気温が下がり、空気が乾燥してくると、ウイルスが繁殖し、風邪が流行ってしまいます。風邪をひかないためにも、免疫力をアップさせましょう、というのが今や常識。日常生活で簡単に免疫力を高めるには、発酵食品を積極的に摂ることですね。私が、発酵の取材で得た知識の中で、摂り入れやすい内容をご紹介していきましょう。
発酵とは、イースト菌、乳酸菌、麹菌、酢酸菌、納豆菌などの“善玉菌”と呼ばれる発酵微生物の働きのことをいいます。日本食は、多彩な発酵食品を取り入れた“発酵食文化”。
鰹節に始まり、日本酒、味噌、醤油、みりん、酢などの調味料は、すべて発酵食品なのです。多種多様な漬物類、塩辛、納豆など、ご飯と一緒に味わうものにも発酵食品は多いですね。
発酵食品の良さは、栄養価が高いこと。発酵過程の中で生産された栄養成分が、食品の中に蓄積されるため、各種アミノ酸、ミネラル、ビタミン類が豊富な上、体内に吸収されやすくなっているのです。さらに、保存が利くことや、発酵菌によって旨みも増すという利点が。
また、乳酸菌は腸内善玉菌を増やして環境を整え、納豆菌は悪玉菌を攻撃することがわかっています。悪玉菌が減ると、腸からの栄養吸収が効率的に行われ、一方で代謝、排泄も整います。腸は、人間の免疫の6~7割も司っているのですから、発酵食品が免疫力をアップさせるというのも、なるほど納得。
ビール、ワイン、焼酎なども発酵食品ですが、特筆すべきは日本酒。アミノ酸含有量がワインの10~20倍もあるといわれているのです。ただし、お酒は適量を心がけましょう。
納豆に含まれるタンパク質の量は、発酵によって大豆よりも多くなり、代謝を活性化するビタミンB2は10倍近く増えるそうです。もし、納豆の匂いが気になるようでしたら、古漬けの漬物を細かく刻んだものを加え、よく混ぜてください。納豆臭が抑えられて酸味も加わるので、食べやすくなりますから。
日本の伝統的な甘味飲料は甘酒。ブドウ糖が極めて高く、必須アミノ酸やビタミン類もたっぷりで、『飲む点滴』と称されるほど滋養があるのです。寒い季節は、生姜を加え、温めて飲むと体中がポカポカに。
酢の発酵パワーを得るには、天然の醸造酢を選びましょう。余り野菜を酢漬けにしておくのもいい方法。保存食として役立つばかりか、漬物として味わうこともできるのです。
日本を代表する漬物といえば、野菜の糠漬け。米糠には炭水化物やタンパク質、脂質、ミネラル、ビタミンなどが豊富に含まれています。それが、乳酸菌や酵母によって発酵し、分解されて野菜に浸透するため、栄養・風味ともに豊かな漬物に。しかも、糠1g中に約10億個もの発酵菌が生きて活動しているというからスゴイ!
味噌の栄養成分は、種類によって多少異なりますが、タンパク質、必須アミノ酸、ビタミンB群、カリウム、マグネシウム、カルシウムなどが豊富。具だくさんのお味噌汁に糠漬けを添えれば、とてもバランスのいい食事の出来上がり♪ 忙しくてお味噌汁をつくる時間がなければ、インスタントでもいいので、毎日召し上がることをオススメします。
私は、発酵食品を多く摂り入れるようになってから、この数年間、風邪をひいたことがありません。忙しい生活ではありますが、発酵食品を摂るのに、手間はあまりかかりませんよね? 納豆は混ぜるだけですし、鰹節はサラダや漬物にかけても美味。糠漬けも甘酒も手軽に購入することができます。健やかな体調を維持するためにも、発酵食品を上手に摂り入れてくださいね。
取材・文/美容ジャーナリスト 藤田麻弥
【プロフィール】
女性誌やWebにて、美容と健康に関する記事を執筆。化粧品のマーケティングや開発のアドバイス、広告のコピーも手がける。エビデンスのある情報を伝えるため、日本抗加齢医学会や日本香粧品学会を始め、多くの学会やセミナーを聴講。自身もアンチエイジングに関するセミナーの企画・コーディネートを務める。著書に『すぐわかる! 今日からできる! 美肌スキンケア』(学研パブリッシング)がある。
【最近のハマりもの!】
仕事柄、睡眠時間が極端に少なくなるときが多々ありまして……。そんなときは、1日の中で成長ホルモンがいちばん分泌される夜10時~夜中2時の間に寝るようにしています。この時間帯に寝ると、睡眠時間が3~4時間ほどでも、体の疲れがとれて、頭がシャッキリ! 同じ3~4時間睡眠でも、徹夜して明け方から眠ると、疲れが全然とれないのです。成長ホルモンの作用ってすごいですね。
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