日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
脇坂 長興(わきさか ながおき)
朝起きると、頬に枕のあとがくっきりとついている。起きてから2時間以上経っても枕のあとが消えない。頬を指で押して離した時に戻りが遅い。以前の写真を見たら、今よりも輪郭がシャープだった。
こんな症状は、お肌の真皮層の老化が進んでいるサインかもしれません。
肌の深部にある真皮層では、コラーゲン線維が網目構造に絡み合い、エラスチンがその網目を補強することで肌のハリや弾力を保持しています。この網目は、真皮層の上(外側)にある表皮と下(深い部分)にある脂肪層(皮下組織)をつなぐ役割をしていますが、30歳を過ぎた頃からコラーゲンやエラスチンが減って、真皮の構造が変化し始めるため、網目の強度が衰えてピンと張った状態がゆるんでいきます。
さらに、真皮層を下から支えている脂肪層や、さらにその下にある表情筋と呼ばれる筋肉も、歳とともに痩せていきます。皮膚の土台が減り始めるために肌のたるみが加速し、「枕のあとが消えない」といった症状が現れ始めるのです。
真皮層や顔の筋肉の老化は、放っておくとどんどん進みます。顔全体の肌がたるんで二重顎になったり、若い頃のシャープさが失われ、フェイスラインのはっきりしない「ぼやけ顔」が進んで、老けた印象を与えてしまいます。
真皮や表皮を下から支えているのが「表情筋」です。 表情筋を鍛えて、重力にまけないシャープな顔を目指しましょう。
枕のあとが消えないのは、肌にうるおいがなく弾力が弱くなっているから。肌の弾力を保てるよう、しっかりと保湿ケアをしてから眠るようにしましょう。
そもそも枕のあとが消えないのは、うつ伏せの姿勢で長時間寝てしまうからです。体が沈み込んでしまうような柔らか過ぎるマットレスなどの寝具は、一度うつ伏せになるとそのままの状態になりやすいので注意。また、枕カバーが硬めの素材だと枕のあとが消えにくいので、なるべく柔らかい素材の枕カバーを使いましょう。
睡眠の質は肌のコンディションに直結します。質の高い睡眠で肌の調子が整うと、肌に弾力があるので枕のあとも付きにくくなります。音楽を聴いたり、アロマを焚いたりするなど、就寝前にはリラックスしましょう。また、スマホをいじりながら眠ることは控えましょう。
枕のあとがついてしまったら、温冷タオルでのケアが枕のあと消しに有効です。温かいタオルと冷たいタオルを肌に交互に数分程度当て、それを繰り返すとあとが目立たなくなります。
また、マッサージによる血行促進も、枕のあと消しに効果があります。
この記事の監修
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医/日本美容医療協会会員/特定非営利活動法人F.M.L.理事/医療法人 翠奏会理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
脇坂 長興(わきさか ながおき)
1962年生まれ。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。
同大学病院の形成外科で skin rejuvenationを研究。
方法論よりも患者様が一番良くなる治療を提供することが 形成外科医の使命であると考えている。
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