Dクリニック東京 名誉院長
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)
加齢は人の見た目に変化をもたらし、その見た目が人の印象を大きく左右することは周知の事実。いつまでも若々しく見られる策として、進化著しい美容医療に頼ることもできますが、今回はその前にできるエイジングケアの基礎について学んでいきましょう。“見た目印象”を高めるためのポイントを、アンチエイジング研究の第一人者である塩谷信幸教授に教えていただきました。
加齢による見た目の変化の中でも、肌や体型の変化はわかりやすく、化粧品メーカーや下着メーカーなどの研究が進み、その対策となる商品も数多く発表されています。ただ、その加齢による変化に「骨」が深く関係していることを認識している方は少ないのではないでしょうか。
加齢による骨の問題として、よく取り上げられるのは「骨粗しょう症」。身体機能の問題として捉えられますが、実は、からだだけでなく顔の骨にも骨粗しょう症はおきているのです。骨の中身がスカスカになって細くなると、骨を支えとしている筋肉がゆるみ、その上を覆っている皮膚もたるむというわけです。
その対策として、積極的に摂取するべき栄養素はビタミンD。骨の成長には欠かせない栄養素であり、不足するとカルシウムの沈着が悪くなります。ビタミンDは魚や卵に多く含まれているため、健康志向が過ぎて野菜ばかりを食べている方は注意が必要。バランスの良い食生活はすべての基本なのです。
女性の見た目の印象を判断する代表的な要素として、
・顔やからだの造作
・メイクアップ
・表情
があげられますが、顔やからだの造作は持って生まれたものなので、簡単には変えられません。それに引き換え、メイクアップはある程度の技術と道具が必要。唯一、表情は、自分の心掛けだけで大きく変えられ、さらに顔の造作やメイクアップを変えるのに匹敵するほど大きな影響をもたらします。もちろん表情が豊かな人は好感度も上がり人間関係も円滑になるわけですが、年齢を重ねると顔の筋肉、つまり表情筋が衰えて表情も硬くなってしまいがち。定期的にマッサージするなどして、表情筋を柔軟にするよう意識しましょう。
好印象をもたらす表情のひとつとして、口角を少し上げ、自然に「微笑みかける」ことが確実に“見た目印象”アップにつながります。
“エロス”という言葉自体、やや刺激的かもしれませんが、何か特別な行動を起こすということではなく、要は「異性を意識する」ということ。人は誰でも「若々しく見られたい」と思いますが、それは「1歳でも若く見られたい」のではなく「いつまでも生き生きと内面から輝いていたい」と考えている場合が多数。
つまり、劇的に見た目を変えることより、さまざまなことに興味を持ち、豊かな人間関係を築いていくことが求められます。それを実現させるのが、異性の存在。何歳になっても異性の存在を意識しながら装い、立ち振る舞うことで本来の魅力が増し、“見た目印象”も格段に差が出るのです。
(文・川原好恵)
この記事の監修
Dクリニック東京 名誉院長
特定非営利活動法人アンチエイジングネットワーク 理事長
特定非営利活動法人創傷治癒センター 理事長
特定非営利活動法人フューチャー・メディカル・ラボラトリー 副理事長
見た目のアンチエイジング研究会 代表世話人
日本抗加齢医学会 顧問
塩谷 信幸(しおや のぶゆき)
1931年、東京都生まれ。東京大学医学部卒業。Tokyo Army Hospitalでのインターン修了後、フルブライト留学生としてアメリカに渡り、オルバーニ大学で外科を学ぶ過程で形成外科に魅了される。帰国後、東京大学形成外科勤務を経て、北里大学医学部教授(形成外科)に就任。「美容外科とは、美を求める人間の執念と、造形の魔力に憑かれた形成外科医とが織りなす矛盾をはらんだ人間模様であり、社会現象である」と、医療と美容外科の間に生じる矛盾を追及し、今もなお、美容外科をアンチエイジングという幅広い視野で捉え、各専門家が所属したNPO法人を設立し、意欲的な活動を続けている。
よくある質問