若い頃にくらべて歯茎の血色が悪くなってきた。歯と歯茎の境目の色が黒くなってきた。歯茎全体が紫色になってきた…そんな変化を感じたら、それは歯茎が老化し始めているサインかもしれません。
成人の約50%が歯茎の黒ずみを感じているといわれています。歯茎の黒ずみの主な原因は4つです。
1つ目は、メラニン色素の沈着です。歯茎にメラニン色素が沈着することで、全体的に歯茎が黒ずんでみえます。唇が黒くなるケースもみられます。人種間でもメラニン色素の量は違いますので、白人より黄色人種が、黄色人種よりも黒色人種の方が歯茎は色素沈着しやすいです。
ちなみにメラニンそのものは害ではありません。
2つ目は、長年歯の治療で差し歯や被せ歯をしている場合です。歯茎に金属が接触し続けている部分に金属の成分が溶け出して蓄積すると、その接触面が黒ずみます。これは、「メタルタトゥー」と呼ばれています。差し歯の内側に使われている金属が透けて見えてしまうことで、歯と歯茎の境目が黒ずんで見えることもあります。
また、昔の歯科治療で歯茎の中に残ってしまった金属が、タトゥーの原理と同じように歯茎に色をつかせてしまいます。これらは基本的に保険内で行われる一般的な治療で起こってしまいます。
ちなみに詰め物の種類によっては金属が溶け出し、全身にまわり、糖尿病やアレルギー、精神疾患などを引き起こすと言われています。
3つ目は、喫煙です。タバコに含まれているタールが歯茎に付着したり、ニコチンや一酸化炭素によって血流障害が起きることで、歯茎が赤黒く見えることがあります。この場合、歯を含む口全体が黒ずみます。残念ながら受動喫煙でも歯茎の黒ずみが指摘されています。
最後は、歯周病によるものです。歯周病の場合、歯茎が腫れや赤みを帯びていることが多くいのですが、症状が進行するにつれ黒ずんで見えることがあります。
40歳以降では、70~80%が罹っているといわれる歯周病。これらは自覚症状がないため、気づかないうちに歯を支えている歯茎や歯の根元にある骨が破壊されていきます。すると、虫歯が無くても歯が抜け落ちたり、歯を抜かなければいけなくなったりといった症状に発展することもあります。
また、金属の詰め物も注意が必要です。保険診療内の治療だから、と安心できないのが残念なポイントです。とりわけアマルガムという水銀を含んだ金属の詰め物の場合は、外すときにも技術と注意が必要ですので、その様な詰め物がある方はよく医師と相談しなければなりません。
近年、歯や歯茎の健康は見た目の美しさだけではなく、全身のアレルギーや精神状態にも影響がある、と言われています。健康的な歯茎かどうか、チェックしてみましょう。
日本人の多くは歯周病ですのでこれらすべてに当てはまる方は少ないかもしれません。
歯茎の色は急に悪くなるわけでは無く、時間をかけてゆっくりと濃くなっていきます。そのため、あらためて気にして見たら、意外と色が悪くなっているとこがあります。
歯茎の黒ずみの原因がメラニン色素の沈着の場合、お肌のケア同様、メラニン色素を取り除くことで元の歯茎の色に戻すことが出来ます。
大切なことは対処療法と、根本治療の両方を行う事です。
審美歯科などで行われる治療で、薬品を黒ずみの部分に塗った後でレーザーを当てる「メラニン除去」がありま
す。これなら40分程度で治療ができます。なぜレーザーできれいなピンクの歯茎が作れるのか、というと、実は歯茎の再生を促すからなのです。レーザーをあてた歯茎は実は1000度ほどの高温になり、メラニンのある組織を壊して飛ばしてしまいます(蒸散)。やけどの様なもので、壊れてなくなったメラニン色素のあった粘膜が再生するときれいなピンクの歯茎になるのです。やけどというと痛そうなイメージですが、針で刺されたような痛み程度です。
ただし自由診療です。
ガムピーリングは、歯茎にフェノールという薬剤を塗って、歯茎の表面をピーリングする方法です。
これはレーザーの様にすぐには終わりませんが、だいたい1~2週間できれいなピンクの歯茎を手に入れられます。また、1週間ほどは塗った部分の歯茎は白っぽくなりますのでご注意ください。
フェノールはたんぱく質を腐らせる腐食作用を持ちます。歯茎の黒い部分に塗ってそのタンパクを腐らせるのです。『化学やけど』という方法です。普通のやけどと同じように、治ればきれいな歯茎になります。
多少ヒリヒリと痛みます。
こちらも自由診療です。
対症療法でピンクな歯茎を手に入れたら、ぶり返さないためにも根本対策もきちんと行いましょう。
差し歯や被せ歯が原因のメタルタトゥーが原因の場合は、金属製のものからオールセラミックス製(陶器)のものに変えれば、金属が溶け出して歯茎が変色したり、金属アレルギーの心配がなくなり、硬さや弾力性、白さも本物の歯に近い状態を再現できます。
溶け出した金属イオンが歯肉の奥深くまで浸透してしまっている場合はやや治療は難しく、黒ずんだ部分を電気メスなどで切り取ったり、歯肉を移植する手術をします。
せっかくレーザーなどできれいにしても、喫煙したままではまた同じように色素沈着をおこしてしまいます。せっかく施術した歯茎をキープするためにも禁煙をスタートしましょう。
歯の奥が虫歯などで黒くなっている場合、歯茎を通して黒くみえてしまうことがあります。
歯茎がきれいなピンク色だと、とても健康的に見えますよね!仕方ない、と我慢せずとも、歯医者さんに相談して健康的な歯茎を取り戻せるかもしれません。ぜひ一度、審美を専門に行なっている歯科で相談をしてみましょう!
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