聖マリアンナ医科大学 特任教授
井上 肇(いのうえ はじめ)
10代の頃は、焼肉と言えばカルビ、とんかつやステーキはロース、ラーメンはとんこつが大好物だったのに、いつからか脂っこい物を食べると胃がもたれると感じるように・・・。
胃もたれとは、食べすぎなどによって胃腸への負担が増して、消化機能が低下してしまい、胃の中に長く食べ物が留まっている状態です。年をとるごとに脂っこいものがすすまなくなったり、食べすぎでもないのに胃もたれをするのは、胃腸の機能が低下しているというエイジングサインかも。
胃もたれの原因は、偏食と食べすぎ。一度に大量の食べ物が入ってきたことで、その食べ物を消化させる能力を超えてしまい、胃の消化スピードが遅くなって、食べ物が長く胃に留まっていることで感じる不快感です。
しかし、年齢を重ねると、食べすぎていないのに胃もたれを感じることがあります。これは、内臓の発するエイジングサイン。加齢と共に胃液の分泌量や、ぜん動運動(消化物を胃が揉み出すような動き)が減少し、食べ物をうまく消化できなくなっているのかも。
常に胃痛、胸やけ、膨満感、吐き気、げっぷなどの症状が繰り返される慢性胃炎を引き起こす危険度がアップします。さらに、これらの症状が悪化すると胃潰瘍へと進行してしまうことも。
胃もたれを予防するには、第一に食べ過ぎないこと。そして、胃の老化を予防することです。胃の老化を予防するには、「1口30回噛む」ことを心がけましょう。食べ物をよく噛むことで唾液がたっぷり分泌されます。唾液中に含まれるアミラーゼには、糖質を分解する働きがありますから、胃で消化する負担を軽くしてくれることでしょう。さらに、よく噛むことで満腹感も得られるため、ダイエットにもなって一石二鳥!
また、アミラーゼは大根、かぶ、山芋などの食品からもとることができます。おろしポン酢と一緒になど、食べ合わせを考えれば歳をとっても胃もたれせずにカルビを食べられるかも!?
ちなみに、胃は第二の脳とも言われ、色々な精神的ストレス、すなわち脳へのストレスを反映しているとも言われています。大好きなカルビを食べられなくなったら、消化器のエイジングばかりでなく、心のエイジング(精神的ストレス)も疑ってみましょう。
この記事の監修
聖マリアンナ医科大学 特任教授
日本臨床薬理学会 認定薬剤師/日本臨床薬理学会 指導薬剤師
井上 肇(いのうえ はじめ)
星薬科大学薬学部卒、同大学院薬学研究科修了。聖マリアンナ医科大学・形成外科学教室内幹細胞再生医学(アンファー寄附)講座 特任教授及び講座代表。幹細胞を用いた再生医療研究、毛髪再生研究、食育からの生活習慣病の予防医学的研究、アンチエイジング研究を展開している。
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