、ぜひためしてください。
監修 及川夕子
【プロフィール】
女性誌、健康・美容雑誌、新聞などを中心に、取材・執筆、広告コピー作成などを手掛ける。近年は、メノポーズカウンセラー、健康食品コーディネーター、オーガニックアドバイザーの資格を生かし、医療方面の取材・執筆も多数。女性ホルモンや女性特有の病気、不妊治療などのテーマを軸に執筆活動を続けている。
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