Dクリニック東京 医師
竹中 洋史(たけなか ひろし)
「今、一体なぜできてしまったのか」「昨日食べたケーキのせいなのか」「空気の悪いところに長時間いたからなのか」「職場にイヤな上司がいるからなのか」……原因を特定するのはけっこう難しいのがニキビ。ニキビの原因は時代とともに多岐にわたっているように見えるけれど、実際のところはどうなの? メディアでまことしやかに囁かれているニキビにまつわるエトセトラについて、その真偽を皮膚科医であるメンズヘルスクリニック東京の竹中洋史先生に伺いました!
「メディアではよく“乾燥ニキビ”というワードを見かけますが、医学用語に“乾燥ニキビ”というものは存在しません。そもそも乾燥とは肌の水分が不足している状態のことであり、ニキビは過剰な皮脂や不要な角質が毛穴に詰まり、そこにアクネ菌が繁殖する状態のこと。つまり、乾燥自体がニキビをつくりだすということはないのです。原因も治療法もまったく異なるため、肌の乾燥もニキビも気になるなら、スキンケアの見直しと並行して、ニキビ治療をする必要があります」(竹中先生)
「確かに、ニキビ治療でクリニックにいらっしゃる患者さんのなかには、甘いものを食べるとニキビがてきめんにできて……とおっしゃる方がいますが、実際には食べたものとできてしまったニキビとの因果関係はありません。これはアメリカの権威ある論文で発表されている、はっきりとした事実。ニキビができたからといって、チョコレートやナッツ、ケーキなどを控える必要はありません。ただし、バランスの悪い食事は当然健康に良くないので、ニキビの有無にかかわらず、甘いものはほどほどにしましょう」(竹中先生)
「ビタミンAは皮膚表面のつまりを取る効果があり、ニキビ予防に有効な栄養素ではあります。実際に、ビタミンA誘導体を配合した塗り薬を処方することもありますが、妊娠または妊娠している可能性のある婦人に対しては、安全性が確立していないため、推奨しません。また、動物実験では乳汁中への移行も報告されています。最近では抗菌作用と角質剥離(ピーリング)作用をもつBPO(過酸化ベンゾイル)が主成分の外用薬が発売されました」(竹中先生)
「紫外線を浴びることや、大気汚染物質が肌に付着すること自体が、直接ニキビを引き起こすことはありません。ただ、大気汚染物質に限らず、毎日使うファンデーションや日焼け止めなども肌にとっては異物。異物が付着した状態で長時間過ごすことは毛穴の詰まりを招きやすいので、当然ニキビのリスクが増えます。メイクしたまま寝てしまうなんてことがないように、帰宅したらすぐに洗顔を!」(竹中先生)
ニキビは痛いだけでなく、赤みや腫れで目立ちやすく、精神的にもショックが大きいもの。だからこそ、さまざまな情報に踊らされがちだけれど、誤った方法でかえってニキビを悪化させてしまっては本末転倒です。情報はなんでも鵜呑みにぜず、出どころをきちんと確認。症状がひどいときはすぐにドクターに相談しましょう!
(文・坂井七緒美)
この記事の監修
Dクリニック東京 医師
日本皮膚科学会認定専門医/日本アレルギー学会会員
竹中 洋史(たけなか ひろし)
順天堂大学大学院医学部皮膚科・アレルギー学講座卒業。
順天堂大学医学部皮膚科・アレルギー学助教を経て現在に至る。
最新の発毛知識・皮膚疾患知識の吸収を欠かさず、分かりやすい明快な説明を心がけている。
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