妊活と聞くと女性だけの話、と思いきや、今や男性妊活をフィーチャーされた記事や番組も増えてきていており、男性も積極的に妊活をおこなっているというのが今の時代。
今回は「男性妊活って何をどうするの?」といった男性妊活の現状と最新事情をレポートします。
「“男性妊活”という言葉がフィーチャーされるようになったのは2014年、男性専門のクリニック「メンズヘルスクリニック東京」で男性妊活外来がオープンした頃になります。でも、実は、このクリニックで男性不妊の治療を担当する辻村晃医師は、男性不妊についての現状をもっと早くから伝えていらっしゃいました」と語るのは、アンファー商品開発部シニアフェローの波間隆則さん。
「メンズヘルスクリニック東京」では、男性妊活外来に来院する患者のほとんどが「ブライダルチェック」の検査をおこないます。あまり聞きなれない言葉ですが、妊活男性はもちろん、これから結婚しようとする人など、自分が子どもをつくれるカラダであるか否かを調べる検査のこと。今までは子どもができず、そこで初めてクリニックを訪れて不妊検査をおこなう人が多かったのですが、結婚する前に精液検査をおこない、精子の量や濃度、運動量などを測定して不妊治療が必要な場合は素早く対処することができます。
メンズヘルスクリニック東京では2014年10月から2016年7月までの間、ブライダルチェックを受診した患者は200人を超えました。女性からしてみてもこれは嬉しい話。妊活や不妊治療というといつも女性ばかりにフォーカスされがちですが、女性も男性の生殖機能を知っておけば、男女それぞれの治療に取り掛かることができるという、メリットもあります。近い将来、ブライダルチェックが結婚前の常識になりうるかもしれませんね。
ブライダルチェックを始め、クリニックに来院した患者さんの約10の男性が不妊症と診断されます。その原因は生殖機能に何らかの障害があるからという理由もありますが、仕事やストレス、生活習慣の乱れなどといった影響も生殖機能を低下させる原因が少なからずあるとか。 たとえば、精巣で精子が正常につくられない「精子機能低下」。実は、精子の数は30〜35歳が最も多いといわれているのですが、この年齢は仕事でも重要なポストについたり、残業が続いたりするなど、体力・気力ともに負荷がかかるとき。ストレス過多、睡眠時間の減少、栄養バランスの乱れた食生活などが生殖機能低下を起こしている可能性があります。
特にストレスにおいては注意が必要です。精子をつくるのに必要不可欠な「テストステロン」は、脳からテストステロンの分泌を促さなければ精子がつくられることはありません。ストレスを抱え、脳から分泌される刺激ホルモンが減少すれば、もちろんテストステロンの分泌はされない。“ストレスがあると子どもができにくい”いうのは本当なんですね。
その他、精管が詰まる「精路通過障害」、「性機能障害」など男性不妊の要因はひとつだけでなく、様々な要因があるので専門医に診断してもらうことが大切。さらに、年齢とともに精子数は減っていくわけですから、本当に子どもを欲しいと願うならば、先延ばしにして良いことは無いのです。
造精機能障害や性路通過障害と診断された場合、手術して治す方法しかありません。ただちに治療に取り掛かることをおすすめします。しかし先に述べたとおり、男性の不妊症はその疑いがある人の10程度、逆にいえば、ほとんどの人が機能障害の不妊症ではないというわけです。となると、何らかの改善策があるのでは? 今すぐできること、といえば、生活習慣の見直し。でも、これこそ男性妊活の大きなカギとなるわけです。
精子の質の低下は、生活習慣の乱れと無関係ではありません。妊活のために精子の質を高めたいなら、生活習慣を見直して健康的な生活を送りましょう。
運動不足が続くと身体の新陳代謝が滞り、健康状態の悪化につながっていきます。健康的な精子を生み出すためにも、適度な運動を心がけましょう。
男性が長時間同じ姿勢で座っていると、股間が圧迫され、下半身の血行不良につながります。ひどい場合は、前立腺に悪影響を与えてしまうこともあります。時間をおいて少し歩いたり、体操をしたりして下半身の血流を改善しましょう。
過剰なアルコールの摂取は、精子の生成にプラスな要素はありません。アルコール摂取が絶対的にダメというわけではありませんが、アルコールの飲み過ぎが体調の悪化につながることは間違いありません。
喫煙が精子に悪影響を与えることは、すでに多数の研究結果で報告されています。喫煙による体内のフリーラジカルの増加は精子の数や、運動量が低下し、精子の質が下がってしまう原因となります。
射精しない時期が続くと、一定数の精子が死滅するため、精液の中に含まれる精子の中で正常な精子の割合が減少します。1週間程度をめどに射精を行うよう心がけましょう。
精子といえども、“健康的”な精子でなければ意味がありません。精子の量、活発に動いているか否か(運動量)など、より良い精子をつくるために必要な栄養素とおすすめの食材を紹介します。
など。
ビタミンEが多く含まれている食材はピーナッツやアーモンドなどのナッツ類。その他うなぎ、たらこをはじめとした魚介類、西洋カボチャ、アボカドなどにも豊富に含まれています。ビタミン12の代表的な食材といえば、しじみや海苔など。これからの季節に出番の多くなる、あったか鍋料理はおすすめです。普段の食事で意識的に摂るように心掛けてみてください。
風邪予防にも効果のあるビタミンCも毎日摂ることをおすすめします。1日の目安は1000mg☓2回程度。効果があるからといってビタミンCを多めに摂ったとしても、体内で蓄積することができないため、一定量を超えると体の外へそのまま排出されてしまいます。
また、妊活している女性におすすめの葉酸ですが、男性にも効果的といわれています。今は不足しがちな栄養をサプリで補給できる時代。食事とのバランスを考え、必要な栄養素を効率的に摂ることをおすすめします。
生活習慣食生活の改善など提案をしてきましたが、最後に夫婦生活の在り方を含めた環境の見直しも大切なことです。たとえば、夫婦共稼ぎで生活のリズムが不規則になっていたり、相性の問題でセックスレスになる夫婦が増えているのも事実。子どものできるカラダではあるけど、こういった環境の影響で「子どもができない」とカン違いしている夫婦が多いというのも、今の時代ならではの悩みといえます。未来の家族の在り方について夫婦間でしっかり話し合うことも同じくらい大切なことなのです。
(文・長谷川真弓)
波間隆則さん・アンファー商品開発担当
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