Dクリニック東京 医師
竹中 洋史(たけなか ひろし)
「フケが目立つのが怖くて濃い色の服が着られない」実は最近、こんな悩みを持つ方が少なくありません。
せっかくお洒落を楽しめる季節なのに残念ですよね。
そもそも毎日シャンプーして頭皮も髪も清潔にしているはずなのに、なぜフケが出るのか。
その原因と改善法を皮膚科医であるメンズヘルスクリニック東京の竹中洋史先生に教えていただきました。
フケは、頭皮の古い細胞がはがれ落ちた老廃物です。人間の皮膚は、1ヶ月前後のサイクルで新陳代謝されます(ターンオーバー)。頭皮では、角質が皮膚の奥から押し出されて、古い表皮がはがれ落ちていきます。通常のフケは微細で、日頃のシャンプーで取り除かれます。しかし頭皮に何らかのトラブルがあると、大きなフケが目立つようになります。それに伴って、かゆみや臭い、頭皮のベタベタ感も目立つようになります。つまり、フケは健康のバロメーターの一つであると言えるのです。
次の項で詳しく説明しますが、フケには「乾性フケ」と「脂性フケ」があります。一般的に、頭皮が乾燥して起こるフケ(乾性フケ)は白く、皮脂が多く出ているフケ(脂性フケ)は黄色い色をしています。
まず、フケは大きく下記の「乾性落屑(かんせいらくせつ)」と「脂性落屑(しせいらくせつ)」の2つに分けられます。それぞれの状態、原因、対策を整理してみましょう。
[状態] 一般的に“乾性フケ”とも呼ばれるもので、乾燥したフケが出る状態。
[原因] シャンプーのし過ぎや間違ったシャンプーの仕方による頭皮の乾燥や荒れ。ブラシで頭皮をゴシゴシと刺激したり、爪を立てて洗ったりすると、頭皮が無理にはがれ、トラブルの原因となります。
[対策] シャンプーは1日1回を基本とし、指の腹を使って、優しく洗いましょう。使用するシャンプーはアミノ酸系のシャンプーがおすすめ。ベビー用シャンプーや敏感肌用のシャンプーでもOKです。
*アトピー性皮膚炎が原因の場合もあります。その場合は、医師の指示に従ってください。
[状態] 一般的に“脂性フケ”とも呼ばれるもので、ベトベトとしたフケが出る状態。
[原因] 頭皮の皮脂バランスが崩れ、皮脂が増えたことが原因。私たちの体内には、常在菌であるマラセチアという真菌の一種が存在します。実はこのマラセチアは皮脂が栄養源。皮脂が増えると、それを好物とするマラセチアが増殖して頭皮を荒らしてしまうのです。これは「脂漏性皮膚炎(しろうせいひふえん=湿疹)」が発症している状態です。
[対策] ミコナゾール配合のシャンプーを利用する、ステロイドやニゾラールなどを配合したクリーム、ローションなどを医師から処方してもらうなどの方法があります。いずれも、一度皮膚科の診断を受けたほうが良いでしょう。
「私は乾燥肌だから、脂漏性皮膚炎じゃない」と思い込んでしまう女性も多いそうですが、「そこが頭皮トラブルの難しいところ」と竹中先生。まず、人間の体は、皮脂が多い部分と少ない部分があるため一概に「私は乾燥肌」「私は脂性肌」と言い切れないのだそうです。腕や脚はカサカサしていても、顔のTゾーン、脇、鼠径(そけい)部などは脂っぽいという場合も多々。頭も皮脂が多いため「脂漏性皮膚炎」になりやすいというわけです。予防策としてはビタミンB群を積極的に摂り、バランスのとれた食生活を送ることが第一。今現在、フケが気になる程度なら……
この2点をさっそく実践。それでも改善されないようなら
とステップを踏んで判断を。竹中先生によると「軽いフケだったら洗い方やシャンプーをまず見直してみる。かゆみが続くようなら医師の診断を仰ぐ」というのが、判断のボーダーラインのようです。
そしてもうひとつ、頭皮の隠れた悩みとして聞かれるのが「イボ」。医学的には「老人性疣贅(ろうじんせいゆうぜい)」または「脂漏性角化症(しろうせいかっかしょう)」と呼ばれます。イボの原因は明確には解明されておらず、老化や日光の当たり過ぎなどが考えられています。予防も直射日光を避ける程度しかなく、できてしまってからの対処法も病院やクリニックで除去するしかありません。ただし、除去法としてはメス、液体窒素、レーザーなどがあり、保険適用もそれぞれ異なりますので、医師と相談して決めましょう。
(文・川原好恵)
この記事の監修
Dクリニック東京 医師
日本皮膚科学会認定専門医/日本アレルギー学会会員
竹中 洋史(たけなか ひろし)
順天堂大学大学院医学部皮膚科・アレルギー学講座卒業。
順天堂大学医学部皮膚科・アレルギー学助教を経て現在に至る。
最新の発毛知識・皮膚疾患知識の吸収を欠かさず、分かりやすい明快な説明を心がけている。
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