働き盛り世代の体の不調悩みの上位を占めるものといえば、常に「肩こり」なのだそう。パソコンやスマートフォンと向き合う時間が多い現代人にとって、とても身近な自覚症状ですよね。
今回は、そんな肩こりをラクにするセルフケアの方法を紹介します。
肩こりの多くは、肩の関節を取り巻く筋肉に過度な負荷がかかることで起こります。原因の主なものとしては、長時間のデスクワークやからだの冷え、重い荷物、ストレス、やせ過ぎによる筋力不足、太りすぎによる負担大、メガネの度が合っていない、女性ホルモンのバランスの変化など。
このように挙げると原因はさまざまですが、多くは以下の2つのどちらかに集約されます。
同じ姿勢を続ける(猫背や肩が内側に入っている姿勢など)、肩に過度な負荷をかけるなど。
冷えや喫煙、緊張など。また、元々の体格上、重力の影響を受けやすいなで肩も頑固な肩こりに悩まされがち。
肩こりの症状は原因によって異なり、肩や首筋がこわばったり、張ったり、痛んだり、だるくなるなどさまざま。
・血行不良による肩こりは、血が滞って首や肩、後頭部が痛くなることが多い。対処法としては、お風呂で体を温めるなどして血行をよくするのが先決。
・ストレスや緊張などで肩がこわばる。そんなタイプの肩こりの人は、マッサージに行って筋肉の緊張をほぐすと一時的にラクに。
・女性に多い筋肉不足による肩こりは、重い頭を支える筋力が足りず、だるくなるタイプ。腕の上げ下げなどの簡単な運動で肩や腕を鍛えると良い。
オフィスで長時間同じ姿勢でパソコンに向かっていると、肩周りの筋肉がカチカチに固まり、疲労が蓄積されてしまうことに。仕事の合間や寝る前などに短時間でも筋肉を動かしてあげることで、頑固なこりを防ぐことができます。
・腕を思いきり伸ばす
・首・肩を回す
・肩を上下に動かす
など、肩全体の筋肉のストレッチは座ったままでもできるものが多いので、気づいたらトライしてみて。肩こり予防に大切なのは、筋肉が緊張した状態を続けないこと。帰宅後にまとめてケアするより、仕事中などにこまめにケアすることが重要なのだそうです。
一人ひとり、肩のコンディションは異なるもの。いかり肩となで肩といった肩の形のタイプに合わせて筋トレをすると効果的だといわれています。伸びきった筋肉に刺激を与えられるように考えられている筋トレ、試してみて。
・「いかり肩」向けのカンタン筋トレ
前腕を立て、手の平を前に。
→あごを引き、胸をそらせながら肩甲骨ごとまっすぐ腕を下ろす。※5秒静止。
・「なで肩」向けのカンタン筋トレ
前腕を立て、ひじを肩より少し高い位置に置き、手の平を前に。
→肩甲骨ごとまっすぐ腕を上げる。※5秒静止。
どちらも、1セットあたり10回メド、1日で3セット程度をすると肩こり予防に効果を期待できるとのこと。
肩周りの筋肉でいうと、ストレッチや筋トレで「肩甲骨を柔軟に動かす」ことが肩こり解消のポイントですが、全身の筋トレで体幹の筋肉を鍛え、「肩甲骨と骨盤の位置を正しくする=姿勢をよくする」という根本ケアでも肩こりは軽減。なお、筋トレなどの運動は肩こり解消にとても効果的ですが、肌と同様、筋肉も睡眠中につくられるといわれているので、運動した後は良質の睡眠をとることもお忘れなく。
一番手軽にできる毎日の入浴での肩こり解消パワー、実は侮れません。ぬるめのお湯に肩までゆっくり浸かると、入浴の浮力効果で重くなった肩が軽く。また、温熱作用と水圧作用で血流がよくなるので、筋肉がゆるみ、肩こりもラクに。湯船の中でストレッチをするとさらに効果的です。
他にも、「肩こりに効果のあるツボをやさしく押す」(特にオススメなのが、後ろ髪生え際あたりのくぼみのツボ「風池(ふうち)」。慢性的な肩こりや頭痛、目の疲れに効果的と定評が!)、「椅子の高さを調整して前かがみにならないようにする」「自分に合った枕を使う」「脇の下を揉む」(リンパの滞り改善に◎)など、手軽にできるケアはさまざま。自分なりの合わせ技で、肩こりをラクにしていきましょう。
なお、上で紹介したのはすべてちょっとした不調の範囲といえる肩こりの解消法。つらい症状が続く場合は、整形外科や婦人科など専門医に診てもらうのが◎。
肩こりに悩まない体づくりには、日頃から姿勢をよくする、運動の習慣を心がけるなどの生活改善が一番。また、寒くなるこれからの季節は、「衣類や荷物の軽量化で肩への負担を減らす」「薄着で外から体を冷やさないようにする」といった基本とともに、食事などでの“体内からの冷え”にも注意したいもの。日常生活での何気ない習慣を見直すだけでも、肩こりが少し軽くなるのを実感できます。
(文・大津礼保奈)
参考文献
肩こり・肩の痛みを解消!(NHKオンライン)
いかり肩・なで肩… タイプ別の肩こり改善筋トレ(NIKKEI STYLE)
お悩み別入浴法 肩こり・腰痛(バスクリン)
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