Dクリニック東京 院長
安田 吉宏(やすだ よしひろ)
肩や腰の筋肉が凝りやすくなった。あちこちが凝っていて体が重く感じる。凝っている場所を押すと硬くて痛い、肩を回すとグキグキと音がするといった不調を感じたら、血流が悪くなっているサインかも。
私達人間は、寝ている時以外、重い頭と両腕を肩や首だけで支えています。そのため、起きている状態では肩や首の筋肉は常に緊張した状態となり、疲労物質が溜まっていきます。加齢に伴い血行が悪くなると、疲労物質がそのまま留まっていってしまうため、肩コリが起こりやすくなります。また、歳をとって筋肉を使う機会が減ることで、筋肉が固まって緊張しやすくなったり、疲れやすくなったりすることも原因と考えられます。
人間の背骨1つ1つの間には、椎間板があります。この椎間板は、衝撃を緩和するクッション的な役割を担っています。しかし加齢に伴い、この椎間板が劣化して硬くなり、首や肩の重たさや痛みの原因になります。この症状を「頸部脊椎症」といいます。
歳をとってくると、何やら肩が重いし痛い…。それは四十肩・五十肩かもしれません。四十肩・五十肩は、肩関節の周囲の腱組織が長年の使用と加齢に伴う劣化で、炎症が起こっている状態です。
同じ姿勢で日常の作業に取り組んでいると症状が出やすくなります。近年ではスマートフォンの急激な普及によって問題になっている「スマホ首」。スマホを見ていると、ついつい姿勢が下を向いているようになり、いわゆるストレートネック状態になって肩や首が重くなり痛みが走る状態です。
眼の病気やリウマチ、貧血や低血圧・高血圧、狭心症などの生活習慣病、歯の病気、慢性的な姿勢の悪さ、ストレスの蓄積なども原因になる可能性があります。
頑固な肩こりが続く場合には医療機関に受診してみましょう。
肩こりがひどくなると、周辺の筋肉も緊張して硬くなります。特に首の筋肉が硬くなると、脳への血流が悪くなり、頭痛、吐き気、めまい、耳鳴りといった症状を引き起こすこともあります。
硬く緊張した筋肉を、マッサージでゴリゴリと痛いくらいにマッサージしていませんか?過度なマッサージは、筋肉に余計な緊張を与えて疲れさせてしまったり、筋肉を傷つけてしまうことがある為、逆効果。肩がこってきたかも?と感じたら、緊張をほぐす程度の軽いストレッチを行いましょう。
肩こりや首こりがあまりにもひどい場合や、すぐに痛みを緩和したい場合は、市販のシップや内服薬を使用しましょう。「インドメタシン」や「フェルビナク」を配合した貼付薬や、「イブプロフェン」や「エテンザミド」を配合した内服薬が効果的です。貼付薬を使用する場合は、肩や首を冷やさないように、温感タイプを選ぶとよいでしょう。また、以前は病院でしかもらえなかった「ロキソプロフェン」という消炎鎮痛成分を配合するお薬も、最近ではドラッグストアなどで購入ができるようになりました。
鎮痛薬には副作用もあるので飲み過ぎには注意しましょう。あまりお薬に頼りたくない、という人は、ビタミンB群を配合したサプリメントや食品を摂取すれば、症状の緩和が期待できます。
この記事の監修
Dクリニック東京 院長
医学博士/日本専門医機構認定形成外科領域専門医
安田 吉宏(やすだ よしひろ)
1996年3月 香川医科大学(現 香川大学)医学部 卒業
1996年4月 医籍登録
1997年4月 北里大学 医学部 形成・美容外科学講座 入局
(佐久総合病院・北信総合病院及び横浜南共済病院等の関連施設に勤務)
2003年4月 北里大学 救命救急センター 助教
2004年4月 東京大学医学部ティッシュエンジニアリング部客員研究員
2008年3月 北里大学 大学院 医療系研究科 修了
2010年2月 城西クリニック 勤務
2021年1月 Dクリニック東京 院長就任
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