便秘の予防や改善だけでなく、コレステロールや血糖の上昇を抑える作用もあり、生活習慣病予防にも役立ってくれる。
そんな腸内環境の整備にマストな食物繊維を毎日の食事で無理なく&バランスよく摂るには?
美と健康のために知っておきたい食物繊維の基本を紹介します。
大まかにいうと、食べ物の中に含まれ、人の消化酵素で消化することのできない物質のこと。 からだの中で、整腸作用だけでなくさまざまな有用な働きをすることが注目されており、“第6の栄養素”といわれることも。
水に溶けない「不溶性食物繊維」と水に溶ける「水溶性食物繊維」の2種類があります(これらを合計したものが食物繊維の総量)。ちなみに食物繊維の正式な定義としては、日本では「人の消化酵素で消化されない食物中の難消化性成分の総体」とされ、植物に含まれるもの(セルロースやペクチンなど多種におよぶ)だけでなく、動物に含まれるキトサンなども含まれます。
食物繊維は整腸効果のほか、血糖値上昇の抑制、血液中のコレステロール濃度の低下など、重要な生理機能を担うとされます。
身近なところでは、便通を整えて便秘を防ぐのにマストなだけでなく、脂質や糖、ナトリウムなどを吸着してからだの外に排出する働きがあり、これらの摂取過多によって引き起こされる肥満や脂質異常症(高脂血症)、糖尿病、高血圧など生活習慣病の予防・改善にも効果が期待できるといわれています。
また、腸内のビフィズス菌や乳酸菌の割合を増やすことによって便秘を改善するだけでなく、腸内での発ガン物質の生成を抑えることも知られています。さらに、欧米では1日あたり24g以上食物繊維を摂ることで、心筋梗塞のリスク低下が観察されるとの研究報告も!
食の欧米化に伴い、日本人の食物繊維の摂取量は減少傾向にあるのはご存知の通り。
「日本人の食事摂取基準(2015年版)」で定められている摂取の目標量は、成人男性で1日20g、成人女性で1日18g。 それに対し、実際の摂取量は成人の男女とも【約5g程度足りていない】ことに(「平成27年 国民健康・栄養調査結果の概要」より計算)。
食品群別に見ると、主食の多様化により、穀類からの摂取量が減っているというデータも。
食物繊維は穀物や芋、豆、野菜、きのこ、海藻などに多く含まれています。ちなみに、魚介類や肉類などの動物性食品にはほとんど含まれていません(一部例外あり)。
そば、ライ麦パン、さつまいも、切り干し大根、ごぼう、ブロッコリー、たけのこ、納豆、モロヘイヤ、しいたけ、ひじきなど。
これらは1食あたり、普通に食べる量の中に食物繊維が2~3gも含有しているため、効率的に食物繊維を補える食材として意識してみるといいかもしれません。
セルロース(小麦ふすまに含まれることで有名)、ヘミセルロース、キチン、キトサンなど
<特徴と役割>
水に溶けにくい繊維質。水分を吸収しやすく、便のかさをふやして排便を促すという作用が特徴的(=よくいわれる「腸のお掃除役」を果たす)。
<多く含む食材>
レタスやごぼうなどの野菜や穀物、果物、豆類などに含まれるほか、エビやカニの殻にも含まれています。
ペクチン(果物に含まれることで有名)、グルコマンナン、アルギン酸、カラギーナン、ポリデキストロースなど
<特徴>
水に溶けやすく、水に溶けるとゲル状に。糖や脂質、有害物質の吸収を抑える役割をします、また、不溶性食物繊維よりも腸内細菌が分解しやすいためエサになりやすく、腸内環境を整えるのに効果的(悪玉菌を減らしてくれるといわれています)。また、腸のバリア機能を高めて免疫力を高めるといった作用も。
<多く含む食材>
身近な食材は限られており、昆布、わかめなどの海藻、熟した果物(アボカドなど)、オクラ、トマト、里芋などネバネバ系のものに含まれています。
また、穀物の中では珍しく水溶性食物繊維が多く含まれている大麦(美容・健康意識の高い女性の間で人気の「もち麦」も大麦に含む)にも!
やはり、日々の食事で【多種多様な食物繊維】を【十分な量】を摂取するのが基本。
腸内細菌が喜ぶエサのひとつである食物繊維の食材は多数あります。できるだけいろいろな食材から取り入れるのが◎。
というのも、大人の腸内には約1,000種・数百兆個もの細菌が共存し、集団を形成しながらせい息しているとか(多様な状況に対応できるのもそのおかげ!)。 そして、腸内細菌の種類が豊富であることから、菌によって好むエサもさまざま。
「水溶性」と「不溶性」のどちらも食材から摂るようにするのが理想的。 また、1回に大量摂取するのではなく、1日に何度も食べるほうが良いといわれています。
一日の始まりにしっかり栄養を摂るため、また腸のぜん動運動を促すためにも、朝はしっかり食べるのが吉。特に、日本人が昔から口にしてきた和食は、【穀物で食物繊維を摂り、味噌汁や漬物で発酵食品を摂る】ことで腸内環境を整えるという意味で、あらためて大切にしたいジャンル!
食物繊維を多く含む飲み物をプラスするなど、手軽に取り入れるアイテムを取り入れてみましょう。ただし、日本人の通常の食生活では食物繊維を摂り過ぎることはほとんどないといわれます。また、サプリメントの過度な摂取はミネラルなどの吸収が妨げられることもあり、注意が必要。
【不足しがちな水溶性食物繊維】を多く含む大麦(もち麦)は、白米にプラスする、スープに入れて煮込むなど、手軽に取り入れるのが◎。また、料理で使う小麦粉を全粒粉に変えてみるなど、同じ食材でもアイテムのスイッチで食物繊維を増やすことも可能!
生のらっきょう5粒を食べると、フルクタンという水溶性食物繊維が約6g補えるといわれます。
キトサンは脂質に吸着して、余分な脂肪を抑えるといわれています。カニやエビなどの甲殻類の殻に含まれる動物性食物繊維ですが、多く摂るのは難しいため、サプリメントを活用するのもあり。
食物繊維は、お肌にも悪影響を与える女性の大敵! 便秘を解消してくれるものとして身近なですが、多く含まれている食材は大抵、【噛みごたえがあり、腹持ちもいい】ため、ダイエットの面からも頼りになりますよね。また、日本女性の死因トップ、男性の死因第3位とされる大腸がんのリスクを減らす意味でも積極的に摂りたいもの。食物繊維を積極的に摂って、腸内から健やかキレイを目指しましょう。
(文・大津礼保奈)
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