春は新しい学校や職場で、初対面の人とのご挨拶も多い時期。そんなとき、第一印象はとても重要になります。メイクや服装はもちろんのこと、もうひとつ気に留めてほしいのが、“声”です。
アメリカUCLA大学の心理学者アルバート・メラビアン博士の研究によると、人の印象は視覚からの情報が約5割強、聴覚からの情報が4割弱だといいます。簡単にいうと、見た目と声で、「この人はこんな感じの人だな」とか「感じがよさそう、自分と合うな」ということをそこで判断しているというのです。
みなさんはこんな経験はありませんか? 第一印象の見た目はあまり興味がなかったのに、話し始めたらグイグイと引き込まれてしまうこと。学生時代の講義でも、内容にはさして興味がないのに、何だか惹きつけられて、その先生のファンになってしまったり。もっと極端にいえば、コールセンターなど顔が見えない状況下での会話。クレームの連絡だったのに、対応してくれた人の声のトーンがあまりに穏やかで、怒りのテンションが自然とおさまってしまった、なんてことはありませんか? 逆に電車の中で、キャピキャピ声で話している声のトーンにイラっとしたり……。
自分が思っている以上に、私たちの心は声に影響を受けているのです。
では、どんな声が好感度が高いのでしょうか?
女性の場合は、周波数が340~350Hzの“ファ”の音程。大人の女性だとちょっと高めの声になります。でも、最近の傾向では、女優さんも声が低めの人が人気を集めているので、“ミ”ぐらいの音程でもいいかもしれません。
男性の場合は、女性と逆に高い音程の声は印象が悪いといわれています。“ミ”を超えると高いと認識する女性が多いようです。低い声のほうが説得力があり、包容力があると思われるようです。ミを超えない音程で声を演出してみるといいでしょう。
ですが、声は高さの他に「聞き取りやすさ」も重要になってきます。特に、低い声はモゴモゴしゃべると、聞き取りにくい印象に。センテンスを上手に区切ってはっきりとしゃべると会話が耳に届きやすく、しっかりと印象を残すことができます。
ちょっとした工夫で声の印象を変えることも可能ですが、それには“喉の状態”をよくしておく、ということが必須条件です。
喉のお手入れというと、風邪やインフルエンザ予防だけと思いがちですが、喉の中にある声帯は加齢や乾燥、喫煙や過度なカラオケなどですぐに傷んでしまいます。
声帯は、声帯筋があり、その表面に柔らかな粘膜が覆っているとても繊細な部分。膜は1枚ではなくてひだ状になっています。声を出すときには肺から出る空気が、このひだを震わせ、声に変化させているのです。高い声のときにはひだがピンと張った形になり、緩んだ状態だと低くなります。年齢を重ねると次第に声が低くなるというのは、このひだが痩せてたるんきてしまったから。また、ポリープや腫れなども音程に影響します。
そんな繊細な声帯、いい状態を保つための3つのポイントを整理しましょう。
冬場だけでなく、これからの季節も室内はエアコンで乾燥するので、適度な保湿を心がけましょう。携帯用の小さな加湿器で常に喉の潤いをキープしてあげることも◎。
タバコは声帯にダイレクトにダメージを与えるので、美声を目指すなら禁煙は必須です。
声帯の潤いもコラーゲンが影響しています。野菜だけでなく、1日必ずお肉や魚を摂ることが美肌だけでなく、美声にも役に立ちます。
そして、女性は特に口角を上げる気持ちで話すようにしてみましょう。口角が下がっていると声は低くなりますが、口角を上げて話すといつもの声よりも少し声が高くなります。実際に口角をあげたまま話すのは難しいのですが、上げるような気持ちでいると、見た目の印象も声も好感度がアップするはずです。是非、お試しを。
(文・伊藤まなび)
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