日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
脇坂 長興(わきさか ながおき)
最近、目の横に細かいしわができ始めた。30歳代になって、眼の周りのシワが消えない。このまま深いシワになってしまうのではないか心配。
そんな症状を感じたら、お肌の真皮層が変化し始めているサインかもしれません。
春先から秋にかけては紫外線をあなどらないで。紫外線がお肌の老化の原因になっていることは、とても有名なお話です。一方、冬場の乾燥も、お肌の老化を早める大きな要因になっていることは知っていますか?
肌が潤って弾力のある状態であれば、肌に折り目がついてもすぐに元に戻ります。しかし、乾燥して弾力を失った状態では、折り目のクセがそのままシワになってしまいます。お肌の保湿機能が低下している乾燥肌の状態が続くと、ハリがなくなりシワやたるみが発生してしまうのです。
また、30歳を過ぎると筋肉も衰えてくるため、シワがより目立つようになります。もっとも顕著にシワが出るのが、目尻です。笑いジワとは違い、表情に関係なく消えないシワとなっていきます。
目尻の笑いシワと同様、年齢とともに気になってくるのが「ほうれい線(法令線)」です。どちらもシワという点では共通ですが、まったく異なるものです。
まぶたは、目が瞬きするごとに上下します。そのまぶたの端に位置するのは目尻です。常に開閉を繰り返すので、皮膚にも一定の“緩み”があります。
笑うと表情筋が動き、目尻にシワができます。これが笑いジワです。若い頃は肌に弾力があるので、笑ったときにしか笑いジワはできません。しかし年齢を重ねると肌は乾燥がちになり弾力も弱まるので、次第に笑いジワが取れなくなるのです。
なお、表情によって起きるシワを総称して「表情ジワ」と言います。
ほうれい線(法令線)は、鼻の端と唇の端を結ぶナナメのしわのことです。ほうれい線は骨格と筋肉の構成で作られるもので、厳密にいえばシワではなく、「頬骨の影」のようなもの。表情には関係ありません。
ほうれい線自体は、年齢に関係なく赤ちゃんの顔にも存在します。ではなぜ、年齢を重ねると目立ってくるかというと、頬の皮膚が加齢によってたれ下がり、ほうれい線が目立つようになってしまうのです。
また、歯茎がやせて骨格が変わったり、加齢による肌の乾燥も、ほうれい線が目立つ原因となると言われています。
肌が乾燥すると、薄く硬くなった肌の表面がひび割れて、細かく浅い “ちりめんジワ”ができてきます。
この状態なら早めのケアを心がければ改善することもできますが、何もせずに放っておくと、くっきりと深いシワ “カラスの足跡”に発展してしまいます。
乾燥した肌のケアは、何をおいても保湿が一番!いつものお手入れの他に、目元専用のケアをプラスして、ドライフルーツのように干からびたお肌の細胞に潤いを与えてあげましょう。
最近の目元専用パックは種類が豊富で、不織布・ゲル・バイオセルロースなど、素材も様々!形も様々なタイプがあるので、自分に合った、好きな物を見つけてケアをしてみてください。ただし、目の下はデリケートなので強くこすったりするのは絶対NGです!力加減に気をつけながら続けてみてください。
どうしても目元の笑いジワが気になる場合は、「ボツリヌストキシン注射」という選択もあります。
ボツリヌストキシン注射とは、気になる部位にボツリヌス菌の毒素(ボトックスなど)を注射して表情筋の動きを抑制し、シワがよらないようにする治療です。笑いジワのような、表情の癖が長い間積み重なることによってできる「表情ジワ」に効果的です。また、ほうれい線のような表情ジワ以外のシワの時は、ヒアルロン酸の注射が効果的です。ボツリヌストキシン注射もヒアルロン酸注射も、どちらも美容皮膚科や美容外科などで治療を受けることができます。
この記事の監修
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医/日本美容医療協会会員/特定非営利活動法人F.M.L.理事/医療法人 翠奏会理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
脇坂 長興(わきさか ながおき)
1962年生まれ。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。
同大学病院の形成外科で skin rejuvenationを研究。
方法論よりも患者様が一番良くなる治療を提供することが 形成外科医の使命であると考えている。
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