今まで、2回、『むくみ』にフォーカスして、ボディケアなどを提案してきました。
今回は、むくみの改善、予防のために効果的な食材選びのコツをレポートしてみたいと思います。
むくみの原因になるのは、ご存じの人も多いかもしれませんが「塩分の摂りすぎ」。
しょっぱいものを食べるとのどが渇く経験は誰にでもありますよね。これは舌で感じた味覚が「体内の塩分濃度が上がる!」という情報となって脳に伝わり、「塩分濃度を薄めるために水分を摂ろう」とする反応です。
余談ですが、しょっぱいおつまみでビールが進むのも、このため。のどが渇く反応と同時に、体内では汗や尿の排出も抑えられます。水分が出て行くと体内の塩分濃度がより濃くなってしまいますから。このように、塩分の摂取が多いとのどが渇いて水を摂ることになり、しかも塩分濃度を下げるために汗や尿の排出量が少なくなるのでむくんでしまうのです。
味覚障害が起こると、味が分かりにくくなり、味付けが濃くなって塩分の取り過ぎにつながります。味覚障害は、以下の理由で起こりやすいとされています。
味覚を感知するのは、舌の味蕾にある味細胞です。この味細胞は短命の細胞で、その新陳代謝には亜鉛が必要です。亜鉛不足は味細胞の新陳代謝が滞り、味覚障害を引き起こすとされています。
胃腸の疾患にかかっている人は、亜鉛の吸収力が衰えているため、味細胞の新陳代謝が滞り、味覚障害を引き起こす可能性が高くなります。また貧血や消化器疾患、腎疾患なども同様の症状を引き起こす場合があります。
味覚を伝達するはたらきは、神経経路が担っています。この神経経路が、顔面神経麻痺や脳梗塞、脳出血などで異常を起こすと、味覚障害を起こす場合があります。
お口の衛生環境が悪い人は、舌の表面に細菌や食べかすなどが舌苔(ぜったい)となって溜まります。舌苔が多いと味蕾を覆い被さり、味細胞の感度が悪くなるので味覚障害につながります。
うつ病やストレスなどを感じると、筋肉が硬直して血流が低下するなどの理由で味覚障害が起こる場合があります。
塩や醤油をダイレクトに使っているものは、塩分が多いと認識しやすいものです。ですが、外食や持ち帰りのデリ、加工食品に含まれる塩分量は自炊をするよりも多いと言われています。また最近は、塩スイーツがブームなのでお菓子に含まれる“隠れ塩分”も油断できません。
塩分を気にするならば、市販の食品の材料や成分表などもできるだけチェックを。ちなみに1日の塩分摂取量は、健康な大人の場合男性が9gまで、女性は7.5gまで。平均体重より軽い人や子供はそれ以下になります。高血圧の人は6gまで。WHO世界保健機関の基準は5g。日本は世界的にも塩分摂取が多いのです。
体をむくませるのは過剰な塩分。むくみとして溜まってしまう前にさっさと排出させたいですね。むくみ防止に効果的なのは“カリウム”を含む食材です。
カリウムは体内でナトリウムとくっついて血圧の上昇を抑えたり、老廃物の排出を促してくれるので、しょっぱいもの・塩分が多いものを食べるときにはカリウムを含む食材を一緒にとるとむくみ防止になるわけです。
サラダやデザートに簡単に取り入れられる食材なら、アボカド、キウイ、りんご、バナナ、レーズン、アーモンドなど。カリウム食材で一品作るのが面倒でも、加熱のいらない野菜や果物を取り入れればカンタンに“むくみ予防食”が続けられます。
脚に溜まった水分を上に押し戻すには、いい血管や筋肉を作ることが大事です。そのためには運動も必要ですが、血管や筋肉を作る良質のタンパク質を摂ることも必須。鮭や豚のもも肉など赤身肉は、良質のたんぱく質であり、水分を排出させるカリウムも多めです。
でも、これらのカリウムを含んだいい素材もしょっぱい味つけにしてしまうと意味がなくなるので注意したいところ。
塩やしょうゆを抑え、そのかわりに胡椒やハーブ、レモン、ビネガーなどを使って調理すると驚くほどおいしくいただけます。
1. そのまま食べられるカリウム食材はサラダやデザートに簡単に取り入れやすい。
2. 調理は、ハーブや香辛料を利用して塩分たっぷりにならない調理法を。
3. 塩分の排出には水分も必要。胃腸の働きや血液循環もよくする“無糖の炭酸水”もオススメ。
取材・文/美容・医療ジャーナリスト 海野由利子
【プロフィール】
「女性の美と健康」をテーマに、美容、美容医療、アンチエイジング医療などを取材。女性誌、企業広報誌、WEBなどで発信している。モットーは「毎日をタフに機嫌よく」。日本抗加齢医学会会員。
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