日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
脇坂 長興(わきさか ながおき)
上まぶたが下に垂れ下がるようになっている。上まぶたがたるんで目が開きにくい、視野が狭い感じがする。こんな症状がある人は、まぶたを持ち上げる筋力が低下し、まぶたが垂れ下がって視野が狭くなる「眼瞼下垂(がんけんかすい)」の疑いがあります。瞼を動かす筋肉のエイジングサインかもしれません。
この場合、垂れ下ったまぶたを額の筋肉で無理に上げて物を見ようとするため、まゆげがつり上がった状態になることがあります。
眼瞼下垂とは、その文字の通り、眼(め)の瞼(まぶた)が下垂する(垂れ下がる)症状です。眼瞼下垂には、先天性のものと後天性のもの、そして病気からくるものの3種類があります。
まぶたを動かす腱膜の力が生まれつき弱い場合や、構造上、上まぶたが開きにくい体質の場合など。一重まぶたや奥二重の人に多い傾向があります。
もっとも多い後天性眼瞼下垂の原因は、加齢に伴い、まぶたの筋肉が弱まって起こる「腱膜性眼瞼下垂」です。
また、他にもハードコンタクトレンズの長期使用、白内障の手術後にも生じる可能性があります。
この症状は加齢に伴って起こる場合が多く、高齢化社会の今、症状に悩む人は増加傾向にあります。ただし個人差が激しく、一生起こらない人もいます。
全身の筋力が弱くなる症状の「重症筋無力症」や、神経機能等が低下する「ミトコンドリア脳筋症」によって眼瞼下垂が起こる場合もあります。
歳をとって眼瞼挙筋やミュラー筋などのまぶたを持ち上げる筋肉の筋力が低下することで眼瞼が垂れ下がり、眼瞼下垂となります。
眼瞼下垂は、コンタクトレンズを長期間使用していたり、コンタクトレンズの着脱時にまぶたを引っ張るくせがあったり、パソコンを長時間使用する習慣があったり、といった生活習慣からも起きる可能性があります。
視界が悪いため、慢性の眼精疲労になったり、眉間のシワの原因になったりします。また、視野の狭さをカバーしようと、肩や首などに余計な力が入って、肩こり、頭痛などを引き起こすことも。
眼瞼下垂の治療は、手術によるものが一般的です。手術の方法は原因によって異なります。
眼瞼挙筋の筋力が衰えている場合は、眼瞼挙筋を短くすることでまぶたの垂れ下りを改善できます。この際、余分な皮膚を一緒に切り取ることで、美容的にも優れた効果が得られます。
眼科や形成外科で行われる様な視界確保を目的とした手術であれば、保険が適用されます。外観に重きを置く場合は、保険適用外になってしまいますが、美容外科で手術を受けることも可能です。
この記事の監修
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医/日本美容医療協会会員/特定非営利活動法人F.M.L.理事/医療法人 翠奏会理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
脇坂 長興(わきさか ながおき)
1962年生まれ。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。
同大学病院の形成外科で skin rejuvenationを研究。
方法論よりも患者様が一番良くなる治療を提供することが 形成外科医の使命であると考えている。
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