今や国民病といわれる花粉症。実は、春だけのものではないということも、だいぶ知られるようになりました。季節の変わり目にくしゃみや鼻水が出て「風邪かな?」と思ったら、花粉症だったというケースも多いよう。そこで今回は、秋の花粉症についてご紹介。急に発症してもあせらず、できるコトから対処して、少しでも快適な毎日を送りましょう。
花粉症の人でもそうでない人も、まずは花粉症のおさらいを。「自分は大丈夫」なんて思っている人でも案外、花粉症だったなんてこともあるのでチェックしてみて。
花粉症の正体は、花粉に対して人間の体が起こすアレルギー反応。体の免疫反応が、花粉に過剰に反応して花粉症の症状が出ます。
三大症状はくしゃみ、鼻水、鼻づまり。初期の症状が風邪とよく似ています。
他に目のかゆみや充血、涙が出るなど。目のかゆみを伴うことが多いのも花粉症の特徴。
花粉症はアレルギー反応のため、セルフケアだけでは限界があります。早めに医療機関を受診してガイドライン通りの治療もおこなったほうが楽に過ごせます。
基本的に完治は難しいといわれています。医師・薬剤師による治療(メディカルケア)とセルフケアの2本柱で、症状をできるだけ軽くするように努めるのが基本。
ご存知の通り、日本における最多の原因花粉はスギ。花粉症患者の約70%はスギ花粉が原因なのだとか(ただし、沖縄にはスギが全く生息していないなど地域による特徴も)。
樹木の花粉ではスギの他に、ヒノキやシラカンバ、ハンノキ、オオバヤシャブシ、ケヤキ、コナラ、クヌギなど。草本では、イネ科のカモガヤやオオアワガエリ、キク科のブタクサ、オオブタクサ、ヨモギ、アサ科のカナムグラなど、その数は50種類以上といわれています。
なお、原因となる花粉は、自分がどんな季節に症状が出るかで推定が可能です。耳鼻咽喉科などの専門医療機関で原因花粉を特定する検査を受け、症状に合わせた治療を受けましょう。
花粉症の原因となる花粉は1年中飛散していますが、秋の花粉症の原因となる植物としてメジャーなのが、以下の3つ。
・キク科のブタクサ(8月~10月に飛散が多い)
・同科のヨモギ(8月中旬~10月に飛散が多い)
・アサ科のカナムグラ(8月下旬~10月に飛散が多い)
上記のどれも、河原や公園、空き地など身近に多く生息しているので、注意が必要。ちなみにブタクサは花粉の粒子が小さく、気管に入ってぜんそくのような症状を引き起こす場合も!
また、スギは春が中心ですが、秋にも少量の花粉が飛散することもあるため、油断はできませんね。
花粉症対策のポイントは、春も秋も同じ。なるべく花粉にさらされないよう、あの手この手でセルフケアをおこなうことが先決です。
飛散の多い時の外出や洗濯物を外に干したりすることは避ける。
飛散が多いときは窓や戸を極力閉めて、家の中に花粉が入ってこないようにしましょう。
花粉症対策用のメガネやマスクを身につける、つばの広い帽子をかぶる、手は手袋を使うなど。服装も、一般的に花粉が付着しやすいといわれるウール素材を避け、付着しにくい綿や化学繊維のものをチョイス。表面がスベスベした素材のほうが◎。
うがいや手洗い、洗顔をしっかりと。
換気のコツは開窓の幅を10cm程度にすることと、レースのカーテンを使用することの2点。これで侵入する花粉を約1/4に減らすことができるとか。
外出時に雑草が多いところはなるべく迂回する、河川敷などでの散歩やジョギングは避けるなど。
免疫力を高めて正常に保つことも、花粉症の予防や症状の緩和に大切です。近年話題の腸内細菌も、花粉症予防のキーワードのひとつ。腸内細菌を変化させると体内の環境がアレルギーを抑えるようになると考えられています。
・規則正しい生活を心掛ける
・睡眠を十分に取る
・風邪を引かないように気をつける
・お酒を飲み過ぎない
・鼻の粘膜を傷つけるタバコは避ける
・(花粉防御をしたうえで)適度な運動をおこない、体力を低下させない
・バランスのよい食事で腸内環境を整える
・ダニやペット、ゴキブリなどの通年性アレルゲン
・秋に多くなる、ガやユスリカなどの昆虫アレルゲン
・空中真菌(カビ)
都市部では花粉以外にも原因となるアレルゲンがたくさんあります。一年を通して注意したいものですね。
近年では花粉症発症の低年齢化も叫ばれています。また、秋の花粉症は子どもにも発症しやすく、ダニやハウスダストによるアレルギーと重なると症状が悪化する場合もあるとか。症状がひどくなる前に適切な診断を受け、アレルギー検査で原因を特定してもらうなど、早めの対応を心掛けましょう。
(文・大津礼保奈)
<参考文献>
花粉症特集(厚生労働省)
アレルギーについて(いりたに内科クリニック)
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