1. からだエイジングTOP
  2. からだのお悩み
  3. メンタルヘルスの記事一覧
  4. カビは思わぬ不調の原因にも! 「夏型過敏性肺炎」にご用心

カビは思わぬ不調の原因にも! 「夏型過敏性肺炎」にご用心

カビは思わぬ不調の原因にも! 「夏型過敏性肺炎」にご用心

今年もいよいよ蒸し暑い季節に突入しました。対策を怠ると、梅雨時ならではの高湿度やエアコンによる結露などで、身の回りにカビが発生しやすくなります。
実はこのカビ、風邪とよく似た症状が出る夏型過敏性肺炎(夏型肺炎)を引き起こすという意味でも注意が必要です。

夏になると毎年風邪をひく、決まって咳がよく出るという場合、ひょっとしたらこのタイプの肺炎にかかっている可能性も!?
そこで今回は、意外と身近にあり、軽視はできない夏型過敏性肺炎の基礎知識をご紹介します。

過敏性肺炎とは?

過敏性肺炎はカビによる健康被害のひとつで、アレルギー反応によるものです。

身の回りのちり・ほこりを繰り返し吸い込んでいるうちに、これらの物質にアレルギー反応を起こして発症する肺炎です。アレルギーといっても気道の炎症が原因で、非アレルギー性のものが多いぜんそくとは異なり【肺の奥】で起こります。

居住環境や職業環境に存在するさまざまな物質による過敏性肺炎がこれまで見つかっており、現在では50種類以上の過敏性肺炎が確認されています。

では、夏がピークの夏型過敏性肺炎(夏型肺炎)って?

夏型過敏性肺炎も過敏性肺炎の1種。6月頃から10月頃まで夏期をピークに発症するのでこう呼ばれており、日本を中心とした東アジア特有の病気といわれています。

主に【乾いた咳(たんは出ないことが多い)や微熱、息切れ、だるさ】といった症状が見られ、カビなどの抗原を避けることによって改善しますが、長期間にわたって抗原にさらされていると炎症が慢性化し、肺の壁がどんどん厚く硬くなり、元に戻らなくなってしまうというのが恐ろしいところです(肺炎を繰り返し、悪化すると命にかかわる場合も)。

症状は上で触れたように風邪と区別がつきにくいですが、大きな違いは、いる場所によって症状が出たり、消えたりするところです。(原因のカビが自宅に生えていれば、会社に出勤すると症状が消え、帰宅すると悪化します)

また、発症が梅雨時から夏で、秋から冬、春にかけては症状が出ないというのも特徴的。

【40代以降】で発症しやすい傾向があるという点でも、大人こそ知っておきたい病気といえます。

夏型過敏性肺炎の原因物質は、とても身近なカビ!

夏型過敏性肺炎の原因となる物質は、酵母カビの一種であるトリコスポロン属のトリコスポロン・アサヒやトリコスポロン・ムコイデスといった【室内のカビ】。これらのカビの胞子を吸い込むことでアレルギーを引き起こし、発症します。

トリコスポロンは湿気が多く、日当たりや風通しが悪い場所で発育。高温多湿な環境で腐木などを栄養源として育つため、築年数の古い木造家屋に多いといわれてきましたが、現代の気密性が高いマンションでも、風通しが悪く湿度が高くなりやすい場所は注意が必要です。 【キッチンの水周りや洗面所、バスルーム、脱衣所、洗濯機置き場付近の床、北側の押入れや窓のサッシ回り】などのほか、 【エアコンの内部】もトリコスポロンの繁殖場所となることがあります。

トリコスポロンの胞子はとても小さく、飛散しやすいという特徴があります。そのため、肺胞の中まで吸い込まれやすく、肺炎が引き起こされてしまうのです。

夏型過敏性肺炎の治療

発熱や咳、呼吸困難といった夏型過敏性肺炎の症状は、カビの胞子を吸入後、約6~8時間で発生しますが、症状が軽い場合は原因となっているトリコスポロンを吸入する環境から離れる(入院や旅行などで家を離れるなど)だけで症状が治まるとされます。

しかし重症の場合はステロイド剤や酸素吸入などの治療が必要で、入院しなければならないこともあります。

症状が進行している場合には、胸部聴診で雑音が聴かれる、胸部レントゲン写真やCTで淡い陰影が見られる、血液検査や肺機能検査でも所見が認められるといったことで判明。ただし、初期段階では見過ごされることも少なくないといわれます。

一度抗体ができて発症すると、繰り返し症状が起こる!

夏型過敏性肺炎は、自宅に原因のカビが発生したからといって家族全員が発症するわけではなく、【胞子を吸って免疫抗体ができた人】に症状が出ます。

そして、一度抗体ができて発症した人は、自宅などの生活圏に原因のカビが発生している限り、毎年夏になるたびに胞子を吸い込み、咳などの症状の出現を繰り返すことになってしまうのです。

夏型過敏性肺炎は慢性化すると熱は微熱程度で、咳だけが残るというケースも多く、ぜんそくなどと間違えやすいという点でもやっかいな病気です。

しかし、夏型過敏性肺炎か否かは検査でわかる

重症化を防ぐには、夏型過敏性肺炎か否かの診断を早めに受けることが大切です。

夏型過敏性肺炎か否かは、【保険診療で検査可能】。血液検査でトリコスポロンに対するIgG抗体の有無を調べることでわかります。

夏になると原因のはっきりしない咳が出続けるといった人は、呼吸器科などの専門医に一度きちんと調べてもらうことが推奨されています。

夏型過敏性肺炎の予防&症状改善のポイント

夏型過敏性肺炎の予防&症状改善のポイント

発症を防ぐにはとにかく【カビ対策=環境改善】が大事

抜本的な環境改善としてはリフォームまたは引っ越しが考えられます。それが難しい場合は、カビが発生しやすいところを徹底的に掃除するというのが基本です。(日当たりや風通しが悪く、湿気の多い場所にある腐った木やマット、畳、寝具など、カビが増殖しやすいものを除去する、取り替える、あるいは消毒するなど)

日常的には、【空気清浄機】を有効活用してカビをなるべく体内に入れないようにする、部屋の【換気】をこまめに行い、湿度を下げる(50%前後に保つ)、水回りの乾燥に努める、エアコンのメンテナンスをこまめに行う(内部の掃除を行うほか、日頃から使用後は送風に切り替え、30分ほど内部を乾かしてから電源を切ると◎)などが考えられるでしょう。

一般的にカビの発育が進む要因は、「温度20度以上」「湿度80%以上」「ゴミやほこりなどの栄養源」「酸素」の4つといわれます。湿った場所やエサになるような汚れ、空気のよどみなどを作らないようにし、【カビを増やさない】ことを心がけましょう。

生活習慣の見直しで免疫力をつけることも大事

カビ対策に加え、免疫力の低下にも注意が必要です。(極端に免疫力が低下していると、カビが血流に乗って全身を巡り、いろいろな臓器に障害を起こすことも)

また、夏型過敏性肺炎のリスクファクターとなり得るタバコも控えるのが賢明です。(ニコチンにはカビによるアレルギー反応を抑える作用があり、病気の原因であるカビを吸い込んでいても症状が表面化してこないため、自覚症状として気づかないまま体内で病状が進行し、気づいたときには手遅れになっている危険性があるといわれます)

さらに、部屋の中で鳥を飼うこともリスクになるといわれています。(鳥のフンにはカビが繁殖しやすいため、乾燥したフンを吸い込むことでカビを体内に取り込んでしまう可能性があります)

夏型過敏性肺炎はしつこい夏風邪やぜんそくなどと見分けにくく、見逃されやすい病気です。症状が続くときには、一度カビによる病気も疑い、呼吸器科の専門医に診てもらうようにしましょう。また、梅雨時~夏にかけてのお掃除では、カビが見えやすい場所以外にも、潜んでいそうな細部にまで気を配るようにしたいものです。

(文・大津礼保奈)

この記事が気に入ったらシェアしよう!

【公式】薄毛・AGA治療 | AGAクリニックならDクリニック

よくある質問

CLOSE