苅谷 志帆
愛する人とパートナーになって年月が経つと、共に居ることが当たり前となり、いつの間にか空気のような存在に……。
それは、とても心地良いことである反面、「時には刺激が欲しい」そんな思いが頭をよぎることも。
とくに、セクシャルな問題は自分だけでなくパートナーとの関係性が深く関わるうえ、欲望を言葉や態度で伝えるのは恥ずかしいもの。
そんな悩みの解決策に、実は“香り”が役立つと聞き、アロマセラピストの苅谷志帆さんにその活用法を教えていただきました。
セクシャルな問題として多いのが、ズバリ「セックスレス」。一度、その関係に間が空いてしまい、そのままセックスレスが続いている……というのは、めずらしい話ではありません。ただ、パートナー関係が長いゆえ、あらためて、そのことについて話し合ったり態度で示したりするのは難しいというのが現実。
「セックスレスとは、逆を言えば、以前はお互いを求め合い、触れ合うことで心が癒やされ、充たされる時間を一緒に過ごしたということ。香りを嗅ぐことで本能的な刺激のスイッチが入り、一瞬で心身をシフトさせることも可能ですよ」と苅谷さん。香りの力を借りて、恋をしていたときの幸せの記憶を呼び覚ますことができれば、もう一度、あの頃の新鮮な気持ちで向き合えるきっかけになるかも。
解決策のキーワードは「香りがもたらす非日常」。いきなりセクシーに誘惑するというのはハードルが高いですが、香りを漂わせるのは簡単。いつもと違う甘い香りを漂わせて、「あれ、今日はいつもと違うな」と思わせ、パートナーの本能を刺激するのがポイントです。官能性を刺激する香りは自分の気分も上げてくれるので、いつもより大胆になれるかもしれません。
香りの演出として使用するのは、植物から抽出した100%天然成分の精油*。精油の中には、官能的な気分を盛り上げる「催淫作用」を持つものがあり、それがセックスレスの解消に役立ちます。たくさんの精油の中から苅谷さんが選んでくれたのは、この6本。
*アロマセラピー専門店で購入できます。
「香りの女王」と呼ばれ、愛情を受け入れて育む力をサポートする精油。伝統的に愛の象徴とされ、古くから「催淫剤」として使われました。肉体的にも感情的にもセクシュアリティに働きかけ、女性の不感症を改善するのに役立つと言われます。
(使用上の注意)
「幸せホルモン」とも呼ばれる、脳内のセロトニンの分泌を促す精油。抑圧した感情から解放して、デリケートになった心に安らぎや慰めを与えてくれます。精神的な落ち込みが性欲を減退させているときに良く、気持ちを安定させ官能的な気分に。
感情を解放して気持ちを高める、ウッディ系の甘くて優しい香り。インポテンツなど男性の性的な不調の改善に用いられる精油として有名です。「男性フェロモンの香り」とも呼ばれ、男の色気を誘う香りとして香水のラストノートにもよく使用されます。
東洋的で土っぽくドライな香り。緊張や不安をやわらげ、心を穏やかにし、ゆったりとした時間を過ごすことの大切さを思い出させます。過労や精神的なストレスによって、自身のからだの声や欲求を無視してしまいがちな男性におすすめの精油です。
(使用上の注意)
濃厚で甘くエキゾチックな香りで、男女ともに効果のある媚薬として古くから使われています。セックスレスの背景に自信の喪失や、信頼感・愛情の欠如、パートナーへの不満や不安、精神的なストレスなどがある場合に良く、気持ちを高揚させてストレスを鎮めます。
(使用上の注意)
エキゾチックで濃厚な香り。精油の中でも最も高揚作用が高く、気持ちを引き上げて自信を与えてくれます。女性性を目覚めさせる催淫剤として役立ち、インポテンツなど男性の性的な不調にも有効。互いの官能的な気持ちを盛り上げ、性的能力を高めます。
(使用上の注意)
精油をどのように使えばいいのか、具体的な使用方法を紹介しましょう。
(1)官能を呼び覚ますレシピで、一緒にアロマバス
「セックスレスでも、お風呂には一緒に入るカップルや夫婦は多いと言われます。いつもの入浴剤を催淫作用のある精油を使ったアロマバスに替えてみましょう。もちろん、別々に入浴する場合でも役立ちます」(苅谷さん)
【使用方法】
精油5滴を大さじ1~2杯の天然塩・はちみつ・牛乳・植物油などに加えて混ぜます。それを入浴する直前にお湯に入れ、よく混ぜましょう。
(2)お風呂上りに官能的な香りのオイルでマッサージ
「“触れあい”という人間の本能的欲求を満たすことで、2人の距離がぐっと縮まるはず。最初は手・腕のマッサージから始めて、徐々に首・肩や背中のマッサージへ。手のひらを密着させて、優しくなでさするイメージでおこないます。マッサージするのが恥ずかしいようなら、それぞれがお風呂上りのボディオイルとして使用しても効果的です」(苅谷さん)
【使用方法】
ホホバオイルやスイートアーモンドオイルなどの植物油(5ml)に、好みの精油(2滴)を加えてよく混ぜる。自分の手のひらで温めて、体に塗布する。
(3)寝室に香らせてベッドルームの雰囲気づくり
「アロマセラピーを最も手軽に楽しむことができるのが芳香浴。官能的な香りが心を解放し、性的欲求も刺激されます。心地良い上質な眠りも得られて心も体も潤うはず」(苅谷さん)
【使用方法】
ディフューザーやアロマポット(なければお湯を入れたマグカップでもOK)に精油を5滴ほど垂らし、部屋に香らせる。
上記で紹介した精油は、好きな香りを1種類使ってもOKですが、どれも香りが強めなので、できればオレンジスウィート、グレープフルーツ、レモンなど柑橘系の精油とブレンドして使うとバランス良く香るそう。
「たかが香り」と思いがちですが、嗅覚は五感の中でも最も本能を揺さぶると言われます。その効果を信じて、ぜひトライしてみてください。
(文・川原好恵)
この記事の監修
苅谷 志帆
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