日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
脇坂 長興(わきさか ながおき)
冬になると、スネや背中、腰回りがやたらとかゆくなる。寝ている間にかきむしってしまい、朝起きるとスネから血がでている…そんなこと、ありませんか?
そんな症状が現れたら、皮膚が乾燥したり、ターンオーバーが遅くなってきているサインかもしれません。
歳をとるとお肌の皮脂や天然保湿因子、細胞間脂質が減少するため、肌が乾燥しやすくなります。同時に、お肌の新陳代謝が低下することで、ターンオーバーのサイクルが遅くなり、古く乾燥した角質が肌表面に溜まっていきます。乾燥し分厚く重なった角質は、柔軟性を失い剥離しやすくなるため、そこから外部のアレルゲン物質が侵入し易くなり、炎症が生じることで、かゆみが現れます。
また、これらの症状は、暖房による乾燥やお風呂での洗いすぎ、熱いお湯につかるといった生活習慣によって悪化します。
かゆみを生じた炎症部位を引っ掻くと角質が剥離し、そこからアレルゲン物質が侵入することで、かゆみが悪化します。そうすると、さらに掻き壊してしまい、傷が広がり、炎症が悪化する、といった負のスパイラルに陥ります。この状態は、「乾皮症」ともよばれ、ひどい場合では夜眠れないほど全身がかゆくなることもあります。
体を洗う時に、洗浄力の強い界面活性剤で洗ったり、ごわごわしたナイロンタオルで強く皮膚を摩擦したりすると、皮膚に必要な脂まで洗い流されてしまい、お肌の乾燥が加速してしまいます。また、熱いお湯に長時間浸かるのも、お肌の乾燥を加速させる要因の一つです。体を洗う際は、アミノ酸系界面活性剤のようなお肌に優しい成分でできたボディソープがおススメです。また入浴する際は、スキンケアタイプの入浴剤を入れて入浴すると保湿効果が上がります。
入浴方法などの生活習慣を改善してもかゆみがおさまらない場合は、お肌の潤いを取り戻すために、保湿剤をたっぷりと塗りましょう。塗る量の目安は、塗った後にティッシュペーパーがくっつく程度。ちょっと多過ぎるかなと思うくらい塗ったほうがいいのです。また、保湿剤は入浴後の皮膚が少し湿った状態のうちに塗るのが効果的です。
かゆみがひどい場合は、専門医を受診するとお薬を処方してもらえます。かゆみが現れたら、我慢せず、乾燥とかゆみの悪循環を断ち切ることが大切です。
この記事の監修
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医
日本形成外科学会専門医/麻酔科標榜医/日本美容医療協会会員/特定非営利活動法人F.M.L.理事/医療法人 翠奏会理事長/聖マリアンナ医科大学幹細胞再生医学寄附講座講師
脇坂 長興(わきさか ながおき)
1962年生まれ。聖マリアンナ医科大学医学部卒業。
同大学病院の形成外科で skin rejuvenationを研究。
方法論よりも患者様が一番良くなる治療を提供することが 形成外科医の使命であると考えている。
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