ナチュラルなライフスタイルを送っている人なら、誰もが手にしたことのある重曹。もともと人のからだにも存在するシンプルな天然ミネラルでありながら、掃除や洗濯はもちろん、料理や美容、健康維持にも使えるとあって、さまざまなシーンで多くの人々に支持されています。
一方で、そのマルチすぎる使用法ゆえ、いまいち活用しきれていない。あるいはナチュラルクリーニングに欠かせないもうひとつの白い粉、クエン酸との使い分けが難しくてわからない、と手に余している人が多いのも事実。
そこで今回は重曹とクエン酸、その両者の特徴をおさらいしつつ、意外と知られていないヘルスケア方面での活用法をまとめて紹介します。
まず覚えておきたいのは、重曹=弱アルカリ性、クエン酸=酸性という性質。たとえば、家にあるほとんどのものはこの2つさえあれば掃除できるといわれています。なぜかというと、油(=酸性)が多い家の汚れは、逆の性質を持つ重曹(=弱アルカリ性)で中和することができるから。同様の原理で、水垢や石鹸垢などのアルカリ性の汚れにはクエン酸(=酸性)が有効、ということになります。
ここで重曹を使った、意外だけど役に立つスキンケア法を紹介!
歯垢は酸性なので、アルカリ性の重曹で磨くことで歯石がたまりにくい状態をキープすることができます。一方で程よい研磨作用も持つことから、まさに歯磨きにぴったりの素材といえます(※歯のエナメル質を傷つけないよう磨きすぎには注意)。さらにもうひとつ、重曹にはニンニクなどの食べ物による口臭を和らげる効果も。これは臭いの元となる細菌が好む酸性の口内環境を重曹がアルカリ性に傾け直してくれるからです。
油落としが得意な重曹は、肌のお手入れでも実力を発揮。たとえば、顔のTゾーンなど皮脂の多い部分に重曹を使うと、すっきりツルツルに洗いあがります。重曹は水に溶かすと丸みを帯びる性質を持っているので、肌に優しいスクラブ洗顔として取り入れることができます。ちなみに重曹の固さは爪と同じくらいといわれているので、爪磨きに取り入れても良いでしょう。
重曹に水を半量ほど混ぜてペースト状にすると、シェービングクリーム代わりに。ワキの場合は洗い残しがあっても、重曹は汗で溶けるうえ、気になるニオイまで予防してくれるので一石二鳥です。
足のニオイの原因は、「イソ吉草酸」という弱酸性の物質。これを打ち消すためには弱アルカリ性の重曹がやはり効果的。玄関に重曹とパフを用意しておくと、朝出かける前にササッと足の裏にはたきつけることができるので便利ですね。汗で溶けるので、素足のまま靴を履いても問題ありません。夜の足湯にもぜひ重曹を足してみて。疲れとともに、汚れと臭いがすっきりオフできます。
入浴剤の原材料としてよく耳にする「炭酸水素ナトリウム」とは重曹のこと。湯船にひとさじ溶かせば、軟水効果でお湯が柔らかくなり、浸かるだけで体の汚れを落とすことができます。入浴後はツルツルの肌になりますが、皮脂が落ちている状態なので、しっかり保湿ケアをおこない、潤いをチャージすることもお忘れなく。
もともと胃薬として登場したルーツを持つ重曹。コップ一杯の水に溶かして飲むことで、疲労回復、胃腸改善、便秘解消などが期待できます。酸を中和する性質から、胃酸過多にも威力を発揮。胃酸と反応すると炭酸ガスが発生して胃が膨らむため、ダイエット中の空腹を紛らわせるのにもオススメです。
飲みにくい場合は、クエン酸やレモンを混ぜればシュワっと即席の炭酸水に。はちみつや黒酢を加えてさらに美味しく美容効果まで狙っても!
疲れた時に欲しくなる酸っぱいモノの正体こそは、クエン酸。梅干しやレモン、お酢などに含まれているアルカリ性の成分です。疲労の原因物質である「乳酸」を分解・排出する作用があり、疲労回復はもちろん、肩こりや筋肉痛の予防や改善にも役立ちます。また、体内の活性酸素を除去するキレート作用により、アンチエイジング、ガン予防などにも効果があるといわれています。クエン酸は体内に入ると4時間で消滅してしまうので、効果を継続させるためには1日数回に分けて摂取することがポイントです。
重曹もクエン酸も、スーパーや薬局はもちろん、最近は百円均一ショップでも手軽に入手することができます。主に薬用、食用、工業用の3種類があるので、口に入れたり肌につけたりする場合は、不純物の少ない薬用や食用を選ぶようにしましょう。
(文・合六美和)
<参考文献>
『やっぱり重曹はスゴイ!』(主婦と生活社)
『クエン酸で医者いらず』長田正松・小島徹 著(日東書院本社)
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