Dクリニック東京 医師
竹中 洋史(たけなか ひろし)
男性の肌悩みで多いのが、顔のテカリやベタつき。さらに、40代になると、テカリがギラついてきた……という悩みがとても多いのです。特に夏は、スマホにベッタリついた皮脂汚れを見るたびに、溜め息が出る始末。
男性は、自分のテカリやギラつきを女性が嫌悪しているのでは!? と気にしているようです。仕事の資料をスマホ画面で見せて、女性社員に嫌な顔をされようものなら、1日中意気消沈……。拭きとりシートで皮脂をぬぐっても、数時間後にはまたベタつくし、どうにかせねばと真剣に思案中。
皮脂は、男性ホルモンが皮脂腺を刺激することによって分泌されます。これは男女共に同じ。男性ホルモンは加齢による徐々に少なくなっていくので、40代でテカリを気にする男性は、それだけ若いといえるでしょう!
ただ、テカリを通り越し、顔がギラついてきたら、清潔感が損なわれてしまいます。脂肪分の多い食品は、皮脂分泌を盛んにする作用が。仕事の責任が重圧になり、外食が続きがちな40代は、脂肪分の摂り過ぎで、顔がギラついてしまうのかもしれません。
また、某化粧品メーカー調べによると、肌のキメが、ギラつきに関与しているとの報告が。40代になると、男性の肌のキメは粗くなる傾向に。キメが粗くなると、肌表面の細かい光の散乱がなくなり、鏡のように光が正反射。すると、顔の脂がピカーッ! とギラついた印象になってしまうのです。
30代以上の男性の場合、顔から分泌される皮脂は、女性の約2倍と言われています。どうして、こんなに皮脂が出るのでしょうか。
男性の顔のテカリの原因(1)男性ホルモンによる皮脂腺の活性化
男性ホルモンの代表格であるテストステロンは、皮脂腺を活性化させるはたらきがあります。皮脂腺の分泌がもっとも多いのは10代の頃で、ニキビなどの原因になりますが、30代以降でも男性ホルモンが活発な人は、顔のテカリが目立つようになります。
30代の男性は、とかく「オイリー」な食事を好むものです。脂ぎった肉料理やこってりラーメンなどはその代表格。ビールが好きな人は、つまみに揚げ物を食べがちなので注意しましょう。
睡眠不足を始め、ストレスが溜まっていたり、運動不足など、いわゆる生活習慣が乱れていると、ホルモンバランスが崩れがちになり、皮脂が多く出るようになります。
いわゆる「脂性」の人は、過剰な皮脂を適切に取り除くため、スキンケアが大切になります。しかし、多忙な日々の中でスキンケアを怠ると、顔のテカりはますますエスカレートするばかりか、清潔感も失われます。また逆に、過剰に洗顔をすると本来必要な皮脂も失われ、肌が荒れてしまう場合もあります。
夏は冬より皮脂分泌が活発になるので、40代男性のギラつきは、ますます目立つかもしれません。すると、皮脂テカを嫌う女性たちから「きちんと洗顔していない人なのかも!?」という、あらぬ疑いをかけられてしまう場合も……。
皮膚科医は、ニキビやテカリが激しい人に、ビタミンB群を処方するといいます。特に、ビタミンB2とB6には皮脂分泌を抑える作用が。ギラつきが気になるなら、ビタミンB2とB6を意識的に摂るのがオススメ(下の表参照)。
さらに、皮膚科医はビタミンB群と共に、キメを整えるビタミンCを一緒に処方することが多いのです。ビタミンCは、色素沈着を防ぎ、肌のコラーゲン産生を促す作用が。赤ピーマンや黄ピーマン、アセロラジュースやパセリなどに多く含まれています。キメが粗くなりがちな40代男性は、外食にて、付け合わせのパセリも残さず食べるといいですね。
男性は、洗顔料を泡立てず、そのまま肌につけてゴシゴシ洗いする人が多い様子。泡立つタイプの洗顔料は、泡立った状態でこそ、皮脂汚れが落ちる処方になっています。泡立てず、洗顔料をそのまま肌につけてしまうと、汚れがきちんと落ちないのでテカリに。また、洗顔料の成分が濃すぎて刺激になってしまう場合も。
そこで、簡単に泡立てる方法を伝授! 適量の洗顔料をのせた手のひらを、お椀のようにくぼませます。そこに水を加え、反対側の指を茶せんのように立てて、洗顔料をシャカシャカと手早く泡立てましょう。さらに水を加えて泡立てると、キメ細かいふんわり泡の出来上がり。水は、3回に分けて加えるのがベスト。1回分の水の量は、ペットボトルのキャップ1杯分が目安です。
手のひらで顔を覆ってみましょう。目もとや頬といった、骨格の低い部分に手がフィットするはず。ヒトは、手がフィットするところばかり洗うクセがあります。すると、額や鼻すじ、アゴ先といった、皮脂分泌が活発なTゾーンの汚れが、きちんと落ちていない可能性が。洗顔はTゾーンを意識して洗ってください。下唇の下のザラザラした部分もお忘れなく。
「テカリを抑えるには、とにかく乾いていればいい」なんて思ってはいませんか? 実は、油分と水分のバランスが整っているとさらさらとしたうるおい肌状態になります。水分が少ないと皮脂比率が大きくなりギラついてしまう。だから、ギラつく皮脂には水分を与えてみましょう。午後、肌がギラついてきたな、と思ったら、アルコールの入っていない保湿化粧水をたっぷり含ませたコットンで、パタパタとパッティングを。すると、皮脂と水分が混ざり合い、すっきりうるおった肌が長続きするのです。
その際、コットンでゴシゴシ擦ってはいけません。肌は、叩くなどの垂直の刺激には強いのですが、擦るという横の刺激に弱いので。化粧水を含んだコットンは、外出用に個別包装されたタイプもありますから、常に携帯しているといいですね。
この記事の監修
Dクリニック東京 医師
日本皮膚科学会認定専門医/日本アレルギー学会会員
竹中 洋史(たけなか ひろし)
順天堂大学大学院医学部皮膚科・アレルギー学講座卒業。
順天堂大学医学部皮膚科・アレルギー学助教を経て現在に至る。
最新の発毛知識・皮膚疾患知識の吸収を欠かさず、分かりやすい明快な説明を心がけている。
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