口の中が乾燥しやすくなった。話を始める時に口がかさついている。会話していると声がかすれる。クッキーなどの乾燥した食べ物が飲みこみにくい、といった症状がある人は、唾液の分泌が減っている可能性があります。
その渇き、お口のエイジングサインかもしれません。キレイな歯、キレイな息、キレイな舌を保つにはドライマウスの改善がキーポイントになります。
病気や薬の副作用、加齢、ストレスなどの精神的な面などから、口の中が乾いてしまう症状です。毎日ガムを噛んだり、アメを舐めている方がいたら、その方は実はドライマウスなのかもしれません。
●口の中が張り付いてしまう
●唾液の分泌が減る
●ポテトサラダやクッキー、パンなどが食べにくい
●話している途中で唾液がなくなる
●口臭がきつくなる
●口内炎ができやすくなる
●口角炎ができやすくなる
●舌に亀裂が入る
●虫歯が増える
ドライマウスになると口内の粘膜同士がくっつきやすくなり、歯茎や頬、舌や喉に違和感を覚えます。水分の少ないおせんべいやクッキーなどを食べると少ない唾液がさらに食材の方へ吸収され、飲み込みづらくなります。
口のみならず、喉や鼻の方まで乾燥する、さらには痛み、口臭、口角炎などに悩まされる方もいらっしゃいます。
辛いもの、味の濃いものを食べた時以外にも口が渇く場合、ほかの理由があるかもしれません。
一番多い原因が、薬による副作用です。
花粉症やアレルギー体質の方が使われる、抗ヒスタミン薬ではドライマウスになる可能性があります。花粉症やアレルギー以外にも、市販の風邪薬にこの抗ヒスタミン薬が入っていることがあります。抗ヒスタミン薬はさまざまな分泌腺に働くため、鼻水を止めるためだけでなく、唾液の分泌も止めてしまいます。抗ヒスタミン薬を飲むと体が渇く理由はこの分泌腺によるものなのです。腸の水分も減るため便秘にもなります。
他には神経内科で出される安定剤や、高血圧やむくみで出される利尿薬、ガスターなどの胃腸薬、肩こりなどに使用する筋弛緩薬もドライマウスの原因になります。
知らないうちに、薬によってドライマウスとなる方は本当に多いです。なってしまったら、まずは飲んでいる薬を疑いましょう。
焦ると喉が渇く、緊張すると喉が渇く、など、精神的な理由で口が渇くことがありますね。これは唾液の75%を分泌している顎下腺という唾液タンクが、顎下神経節という副交感神経に支配されている場所から分泌されるからなのです。簡単に言ってしまえば、緊張して交感神経が活発な時は唾液が出にくいということです。そう考えると、唾液の出具合は、ストレスの指標の一つになりますね。
免疫の病気である膠原病(こうげんびょう)に合併しやすい病気です。口の渇きだけでなく、目の乾き(ドライアイ)や、鼻腔の乾燥も併発するのが特徴です。シェーグレン症候群そのものを根本的に治すことはできないので、この場合は目薬で目を潤したり、サラジェン®というお薬で唾液分泌を促進させたりします。
糖尿病の初期に多い症状です。これはドライマウスというよりも本当に喉が渇き、たくさん水分を飲みます。一日にペットボトルを4本も5本も飲むようになったり、運動もしていないのに体重がガクッと落ちるようになったりしたら糖尿病を疑います。早めに内科へ行き、いきさつを話し、血糖値を測ってもらいましょう。
鉄欠乏性貧血の場合は、特徴的な口の渇きがあります。それは氷が大好きということなのです。口の中を冷やしながら水分補給をしたくなりますので、年中つめたい飲み物を飲む人、飲み終わっても最後の氷もガリガリと食べてしまう方は鉄欠乏性貧血の口の渇きかもしれませんね。これは基本的には鉄剤のサプリやお薬で治ります。
もちろん食材から鉄分を多くとっていただいてもかまいません。
辛いものや味の濃いものを食べると、体の中は必要以上に濃くなってしまいます。この濃さを薄め、ちょうどいい濃さにするために水分を欲します。この場合はしっかり水分を飲んで対策しましょう。そして、次からは辛いもの、味の濃いものを食べ過ぎないようにしましょう。
唾液腺に放射線をあてる治療を行った場合もドライマウスとなります。放射線はやけどのようなものなので、いずれは治っていきます。5年ほどの時間を要することもあります。その間は唾液を分泌する薬や、人工的に作られた唾液と似た働きをするスプレーを使用します。
私たちの口の中では、毎日1.5~2リットルの唾液が分泌されています。しかし、口の周りの筋力が衰えたり、唾液腺の分泌能力が低下したりすることで、20歳ごろから徐々にその量は低下していきます。特に、日中や睡眠中などの食事をしていない時の唾液の分泌が減りやすく、口の渇きを感じやすくなります。
女性の場合、女性ホルモンの分泌量が低下することも、口が渇く原因の一つです。
舌がひび割れる!?
唾液には、口の中を潤す働きのほか、殺菌作用や免疫機能、消化機能などさまざまな働きがあります。
唾液の分泌が減り、口の中の殺菌作用が弱まると、口の中がネバネバしたり、口臭がきつくなったりするほか、歯周病や口内炎、虫歯といったさまざまなトラブルが起こりやすくなります。また、会話中に声がかすれる、話しにくいなど、コミュニケーションに影響が出ることも。さらに進行すると、舌がひび割れる、舌や口の粘膜がヒリヒリ痛む、などの不快な症状が現れる場合もあります。
その他、乾いた食べ物を食べる時に食べにくくなる、味覚を感じにくくなる、消化が悪くなるなど、口の中以外にも影響がでてきます。
そもそも唾液は体が休まっているときに出ます。お食事をしているとき、ぼんやりと身体を休めているときなどです。このとき身体の副交感神経が活発となり、たくさんサラサラの唾液を出します。反対に運動をしているときやぐっと集中しているときは交感神経が活発に働き、唾液は出にくくなります。集中が切れたり、運動をやめると口の渇きに気づいたり、口の中がベタベタしていることに気づきます。
薬で口が渇くのは、この神経に働いてしまうからなのです。リラックスさせるための向精神薬やパーキンソン病の薬、下痢止め薬、頻尿治療薬も神経に働いてドライマウスになる可能性があります。
また、何らかの影響で、唾液腺から出にくくなっている可能性があります。耳下腺(じかせん)、顎下線(がっかせん)、舌下線(ぜっかせん)と三ヶ所から唾液は出てきます。首からあご、耳にかけて存在しますのでその部分をよく動かすこともおすすめです。
「ドライマウス診断」であなたの口の潤い度をチェック!
まずは自分の症状を知ることから始めましょう。以下の項目で、3個以上該当するものがあればあなたもドライマウスかもしれません。
歯科、口腔外科、内科、調剤薬局に行かれる方が多いですが、ドライマウス外来というものがなかなかないので、いろいろな科を回ることになります。歯科、口腔外科ではドライマウスに伴う虫歯などの口腔環境を見てくれます。内科では免疫異常や糖尿病がないかを見てくれます。薬局では、服用している薬でドライマウスになっていないのかを調べてくれます。
原因の病気や、原因になっている薬がない場合もあります。必ずしも病院の治療でなおるわけではありませんので注意しましょう。
基本的にシェーグレン症候群や、放射線治療後でないと、お薬に保険は適応できませんが、いくつかお薬を紹介します。
●フェルビテン®
●ビソルボン®
●サリグレン®
●サラジェン®
●サリベート®
これらのお薬は唾液を増やしたり、唾液の代わりとして口の中に噴霧し、口をしっとりさせたりする働きがあります。ただのドライマウスには保険が適応されませんので、仮に処方していただいたとしても自費になります。
また、ドライマウスの患者さんは虫歯や口角炎、歯周病になりやすいのでイソジン®などのうがい薬が処方されることもあります。
唾液は三種類のタンクから分泌されます。
耳下腺(じかせん)、顎下線(がっかせん)、舌下線(ぜっかせん)の三種類です。ここからちょうど良い粘り気の唾液が、分泌されます。ちょうど顎のラインに添って、耳の下や首の近くにありますから、手で適度にグリグリとマッサージをしたり顎を動かしたりします。舌で口の中からマッサージするのも効果的です
ちなみに現代人は柔らかい食べ物ばかりを食べ、この唾液腺を動かさないからドライマウスになる、という説もあります。
簡単で、手軽にできる方法ですので、まず一番に試してみてください。
舌を口の中でぐるぐると大きくまわしたり、上下の歯茎の根元を舐めるように動かします。たったこれだけです。日に何回行ってもかまいません。顎下腺(がくかせん)、耳下腺(じかせん)、舌下腺(ぜつかせん)の三つの唾液腺が刺激され、すぐに唾液の分泌を感じられるでしょう。
できれば甘くないタイプのガムにしましょう。ドライマウスの方は虫歯になりやすいので甘いガムだとさらに口腔内の環境が悪くなってしまうことがあります。酸っぱい成分は唾液がよく出ますので、梅の味やレモン味、またはクエン酸入りのものもおすすめです。またガムを噛むだけでなく、歯茎と唇の間にある唾液腺の部分にガムを詰めておくと刺激となり、唾液が出やすくなる方もいます。
麦門冬湯(ばくもんどうとう)という漢方薬は喉や口、全身の乾燥が気になる方に使用します。とりわけ喉の乾燥が気になり、さらには咳も出てしまう方に適しています。漢方薬の中でも甘い方ですので、味が気になる方でも飲みやすいかと思います。わりとご年配の方で、肌もカサカサしている方に使用しますので、若い方でそのような乾燥肌がない方には効かない可能性があります。ドラッグストアでも購入できますし、また、保険で処方していただくことも可能です。
噛む回数を増やすことで、唾液の分泌量が増加します。良く噛む必要のないファーストフードのような食事が中心になると、唾液の分泌量が少なくなり口が乾きやすくなるので要注意。噛みごたえがあって、唾液分泌につながるような食事を摂るように心掛けましょう。
口の中は常に潤った状態がベストです。軽い渇きを感じる程度ならこまめに水分補給をしてください。唾液の分泌を促進するようにガムを噛むこともおすすめです。
食事や間食をする際は、唾液の分泌を促す働きのある「梅干」や「こんぶ」を取り入れてみましょう。
ドライマウスは口臭の原因、虫歯の原因につながる不快なものです。
飲んでいる薬の副作用でない場合は、舌の運動をしたり、ほかの病気が隠れていないか内科、口腔外科、歯科で検査をしたりしましょう。
キレイな舌、キレイな歯、キレイな息のためにも、唾液の少ない人はぜひ対策を!
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