この記事を書いた人
齋藤 薫
“自分のまつ毛”に関心がなくなるのは、ずばり、“エイジングの始まりだ”って、改めてそう感じます。実際、強烈なつけまつ毛を日々欠かさないのは、主に20代。まつ毛エスクステを習慣にするのも、何となくだけれど40代に入るあたりまで。逆にいえば、マスカラをバリバリにつけている50代・60代って、あまり見かけません。とても不思議なことだけれど、年を重ねるにつれ、女はまつ毛メイクに対する関心を失っていくのです。
それって一体なぜなのでしょう。ひとつに、まつ毛メイクは若い層のものという決めつけがあるからでは? でも本来がまつ毛は“アンチエイジング”の重要なカギであり、むしろ年を重ねるほど、上手に生かすべきパーツ。いや確かに、年齢とともにまつ毛は少なく、短く、弱々しくなっていく。でもだからこそ逆に、まつ毛の存在感を高めることが立派なエイジングケアとなるはずなのに、興味を失ってしまうのは全く残念な話。多くの人は、“まつ毛”の本当の効果を知らないのかもしれません。
いや、もちろん、パッチリまつ毛がキュートな美人顔をつくるのは、揺るがぬ常識。だから若い頃はみんな競って、ドールまつ毛をバチバチさせる。でもそういうことではなく、もっと日常的なナチュラルメイクにおける、まつ毛のチカラを今すぐ知ってほしいのです。じつは、まつ毛ほど思い切って挑んでもなお自然にさり気なく、人を若く美しく輝かせるものはないのですから。
まず、気づいていたでしょうか。オードリー・ヘップバーンの過剰まつ毛。たとえば『ローマの休日』や『麗しのサブリナ』などで見せた美しい顔は、まさに清純そのもの。素顔っぽいイメージでさえあったはずだけど、でもよく見てほしいのです。実際には今でいうところのつけまつ毛“3枚重ね”級の、濃厚なまつ毛メイクだったのを!
何が言いたいのかといえば、まつ毛メイクはうまくすれば素顔のふりして最大級のメイク効果を生めるのだということ。しかも上まつ毛はいくら濃くても大丈夫。不自然に長すぎるまつ毛は確かにギャルメイクのウソっぽさが目立つけど、濃いまつ毛は目の存在を強くするだけで、意外にも目もとにすんなりなじんでくれるはず。だからアイシャドウなどよりはるかに自然だし、その証拠にオードリー・ヘップバーンは、晩年に至るまでこの濃いまつ毛メイクだけはやめなかったと言います。
実は、上まつ毛の強調には、他のことでは置きかえがきかないくらいの“リフトアップ効果”が備わっています。言うまでもなく、カールされたまつ毛のカーブは、顔に上向きの印象をもたらすから、それだけでリフトアップになるけれど、“アイラインのはね上げ”どころじゃない、濃い上まつ毛は顔全体の印象を上向きに持ち上げるくらいの、見えない矢印効果をもたらしてくれます。肌も顔立ちもフェイスラインも、丸ごとリフトアップできるのです。
濃いまつ毛にありがちなのが“厚化粧”のイメージも、そこにはありません。その印象はない。もしもまつ毛だけ浮くようなら、上のアイラインも太く強くすること。もともとアイラインは、まつ毛の生え際を強調するライン。だからまつ毛が濃ければその分、生え際のラインも強く見えるわけで、“マスカラたっぷりの濃いまつ毛と太く強いアイライン”は、きわめて相性が良く、ふたつを組み合わせれば、むしろより自然に見えるはずなのです。
それを証明してくれるのが、オードリーのまつ毛。“濃いまつ毛”と“清楚で可憐な美しさ”は一見、対極にあるように思えますが、実は逆。若い頃も晩年も、変わらず“濃いまつ毛×太いアイライン”を死守してきた、それがオードリーの、年老いても尚生き続けた可憐な美しさの知られざるカギになっていたこと、改めて知ってほしいのです。
もうひとつ、まつ毛のチカラを知る上で見逃してはいけないのが、ミニーマウスのまつ毛。これも気づいていたでしょうか? ミッキーマウスとミニーマウスの顔は、基本同じ。違いはまつ毛があるかないかだけだということ。
リボンやワンピース、ハイヒールを脱がせても、ミニーがミニーだとわかるのは、わずか3本のまつ毛があるからで、まさにそれだけで顔が“女の顔”になってしまう。正直、年齢を重ねてうっかりオジサンのような印象になってしまう傾向があるとしたら、それはまつ毛メイクがないからなのです。
つまり、まつ毛の存在感を高めるだけで、顔印象は女らしく、やわらかく、まろやかになる。それどころか、ミッキーよりミニーの方が顔が小さくほっそり見えたりする効果も。まつ毛は人を華奢に見せる効果も持っているのです。まつ毛はどこまでいっても女のものなのです。可愛く見え、キレイに見え、若く見え、やせて見える……そんなまつ毛効果を無視するなんて、人生レベルで損をするといっても過いすぎではないくらい。少なく短くなるから、諦めてしまうのだとしたら、それは逆。まつ毛ケアで1本1本を強く濃くすることこそ、アンチエイジングの近道だってこと。これ、お忘れなく。
この記事を書いた人
齋藤 薫
よくある質問