医療法人社団ウェルエイジング 理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
小林 一広(こばやし かずひろ)
生活力があり、気の合う仲間がいれば、女性もひとりでも生きていける現代。その分、大恋愛でもしなければ、結婚へのモチベーションが高まらない……。と、理想が高くなっているのかも? バレンタインだって、珍しいチョコが手に入るから、自分へのご褒美に購入するイベントへと様変わり。このように、あまり恋愛に積極的になれないシングル女性が急増しているようです。
生涯未婚率とは、『45~49歳』と『50~54歳』未婚率の平均値から、『50歳時』の未婚率(結婚したことのない人の割合)を算出したもの。これは、生涯を通して未婚である人の割合を示すものではありません。しかし、50歳で未婚の人は、将来的にも結婚する予定がないと考えることもできるため、生涯独身でいる人がそのくらいいるかを示す統計指標として使われています。
国勢調査での報告によると、2010年の生涯未婚率は男性が20.14%、女性は10.61%でした。男性の5人に1人、女性の10人に1人が生涯独身ということになり、晩婚化より未婚化が年々上昇。さらに、35歳過ぎて結婚できた男性はわずか3%、女性は2%という衝撃的な調査結果が!(右表) このような現実を見ると、異性へのときめきが薄れつつあるというのも納得です。
エストロゲンは、女性らしい曲線のあるボディラインや、肌のなめらかさなど、若さと美しさを司っているホルモン。けれど、30代後半から年々減少していきます(下図参照)。しかも、35歳過ぎてから結婚できる女性はわずか2%。ときめきのない生活を送っていると、エストロゲンの減少が早まり、若々しさが減りやすくなってしまうかもしれません。
何年も恋愛から遠ざかっていると、今すぐときめくような恋をしよう! と思っても、なかなか難しいかもしれません。まずは、ときめき体質を取り戻すために、こんな方法はいかがでしょう?
女性は「恋をするとキレイになる」といわれています。それは、ときめきが女性ホルモンの分泌を活性化しているから。ときめくと、脳内の神経伝達物質であるドーパミンが増えてきます。ドーパミンは快感を呼ぶ物質。脳内を幸せで満ちると、エストロゲンの分泌が促されるのです。恋をするからキレイになるのではなく、ときめくからキレイで若々しくいられるという仕組み。
植物を育てて実や花をつける達成感を味わったり、趣味に没頭したり、ペットに愛情を注いだりすると、ドーパミンのいい影響を受けることができるのです。このように、幸せを感じやすい状態にしておくと、身近にいるやさしい男性の存在に、気づきやすくなるかもしれません。
・女性らしさがアップする
女性は恋をすると、女性ホルモンの分泌が活性化され、PEA(フェニルエチルアミン)やエストロゲンをはじめ、オキシトシン、セロトニン、ドーパミンといった物質が分泌されます。それらの物質には女性らしい体づくりや前向きな精神作用、リラックス作用などの効果があり、総体的に女性としての魅力がアップします。
・メイクやファッションに頑張れる
恋をしていないと、メイクや服選びもついつい手を抜きがち。でも恋をすると、「かわいくなりたい・美しくなりたい」という気持ちから、フレッシュな気持ちでメイクやファッションを頑張れる気持ちになれます。
・生活が楽しくなる
「恋をしている」というだけで、毎日がポジティブに過ごせます。恋についてのモチベーションが、仕事や生活習慣などに波及し、楽しく毎日を過ごすことができます。そんな気持ちが相乗効果として女性を内面からキレイにします。
恋をすると、脳内の神経伝達物質であるPEAが大量に分泌されます。これは、恋したときのドキドキするような高揚感に。PEAは、目で見えるものに反応して分泌するので、好みの俳優やアイドルのポスターを部屋に貼ったり、コンサートに行くことでも、同じようなドキドキ感を得られます。恋愛小説や恋愛映画でもPEAは発生。
また、チョコレートやチーズ、赤ワインにはPEAが多く含まれています。古来より、チョコレートは媚薬であるといわれてきたのは、PEAの作用だと考えられます。これらを日常的に適量摂取することで、恋しやすい体質をなる可能性が。チョコレートは、カカオ含有量70%以上のものを選ぶといいでしょう。バレンタインに自分へのご褒美チョコを買うのは、あながち間違ってはいないのです。上質なチョコを食べて高揚感を促すようにすると、恋に落ちやすい体質に取り戻せるかもしれません。
不規則な生活をしていると、また、加齢によりエストロゲンやドーパミンが減ってしまいます。ときめき体質をつくるためにも、規則正しい生活が大切。早寝早起きし、朝日を浴びることで気持ちも晴れやかに1日がスタートできるのです。特に冬場は、意識して朝日を浴びましょう。日照時間の少ない北欧では、うつ病の発症が多いというエビデンスもあるほど。陽の光は精神にいい作用をもたらします。
そうはいっても、生涯未婚率の指標年齢である50歳前後で、すべての事にときめきを感じなくなったら……。それは更年期症状が原因であることも考えられます。閉経時期には個人差がありますが、平均的には50歳前後。クリニックで自分の女性ホルモン値を調べ、更年期症状がどんな状態で起こるものなのか、把握しておくといいでしょう。突然、乱気流(更年期障害)に巻き込まれて着陸(閉経)を不時着するより、どんな雲(トラブル)を回避すればソフトランディングできるのか。更年期のフライトプランを立てておくと、ときめきがなくても精神的に安定していられるのです。
この記事の監修
医療法人社団ウェルエイジング 理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
精神保健指定医
小林 一広(こばやし かずひろ)
北里大学医学部卒業。
同大学病院にてメンタルヘルスを中心とする医療に従事する。
その後、医療社団法人ウェルエイジングを設立。
頭髪治療専門の城西クリニックを東京及び福岡に開院すると共に『AACクリニック銀座』を2006年3月に開院。
理事長として従事する傍ら、精神科医としての経験を生かし、積極的に心身両面からの治療に取組んでいる。
1991年3月 北里大学医学部 卒業
1991年6月 北里大学病院 精神神経科
1993年6月 埼玉県立精神保健総合センター医員
1995年5月 北里大学東病院 精神神経科 病棟医
1997年4月 北里大学 医学部精神神経科研究員
1999年7月 医療法人社団 城西クリニック開設
2014年6月 医療法人社団 Dクリニック東京 メンズ 開設
2021年1月 医療法人社団 Dクリニック東京 メンズの理事長に就任
現在に至る
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