苅谷 志帆
夏になると気になるのが、蚊をはじめとする虫。ジカ熱・デング熱など、蚊が媒介することで広がる病気もあるので注意したいもの。虫除けスプレーは夏の必需品ではありますが「市販のものに含まれている殺虫成分が気になる」「ケミカルな臭いが嫌」など、使用を控えている人も。そんな人におすすめなのが、精油を使ったナチュラル虫除けです。
熱帯・亜熱帯地方で主にみられるウイルス感染症で、ウイルスに感染した蚊に刺され感染すると、2~10日ほどで高熱を発症し、頭痛、眼の奥の痛み、筋肉痛などの症状が。さらに食欲不振、腹痛、吐き気、嘔吐、脱力感、全身倦怠感や発疹が出るケースもあります。これらの症状は1週間ほどで消え、通常は後遺症を残すことなく回復します。
ですが、ウイルスが血管に侵入する発熱や発疹、ひどくなると出血性ショックや合併症を引き起こし、最悪の場合は死亡するケースも。ウイルスを持っている蚊に刺されないように身を守ることが大切なのです。
外出する際は、長袖、長ズボンなどで肌の露出を控え、蚊に刺されないようにすることも大切ですが、蚊を寄せつけない対策をすることも大事。今回、アロマセラピストの苅谷志帆さんに簡単にできる虫除け方法について教えてもらいました。
精油とは、アロマセラピー(芳香療法)に使われる小さな瓶に入った液体のこと。エッセンシャルオイルとも呼び、アロマセラピー専門店などで購入できます。精油は植物のさまざまな部位から特殊な方法で抽出され、その中には健康や美容に役立つ有効成分が凝縮されています。その有効成分にはたくさんの種類があり、精油によって含むものも異なりますが、虫が嫌う成分として知られるのがシトロネラール。このシトロネラールを多く含む精油が下記の2つで、虫除けに大いに役立ちます。
学名:Eucalyptus citriodora
レモンを思わせる爽やかで刺激的なグリーンの香り。精神が高ぶっているときやイライラしているとき、気持ちを鎮めてくれます。ユーカリには他に「ユーカリ グロブルス」や「ユーカリ ラジアータ」などがあるため、間違わないようにしましょう。
学名:Cymbopogon nardus
甘くて非常に強いレモンの香り。シトロネラール以外にゲラニオールという蚊に対して忌避作用を発揮する成分も含んでいます。蚊除け以外でも、コットンに含ませて洋服ダンスに入れておくと、衣類の防虫に役立ちます。
虫を遠ざける作用は弱いですが、1本持っていると便利なのがラベンダー(学名:Lavandula angustifolia)です。虫に刺された場合は、1滴つけておくと、かゆみや炎症がひどくなりません(*)。
(*)ただし、発赤など皮膚に異常が見られた場合は、すぐに洗い流してください。
精油が持つ虫除けの働きを利用するには、香りを部屋に漂わせたり、スプレーするのがおすすめ。植物の心地良い香りを楽しみながら虫除けの効果が得られます。時間が経って香りが薄れると効果も弱まるので、スプレーなどはこまめに噴いたりしましょう。
ディフューザー、アロマポット、アロマライトなど、専用の器具を使ってユーカリ シトリオドラやシトロネラを香らせましょう。専用の器具がない場合は、熱めのお湯を入れたカップに精油を3滴ほど垂らして置いておくだけでもOKです。ただし、間違えて飲まないように、十分注意してください。
虫除けスプレーをつくり、網戸や室内に噴きつければ虫は寄ってきません。肌が丈夫な大人であれば、腕や足などにもスプレーして使用しても○。
1.無水エタノール(5㎖)に精油(10滴)を加え、よく混ぜる
2.1をスプレー付き遮光瓶に移し、精製水(45㎖)を加えて混ぜる
3.材料や作った日にちを書いたラベルを貼ります
使用毎によく振ってからスプレーしてください
* 無水エタノールと精製水は薬局で購入できます。
* 冷暗所で保管し、つくってから1週間を目安に使い切ってください。
* アルコールを含むため、火の近くでは使用しないでください。
使用する精油(10滴)は、「ユーカリ シトリオドラ(10滴)」または、「シトロネラ(10滴)」でも良いですが、「ユーカリ シトリオドラ(8滴)」+「ラベンダー(2滴)」または「シトロネラ(8滴)」+「ラベンダー(2滴)」にすると香りが優しくなります。お好みでアレンジしてください。
* 精油を使う際に注意したいこと
・ 原則として妊娠初期は精油を使用しないでください。
・ 3歳以下の乳幼児には、芳香浴以外の使用は控えてください。
・ 精油に対する反応は個人差があります。自己責任のもとで使用してください。
(文・川原好恵)
この記事の監修
苅谷 志帆
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