日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
脇坂 長興(わきさか ながおき)
秋は髪にとって深刻な季節。夏の間に蓄積したダメージが一気に押し寄せ、抜け毛やゴワつき、白髪などさまざまなトラブルが表面化します。
今回は、そんなヘアケア意識が高まる季節にぴったりの髪にまつわるトリビアを紹介します。
「シャンプーするときは、頭皮に指の腹を当ててシャカシャカと洗いましょう」というのが常識とされていますが、実はこの洗い方では毛穴に詰まった汚れまでは落としきれていないって、知っていましたか?
正しいシャンプーの仕方はコチラ
① シャンプーをたっぷり泡立てて
② 頭皮の隅々まで行き渡らせる
③ 毛穴に詰まった汚れを泡に溶かし込むようにイメージしながら、指の腹で毛穴に詰まった汚れを浮かせるように揉み洗い
手の動かし方を変えるだけで、普段よりも頭皮がすっきりと洗い上がります。
髪の毛は最初から色がついているわけではありません。髪は頭皮の中にある毛母細胞でつくられますが、毛母細胞そのものには色がないため、それだけなら色素のない白髪として伸びていくことになります。しかし、毛包の中にはメラニン細胞も存在するため、頭皮内で髪が成長する過程でメラニン色素が取り込まれ、髪に色がつくのです。白髪は、毛包でメラニン色素が作られなくなった状態なのです。
ストレスは頭皮の血流を低下させたり細胞の増殖を抑制したりするので、ストレスが抜け毛の原因になることがあります。そのためストレスを感じにくい鈍感な人ほど抜け毛が少ない……と考える説があるようです。しかし、今のところそれを裏付けるほどの研究データはないため、都市伝説の域を出ません。
髪の毛は通常、ひとつの毛穴から1本ではなく、複数本まとまって生えています。ただし、生え際に近い部分はほとんど1本ずつ生えています。
基本的に、髪の毛は2~7年のサイクルで生まれ変わります。これだけの期間をかけて太く長く伸びていくものなので、太い毛が抜け落ちていてもさほど心配は要りません。注意すべきは短いままの抜け毛や細い抜け毛。これは髪の毛が成長しきる前に抜け落ちているということなので、薄毛の危険信号といえます。
欧米など諸外国では、毎日シャンプーしないほうが良いとする意見も見られます。しかしこれは、諸外国の多くが硬水でシャンプーをするため洗うと髪が傷みやすいということと、日本のような高温多湿の環境ではないので頭皮がベタつかず毎日洗う必要がないというのが理由のよう。
日本の水は軟水なのでシャンプーは泡立ちやすいうえ、毎日洗っても髪を傷めることはなく、頭皮への負担もありません。ただし、乾燥肌の人や頭皮が乾燥し過ぎているときは、2~3日に1回のシャンプーでも問題はないでしょう。
「シャンプーをする前にブラッシングすることで、フケやほこりを起こして汚れを落としやすくする」というヘアケア法を聞いたことがあるかもしれませんが、これは×。汚れをしっかり起こそうと入念にブラッシングをしてしまい、かえって頭皮を傷つけてしまいがち。健やかな髪の土壌を守るためにも避けたほうが無難です。
妙な思い込みや誤った情報の刷り込みは、ここで一旦リセット。この機会に知識をアップデートして、10年後も20年後も豊かで健やかな髪を目指しましょう!
(文・坂井七緒美)
この記事の監修
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医/日本美容医療協会会員/特定非営利活動法人F.M.L.理事/医療法人 翠奏会理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
脇坂 長興(わきさか ながおき)
1962年生まれ。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。
同大学病院の形成外科で skin rejuvenationを研究。
方法論よりも患者様が一番良くなる治療を提供することが 形成外科医の使命であると考えている。
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