吉野 一枝(よしの かずえ)
昔に比べると出産による生理のお休みがなく、毎月の生理の回数が飛躍的に増加しています。それに合わせ毎月の女性ホルモンの変動、さらに仕事のプレッシャーやストレスが加わっています。
そんな背景もあって、毎月生理が近くなると肩コリや便秘、ヒステリックになってしまうなど、生理のサイクルに振り回されてしまう女性も多いよう。
でも、生理周期は、ネガティブな要因だけではありません。ダイエットに適している時期や肌のコンディションがいいビューティー時期、デートなどに適している時期などもあります。生理周期の特徴を把握することが大事なのです。
生理周期は、卵胞期(生理が終わって排卵まで)、排卵期(排卵日の前後の時期)、黄体期(生理7~10日前の時期)、月経期(生理の時期)の4つに分けられ 、それぞれに特徴的なホルモン分泌と心身の変化が見られます(詳しくは下記の【月経サイクルと心身の変化】のグラフを参照)。
男性もこの生理周期のしくみをざっくりと理解しておくと、女性の特有の言動や行動がつかみやすくなるかもしれませんよ!
●イケイケ女子力アップの卵胞期
月経が終わってから排卵まで時期。エストロゲンの分泌が盛んで、心身ともに絶好調。ひと月の中でも、肌ツヤがよく化粧ノリもバッチリ。気分も明るく前向きになり、仕事への集中力も高まります。とにかく女子力アップ時期なので、大切なデートや旅行の予定はぜひとも入れたい時期です。また、ダイエットで効果が出やすい時期なので始めるならこの時期を!
●面倒なことはこの時期まで済ませたい排卵期
排卵日の前後の時期。エストロゲンという女性ホルモンの分泌がピークになり、卵巣から排卵が起こります。妊娠しやすい時期ですが、体調は徐々に下り坂に向かいます。むくみや便秘が現れやすくなったり。また、下腹部などに痛みが走る「排卵痛」を感じる人も。この時期から少しずつ不調を感じ始めますが、まだ不調が小さいので、面倒なことなどはこの時期までに済ませておくといいでしょう。
●イライラや不調でデートは不向きな黄体期
生理7~10日前の時期。体が妊娠に備えようとして、女性ホルモンのプロゲステロン(黄体ホルモン)が大量に分泌されます。むくみ、体重UP、眠くなる、乳房が張る、肌荒れ、頭痛など、体の不調に加えて、心も不安定になりがち。イライラや憂うつ、対人トラブルに要注意して。
詳しくは、こちらで関連記事を紹介しているのでチェックしてみてください!
●やさしくされたい生理期
生理の時期。妊娠が成立していない場合、生理が始まります。基礎体温は下がり、生理痛、頭痛、下痢などが起こることも。生理期に入ると、通常PMSの不快な症状は消えますが、今度は冷えやだるさを感じる人も。無理をせずゆっくり過ごしましょう。
ストレスは、女性ホルモンのさまざま影響を与えます。もともとストレスを抱えやすく溜め込みやすい人は、毎月の生理周期で気分の浮き沈みも激しくなる傾向があります。また、更年期の症状も強く出てしまうことがあります。そんなことからも20~30代の頃から、生理周期と上手につきあって、時期に合わせたストレス対処を考えていくことが大事なのです。
アプリなどを活用して、自分の生理周期を把握して、女性ホルモンの利点・欠点を生活の中で上手に生かしてみましょう。
また、男性は、女性ホルモンの対策法を知っておくと、パートナーはもちろん、会社の同僚などにも、女心がわかる人と一目置かれる存在になるかもしれません。
まずは、生理周期と自分特有の悩みを把握しましょう。その上で悩みに応じたセルフケアを。ここでは一例を紹介します。
肌荒れしやすい生理予定日の2週間前ぐらいからは、油分の多い化粧品はなるべく避けましょう。いつもよりきちんと洗顔&保湿を心がけ、リラックスを心がけて。新しい化粧品、マッサージなどを試すなら、好調の卵胞期に。
運動や食事管理をしてきちんとダイエットをしたいと考えるなら卵胞期が向いています。でも、無理な食事制限はホルモンバランスを崩すのでNGですよ。また、女性ホルモンは肥満に関係する「血糖値」にある程度影響します。生理から排卵前は血糖値が下がりやすいので、脂肪を貯蓄しにくくダイエットに適しています。逆に、排卵日から生理前は血糖値が上がりやすいので、食欲が増したり、甘い物が無性に食べたくなったりしてダイエットには不向きなのです。
★入浴:生理周期で入浴剤を使い分けて
生理周期に合わせた入浴剤使い分けのヒントを紹介。生理直後から排卵までの2週間はダイエット効果も出やすいので、発泡タイプやソルト系の入浴剤で積極的に汗をかくのがオススメ。黄体期や月経中は、心と体をいたわりたい時期なので、保湿効果の高い入浴剤や好きな香りのアロマ系入浴剤を選んでみて。
働く女性にとって、生理周期に生活を合わせるのは大変なこと。忙しい時期に限ってPMSが現れたり、生理痛に悩まされたりすることも。ならば、婦人科で低容量ピルやホルモン補充療法という治療法で女性ホルモンの変動をコントロールして、つらい症状を緩和し、快適に過ごすのもひとつの方法です。
男性は、「女性が男性と違って、毎月ダイナミックなホルモン変動にさらされていること」や「月ごと・年齢ごとに心や体が変化しやすいこと」をまずは理解することから始めましょう。
女性も「ワタシの気持ちをわかってくれない!」と諦めないで。日本では男性が女性ホルモンについて一般的に学ぶ機会がないのです。ですから、女性も勇気を持って、「この時期はこうだからこうしてほしい」とパートナーに伝えることは大切かもしれません。自分で言いにくい場合は、今回のこの記事を紹介してみてはどうでしょうか。
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※医学的に生理のことは「月経」といいますが、こちらの記事は一般的な「生理」で統一しました。
この記事の監修
吉野 一枝(よしの かずえ)
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