医療法人社団ウェルエイジング・医療法人翠奏会・医療法人リアルエイジ静哉会 総院長/東京女子医科大学 名誉教授/東京薬科大学 客員教授
川島 眞(かわしま まこと)
ここ最近、ビジネスシーンでも大切な要素として見直されている「見た目印象」。「実年齢よりも若々しく見える方法」「なりたい自分になる方法」など、見た目印象を良くするためのセミナーやレッスンなども開催されており、これらのニーズはさらに広がりをみせているそうです。
その一方で、歳を重ねるとあらわれるシミやシワ、くすみ、たるみなどのエイジングサインにおいては「歳をとったから」と諦めてしまっていませんか? でも、それが大間違い! 「シミやシワは紫外線による影響がほとんど。これら紫外線による肌老化は、紫外線ケア次第で老化を遅らせることもできるのです」と語るのは、医療法人社団ウェルエイジング・医療法人翠奏会・医療法人リアルエイジ静哉会 総院長 川島 眞先生。紫外線がもたらす肌の影響について、詳しく教えていただきました。
若い頃は気にならなかったけど、ある年齢を超えるとシミやシワ、ほうれい線などのエイジングサインが気になり始めて……という女性は多いですよね。ほとんどの人は「もう歳だから」「歳をとった証拠」など、その原因を年齢のせいにしていませんか? 間違いではないのですが、それだけではないのです。
皮ふの老化には、年齢を重ねるとともに発生する「自然老化」があります。これは誰にでも起こりうる老化であり、皆さんも肌老化=加齢 という認識が高いでしょう。ですが、最近の研究で肌老化は加齢以外にも原因があるということがわかりました。それが「光老化」です。
そこで考えなければならないのが、紫外線と光老化の関係性。太陽光線のなかで地球に降り注ぐ主な波長は、UVA、UVBの2種類といわれています。これらの紫外線にさらされていると、シミ、シワ、たるみなどのエイジングが発生します。たとえば、海水浴やプール、山登りなど屋外にいる時間が多いアクティビティーは、UVAはもちろんですが、特にUVBに注意が必要です。UVBは皮ふの表皮に侵入し、赤くひりひりする日焼けを起こしたり、シミの原因になります。
一方で、屋内にいても注意が必要なのはUVA。皮ふの浅いところの表皮の部分からさらに深い真皮とよばれる部分にまで侵入し、シミの一因となるだけでなく、真皮のハリや弾力を司る“バネ”となる線維を傷つけてしまい、シワをつくる原因にもなってしまうのです。
光老化は、紫外線の強さと浴びる時間によって起こるといわれていて、実際、顔のシミ、シワの約80%は光老化が原因でおこっているのです。
紫外線は、見えない、聞こえない、もちろん色もないため、知らず知らずのうちに浴びてしまっています。これだけ聞くと何だか怖いモノのように思われがちですが、人間は健康なからだをつくるために太陽光を浴びることも大切なのです。ならば、紫外線を理解することが先決です。「1日の中で一番紫外線が多く降り注ぐ時間帯は?」「曇りや雨の日、冬の寒い季節の紫外線は?」 など、紫外線にまつわる基本情報を紹介しましょう。
紫外線と関係の深い光老化は、美容的な問題のみならず、皮膚がんの多くは太陽光線にさらされた顔、腕などに出現することがわかっています。とくにUVBは表皮の細胞に傷をつけるのですが、その傷の修復がうまくおこなわれないと、何らかの原因で異常な遺伝子を持った細胞、すなわちがん細胞が増えてしまうことも。
このように、光老化や皮ふがんの一番の原因は、日焼けを繰り返すことで起こります。さらに、紫外線ケアを日常的におこなっている人でも、たまに強い日焼けをすることで、光老化は進んでしまうということもわかっています。
光老化は、紫外線という環境要因による老化現象であること。だから、紫外線を防御すれば、肌の老化を防ぐことができるのです。
次回は、具体的な光老化を予防する方法についてお話します。
この記事の監修
医療法人社団ウェルエイジング・医療法人翠奏会・医療法人リアルエイジ静哉会 総院長/東京女子医科大学 名誉教授/東京薬科大学 客員教授
東京女子医科大学名誉教授(前・皮膚科主任教授)/日本美容皮膚科学会理事/日本香粧品学会理事長
川島 眞(かわしま まこと)
東京大学医学部卒業。パリ市パスツール研究所に留学。東京大学医学部皮膚科講師などを経て東京女子医科大学 皮膚科学教室 教授・講座主任。アトピー性皮膚炎をはじめ、美容、皮膚ウイルス感染症、接触皮膚炎などを主に研究。2018年4月より医療法人社団ウェルエイジング、医療法人翠奏会、医療法人リアルエイジ静哉会の総院長に就任。
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