平田 雅子(ひらた まさこ)
年齢を重ねるとまるで樹の年輪みたいに横方向に刻まれる首のシワ。顔のハリはキープできても、首のシワが目立つ人はとても多いのです。さらに、顔がたるみ、アゴのラインが下がってくると、首の皮膚も影響を受け、シワが深まることも……。
「手と首は年齢を隠せない」といわれているように、首は若さのバロメーター! また、アトピーの人は、10代や20代であっても首のシワが深い傾向にあります。
首の皮膚は目もとと同じくらいの薄さしかないのです。目もとの表皮は、顔の中でも特に薄く、“卵の薄皮”程度の厚みしかありません。それと同じくらい皮膚の薄い首は、うんうんと頷いたり見上げたり、振り返ったりでしょっちゅう動く部位のため、シワができやすくなってしまうのです。
首に横ジワができるのは、首の皮膚割線(ひふかっせん)が横に走っているから。割線とは、目で見ることのできない皮膚の線のこと。皮膚割線はカラダ中にあり、部位により方向性はさまざまですが、首の場合は横方向なのです。
また、30代後半になると、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が徐々に減少。エストロゲンが減ると、ハリを保つコラーゲンやエラスチン、みずみずしさを保つヒアルロン酸の合成が減るので、顔がたるみやすくなってしまいます。
顔がたるみ、アゴのラインが下がってくると、その重さで首の皮膚をも押し、下降する傾向が。すると、元からあった首のシワがさらに深く刻まれてしまうのです。
皮膚科医の見解では、カラダの不調は皮膚に出やすく、特に首や手に現れやすいといわれています。栄養状態が悪ければ、爪の周囲がささくれていたり、首にハリやうるおいが失われていたり……。たとえ健康だとしても、首のお手入れ不足でカサカサし、シワが多かったりすると、不健康な印象になりがちです。
首のシワ・顔のたるみを予防する簡単な6つの対策をご紹介します。
顔よりも皮膚が薄く、乾燥しやすい首は、徹底的に保湿することです。朝と夜の1日2回の保湿では、はっきり言って足りません! 日中も保湿し、夜、スキンケアをしてから、寝る直前に乳液やクリームをもうひと塗り。夜中、トイレに起きたら、さらに塗るくらい、たっぷりと与えましょう。アトピーの人も、肌に合った保湿剤をこまめに首につけると、シワが目立たなくなってきます。
特別なマッサージタイムを設けなくても、首にクリームを塗りながらでOK。簡単なのでまずは毎日トライして!
【ポイント】
・首のシワは横にできるので、横方向にマッサージをするのがポイントです。
・チカラ加減は軽くすること。皮膚割線に沿って動かせば、あまり力を加えなくても血液とリンパ液の流れがスムーズになり、リラクゼーション効果も大!
加齢により皮膚が重力に逆らえなくなって、顔はたるみがちみに。たるみはアゴのラインを曖昧にし、首の皮膚をも押し下げてしまいます。アゴのラインをシャープに保つことも、首を若々しく保つコツだといえるでしょう。
ここでも、特別なマッサージタイムは必要なく、乳液やクリームを顔に塗りながら、一緒にアゴのラインもマッサージ。乳液やクリームを手のひらと親指を含む指全体につけ、顔の中心から外側に向かって滑らすように塗っていきます。一般的には、スキンケアをするとき、親指は使いませんが、マッサージを兼ねるので親指も活用。そのとき、親指はアゴのラインの内側に沿わせ、耳の下に向かって動かします。耳の周りにはリンパ節があるので、滞っていた老廃物が流れ出し、アゴのラインがスッキリ! それが、首の皮膚にかかる負担を軽くして、シワ予防になるのです。(図3)
顔には1年中UVカットを塗っている人でも、首にまで塗っている人はまだまだ少ない……と、皮膚科医は嘆いています。紫外線を浴びると、肌のハリに重要なコラーゲンやエラスチンがダメージを受けるので、シワが増えたり深くなったり。また、首のシワが深い場合、シワの溝にまで紫外線が入り込まないことも。すると、日焼けした部分とのコントラストが出てしまい、逆にシワが目立ちます。
汗に含まれている塩分を放っておくと、刺激となって皮膚を乾燥させてしまいます。特に首の皮膚は薄いので、汗がシワの溝に溜まってかぶれを起こすことも。すると、シワに沿って赤みが出て、放っておくと色素沈着の原因に。だから、余計シワが目立つのです。首の汗はこまめに拭きとりましょう。
【ポイント】
・ハンカチやハンドタオルなどの乾いた布は、汗の水分は吸収するが、塩分は吸収しない。
・布に水を含ませ、軽く絞ったおしぼり状のもので、ポンポンと首に当てながら塩分をとる。
・ゴシゴシと擦ることは避けること。
1日のうち、7時間近く首にシワをつくりながら寝ていると、その形状が定着してしまいます。よく、枕は低いほうがいいといわれていますが、快眠セラピスト曰く、枕の位置が重要とのこと。多くの人は、枕に頭だけのせて眠っているそうです。だから、首を支えられず、シワを寄せながら眠ることに。枕は肩から当てるようにしましょう。すると、首が自然に支えられ、シワができにくくなります。
この記事の監修
平田 雅子(ひらた まさこ)
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