健康オタクが注意すべき「オルトレキシア」とは？

新型摂食障害「オルトレキシア」とは？

「オルトレキシア」とは、健康的な食事以外信じられなくなる新型の摂食障害のこと。不健康なものを摂取することに過剰な不安や恐怖心を抱き、制限を破ってしまうと、罪悪感に苛まれたり、嘔吐したりしてしまうことも。そうやって“健康に良いものだけ”を食べ続けるようになり、その結果、ビタミン、ミネラル、たんぱく質といった健康的な体に不可欠な栄養素が不足……さまざまな病気が引き起こされやすくなるのです。

一般的な摂食障害との大きな違いは、カロリーや量ではなく“質”に異常なまでに執着してしまうこと。添加物やグルテン、糖質、遺伝子組み換え食品、動物性食材などは一切口にしないなど徹底的に制限し、極端な偏食になっていきます。それでも本人は、「良いものしか口にしていないから私は健康だ」という自負があるため、深くハマってしまい、摂食障害であることになかなか気づきにくいそう。食に対する意識を改善しないことには治すことが難しい現代病なのです。

オルトレキシアの拒絶例

オルトレキシアの傾向にある人は、食事や栄養に対して強いこだわりを持つようになります。あくまで一例ですが、このような拒絶例があります。

・添加物はNG
・防腐剤はNG
・小麦粉はNG（グルテンフリー）
・動物性食品（バター、牛乳含む）はNG
・砂糖はNG
・ハチミツはNG

オルトレキシアは強迫性障害？

当初は「健康になりたい」「憧れのタレントのようになりたい」とポジティブ思考で始めた食事の制限も、行き過ぎると「あれはダメ」「これはダメ」と否定の思考が重要視されるようになります。そして「自分が絶対に正しい、それ以外は間違っている」と他者への攻撃が始まると、それはもう強迫性障害の症状と言っても過言ではありません。また、その禁を破ると、耐え難い罪悪感を背負うようになります。
行き過ぎた行動や思考が自分を追い込み、メンタルを崩してしまったり、行き過ぎた食事制限で痩せ細ってしまったりすることも。また、食材や添加物が気になるあまり他人と外食もできなくなり、社会的に孤立するおそれもあります。

真面目な健康オタクほどなりやすい！

真面目な健康志向の人ほどなりやすいという「オルトレキシア」。自分ではなかなか気づきにくく、ヤバいと感じたときには症状が進行していることも。以下の項目は、当てはまるものが多ければ多いほど「オルトレキシア」になっている可能性が。チェックが多く入ってしまった人は医師に相談してみましょう。

【要注意】オルトレキシアのチェックリスト７選

1. 美と健康のために一切口にしないものがある
2. 食材の全成分表示をチェックしないと不安で食べられない
3. 調理法や食材が気になって外食に行けない
4. 他人の手料理を食べられない
5. 健康的な食事をとっていない人はダメ人間だと思う
6. 不健康な食事をとると罪悪感に苛まれる
7. 食品の品質を徹底的に調べないと食べられない

スーパーフードをふんだんに使ったサラダや、ヘルシーでおしゃれなスムージーなど、モデルやセレブたちの食事風景が毎日のようにSNSで拡散されていくと、真面目で美意識が高い人は「こういう食事をとらないから私はキレイになれないんだ」と受け取ってしまうのも無理はないのかもしれません。しかし、品質ばかり気にして栄養素が不足してしまっては、食へのこだわり自体が無意味なものに。バランスのとれた食事なしに本当の健康は得られないもの。「もしかしたらオルトレキシアかも……」と気づいたら、品質重視からバランス重視へと意識を変えてみるのもアリかもしれませんね。

（文・坂井七緒美）

参考文献

プレジデントオンライン「オルトレキシア-健康を求めて不健康になる」
VOGUE GIRL「健康志向の人は、要注意！ 新型の摂食障害『オルトレキシア』について知っておこう」