この記事を書いた人
安倍 佐和子(あべ さわこ)
気温の上昇とともに皮膚に赤みやかゆみを感じたり、アレルギーによる炎症によって肌あれが起こるなど、春になると敏感傾向に傾く人が増えています。女性誌等では、「肌うつ」といったキーワードで特集を組まれることもありますが、外部からの刺激によって肌が揺らぎやすくなるこの「肌うつ」、重症化しつつあると警鐘を鳴らす医療・美容関係者が急増。紫外線や大気汚染物質などが大きな要因であるといわれていますが、じつはこれらの影響が数年前よりはるかに悪化。とりわけ大気汚染物質による弊害は、私たちが思っている以上に深刻化しているようなのです。
ご存じのとおり、大気汚染物質の原因といわれるのがガスや粉塵、重金属類など。よく話題にのぼる直径2.5ミクロン以下の粉塵のことをPM2.5といいますが、その大きさは市販のマスクを簡単に通り抜けてしまうサイズ。それゆえに、呼吸器系に深刻な影響を及ぼすと怖がられています。でも、じつはもっともっと怖いのが、PM2.5に含まれる硝酸塩が花粉と合体することによって発生するPM1.0。発ガン性さえ指摘されている直径1ミクロン以下の汚染物質です。肺の奥まで入り込んでしまうほどのサイズなのですから、まったくもってお手上げ、防ぎようがありません。
PM2.5やPM1.0、じつはこれらの汚染物質が肌の乾燥を招くとともに、過敏性を悪化させてしまっているよう。しかも、それだけではなく、紫外線による肌の酸化ダメージも増幅。つまり大気汚染物質による影響で、シミや色素沈着、シワなどのリスクが約4倍も跳ね上がってしまうということなのです。
“でも、私は郊外に住んでいるから大丈夫でしょう”なんていうのもちょっと甘いようで。実際には、世界人口の半分以上が都市型生活者で、日本でも総人口の9割以上が都市部での生活者。その数はアジアの中でもトップクラスです。たとえ郊外に住んでいたとしても、“リスクはゼロ”と保証されているわけではなく、深刻な「肌うつ」問題は国民的課題とさえいえるのです。
ではこの厳しい環境下で、私たちは何をすべきなのでしょうか。まず、簡単なのは、紫外線や大気汚染物質から肌を防御する最新鋭の製品をまとうこと。常にさらされている肌を外敵から守ることができます。空気清浄機はPM2.5を除去できるものを。抗酸化作用が高く、デトックス、あるいはキレーション効果のある食事やインナーケアを意識、ストレスを溜めないような生活習慣の見直しも必要なのかもしれません。そして何よりも、ひとりひとりが大気汚染物質の排出削減に向けての意識を強く持ち、できることから行動に移すことではないでしょうか。
(2016年の世界保健機構(WHO)の報告書によると、大気汚染が原因によって亡くなる人の数は10人にひとり。このまま放置しておけば、2060年には毎年600万人から900万人が生命の危機にさらされると予測されています)。
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安倍 佐和子(あべ さわこ)
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