日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
脇坂 長興(わきさか ながおき)
空気が乾燥する冬になると、頭皮がかゆい、フケがよく出る。そんなお悩みありませんか?
頭皮も皮膚の一部。頭皮ケアの基本的な考え方は肌のお手入れと同じです。かゆみやフケは、誤ったお手入れによる「頭皮の乾燥」が原因かもしれません。頭皮全体がかゆいなら「頭皮が乾燥している」、一部がかゆいなら「こすり過ぎなどで頭皮が傷ついている」可能性が……!!
「頭皮を清潔にすること=汚れや皮脂をしっかりとること」だと勘違いしていませんか?
そもそも、皮脂は悪いものではありません。皮脂とはがれた角質が混ざり合って皮脂膜をつくり、そこにいくらかの常在菌が棲んでいるのが、健康な頭皮本来のあるべき姿。皮脂膜は、皮膚に潤いを与えると同時に、外部からの物理的刺激や化学的刺激の侵入も防いでいるのです(バリア機能)。
それなのに、洗浄力の強いシャンプーで、しかも頭皮に爪をたててゴシゴシと洗ってしまったら必要な皮脂までとりすぎてしまいます。その結果、頭皮のバリア機能が低下し、かゆみ(炎症)が起きたり、角質(フケ)がたくさんはがれてフケが出たりしてしまうのです。
ちなみに、頭皮の「乾燥」が直接薄毛の原因になることはありません。
頭皮の洗い過ぎ(頻度やゴシゴシ粗い)は、ヘアサイクルの成長期が終わりに近づいた髪や、休止期(いつ抜けてもいい状態)にある髪が早く抜ける原因にはなりますが、通常ならば3か月もすればまた髪が生えてきます。
「薄毛」になるのは、加齢やホルモン分泌の変化、血流の低下などの要因で髪の成長のサイクルが乱れ、抜ける毛よりも新たに毛が生えてくる髪の伸びが遅くなったり細くなったりし、ついには生えなくなるからなのです。
年齢を重ねると、頭皮を守っている皮脂や天然保湿因などが若い頃よりも減ってしまいます。
こうした加齢による変化も、頭皮が乾燥しやすくなる原因になります。年齢を重ね、頭皮がかゆいなど敏感になった肌に気づいたら、シャンプー選びにこだわって、洗いすぎを見直しましょう。
洗髪も頭皮を洗うのも、顔を洗うときと同じように“優しく低刺激”が基本です。
つまり、毛穴につまった余分な皮脂や古い角質をシャンプーの泡の中に溶かして落とすイメージですから、ゴシゴシ洗いは不要です。
コツは指の腹(指紋の中心から第一関節の間)を使い、上から下にではなく、下から上に向かって、力を入れず洗うこと。親指以外の4本の指のみで洗うのがちょうどいい力加減です。脇が横に開かないように洗うと力が強く入りません。
すすぎのときにも、皮脂を落としすぎてしまうほど熱いお湯はできるだけ避けて。
石油系界面活性剤のシャンプーは洗浄力が強すぎる可能性大。
頭皮の乾燥予防や頭皮が敏感になっているときは、アミノ酸系界面活性剤使用のシャンプーがお勧めです。
シリコン、ノンシリコンの違いは?
髪のツヤを守りたいなら……シリコン入りのシャンプー・コンディショナー
頭皮にやさしく洗いたい……ノンシリコンのシャンプー・コンディショナー
頭皮用コンディショナーの目的は?
スカルプパックコンディショナー(男性用)は頭皮につけるためのコンディショナーになっているので、頭皮の健康重視の人にお勧め。
髪と頭皮の健康のために、頭皮の血行を良くしておきましょう。ただし、マッサージをするときに、頭皮をこすりすぎないよう気をつけて。
濡れた髪・頭皮は傷つきやすいので、マッサージは髪も頭皮も渇いた状態で行うこと。指先を使うのではなく、手の平で包み込むようにしながら、やさしく頭皮を動かすだけでOKです。強くもみこまないようにしましょう。このときも脇を横に開きすぎないように行うと力加減がちょうどよくなります。
ストレスが続くと地肌や髪の老化を早めます。自分に合ったリラクゼーションを取り入れてストレスをため込まないよう心がけて。十分な睡眠もストレス解消に役立ちます。
この記事の監修
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医/日本美容医療協会会員/特定非営利活動法人F.M.L.理事/医療法人 翠奏会理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
脇坂 長興(わきさか ながおき)
1962年生まれ。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。
同大学病院の形成外科で skin rejuvenationを研究。
方法論よりも患者様が一番良くなる治療を提供することが 形成外科医の使命であると考えている。
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